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10.
足元に術式を展開。まず今にも襲い掛かろうとする人買いの奴らを囲い眠らせた。屈強な男共が数人パタパタと崩れる様に床に倒れ込む。俺の合図がなければ一生寝たままだ。
「ひっ!り、りる?ちがうのよ、誤解してるのょっわらしはこの子を助けようとひて…はれ?あれ?…な、なに!?」
続けて乳母の周りに黄色の光る術式。これは…忘却の陣だ。
「は…れ?にゃに?…だれ?」
「母さん…コリコット村に連れて来てくれてありがとう。育ててくれてありがとう。後の人生は穏やかに慎ましく生きてくれ。……どこか遠くの地でな」
パァと青い魔術式陣が現れ彼女を包む。これは転移の陣。
「あっ?」
「さよならだ、母さん」
シュワッと陣が眩く光り、宝石を両手に握ったままポカンとした顔の乳母と共に静かに消えていった。
荷馬車に揺られ死にかけていた俺を膝に抱きながらコリコット村まで連れて来てくれた乳母。
元気になれとスープを口に運んでくれた荒れた手。
伯爵家の奴らを見返してやろうと毎日声を掛け抱き締め世話をしてくれた優しい温もり。
私が母親になると…そう言ってくれた…唯一の人。
「……本当に…信じていたんだ…貴女を」
貴女にとって俺は欲に負ける程度でしか無かったのか。あの日々は全て偽りだったのか…
本当に魔術師になるなんて思わなかったんだろうが、伯爵家じゃなくても初めから人買いに売るつもりだったのかもな。運良く生きて健康になれば片目が無くてもこの顔なら愛玩奴隷として高く売れるだろう…なんて。
足元に転がるルビーがコロンと足先に当たり薄暗い部屋の中で少しの光を浴びて滲んだ赤い影を落とす。無機質な、でも美しい石。
「毎年一つでも貴女に贈っていれば未来は変わったのかな?…なあ、母さん?」
彼女がどこに行ったのかは分からない。行き先を決めなかったから…ただこの地から一番遠くへとそう願っただけだ。もう俺達の時間が交わる事は無いだろう。
俺と過ごした日々を…
乳母の中から俺と言う存在を
全て消し去ったのだから……
****
「ん…」
「…レシェ」
「……リル?」
「大丈夫か?」
「……うん…あったかいね…あれ?私…」
「うん?」
「あれ?」
パシャンッとレシェの動きで湯が跳ねる。
「へ?なんで?…お風呂?」
自宅に帰ってから地面に転がされて汚れていた彼女を風呂で綺麗に洗い、身体を確認した。アザや傷は無い。暴れたりはしてなかった様だ。直ぐに眠らせたか気絶させたのか…。奴らにとっては商品だからか暴行の跡は無かった。
…命拾いしたな。何かあれば奴らの血縁、縁者に至るまで一人残らず焼き払ってやるところだった。
それから服を念入りに洗浄した。俺以外の男が彼女を触っただろうからな。消毒は大事だ。その後湯に浸かり裸の彼女を胸に収め目を閉じる。
乳母との家族愛は消え失せた。旦那の方には申し訳無いが記憶を改竄しておく。元々この村の者では無いので行商の為に来たと暗示も掛けてついでに妻である乳母は病気で死んだ事にしておいた。勿論俺に関する記憶も消し去って。宝石を一袋だけ胸のポケットに忍ばせて村から送り出す。贅沢しなければ王都でも家族で一生食うには困らないだろう。子供達に無事に会えると良いが。
人買い達はそのままにしておき、奥にあった牢の鍵を空けておく。そこには様々な年齢だろう女の子が入れられていた。後は逃げるなり家に帰るなり好きにすれば良い。逃走資金用に目の前で銀貨を適当に撒いて飛び付く子らに声を掛ける事も無く、レシェを抱き上げ家に転移したのだった。
「リル…私…あの…」
「うん。ごめんな?君を巻き込んで…母さんには…村から出て行ってもらったから。ちゃんと餞別も渡したし、もうこの村には来ないと思うよ」
レシェの濡れた髪を手で漉きながら優しく抱き締める。
「怖い思いをしただろ?レシェ…何があった?」
「……リル…うん、怖かったわ。宿場町に面白い店が出来たから見に行こうって。リルも後から来るから先に行って楽しもうって…。折角誘ってくれたからあまり断るのもいけないかと思ったの。定期便の乗り合い馬車に乗って…お店に連れて行かれて…そしたら沢山の男の人に囲まれて…身体を縛られたわ…それから変な匂いのする部屋に連れて行かれて…女の子が沢山居た。頭がボンヤリするの。力も出なくなって…怠くて…そこまでしか覚えて無いわ」
「あそこは人買いのねぐらなんだ。軽い睡眠香を炊いてあったんだろう。大人しくさせた後に荷馬車に乗せて運ぶんだ…君は出荷される前に値の交渉をされていたところだった。人買いと…俺の母さん、に…」
「…う!…うっ…ど、うし、て?」
「…ごめん…レシェ…ごめんな…母さん達は金に困っていたんだ…ちゃんと相談してくれれば…君を傷付けずに済んだのに…」
彼女の記憶も消してやらねば…俺の所為で心に傷を付けてしまった。
「リル…リルは大丈夫?」
「え?」
「私はリルが傷付くのが一番怖いわ。優しい貴方がこの事で心に一生の傷を負うのが堪らなく悲しいよ」
赤茶色の綺麗な夕日の瞳からポロポロと涙が溢れる。
「…っ」
ああ…君は…
意図せず残った左の目から雫が胸を伝い湯の中に流れ混じる。胸が痛くて…でも熱くて…フルフルと心臓が揺れている様だ。
俺と同じ思いをしてくれるのか…
レシェが涙が伝う俺の頬に口付け、頭ごと胸に抱き締めてくれた。温かくて柔らかくて
愛しくて…愛しくて…
偽りとはいえ家族を失った悲しみと、自分の身より心配してくれる彼女への愛しさとが入り混じって…俺はレシェを抱き締め唯々涙を流した。痛みで痺れた危うい心が救われる。もう彼女が居なければ壊れてしまう。
そうだ…庇護なんかじゃ無い。負い目なんかじゃ無い。執着でも無い。
俺はレシェを……
俺を想って泣いてくれる優しい彼女を
心の底から
愛しているんだ
****
翌日から俺は本腰を入れてレシェを護る為の術式を研究し出した。魔力吸収はどうして起きるのか。根本から見直しを始めたのだ。赤い背表紙の本を参照にしながら術式を構築していく。一つの円形の中には一つの術式。それを組み合わせて行くことにより複雑な内容の魔術になる。
例えば転移動の術式なら「距離の計算」「距離の認識」「軽量化」「粒子化」「速度上昇」「物資化」等々数種のこれらを合わせて一つの陣に収める事によって施行出来る様になる訳だ。
何か魔力吸収を阻害出来る術式は無いだろうかと数日実験と研究を繰り返す。紙に走り書きをしながら施行を繰り返していた。そしてふと…何の気無しに本と同じ内容の事柄を別の紙に書き写していた時に手が止まる。
「やっぱり…同じ字だ…」
そうだ。似ているなんてものじゃ無い。今書いている字と本の字は全く同じなのだ。突き出る書き始め方から少し下に斜めに長く払う癖。一つ一つが全て似ている。走り書きなど他人の字なんか読めた物では無いが、俺には理解出来たのだ。なぜならまるで俺が書いた様なそんな字だから…
勿論俺は書いてはいない。回帰前もそんな記憶など無い。
じゃあ…いつ書かれたんだ…?まさか寝てる間に?それは流石に有り得ないか。
この赤い背表紙の本は一長一短で作られた研究書では無い。実験に実験を重ね長い時間を掛けて辿り着いた苦悩が垣間見える。決して二十年しか生きてない俺に書ける様な代物では無いのだ。だが
「なぜこうも似ているんだ…」
ペラペラとページをめくる。最後のページは回帰の扉を開く術式だ。その後は白紙のまま。ここで力尽きたのか、最終目的が回帰への扉だったのかは分からない。
ふと俺は一瞬だけ
恐ろしい事を考えた。
…いや、違う。違う筈だ。
俺は何も失くして無かった。
「そうだよ…揃ってた。だからこれは違う筈だ」
じゃあ、なぜだ?
どうしてこの本は俺の手元にある?
どうして同じ字なんだ?
どうして中身が全て理解出来る?
「そう言えば初級の魔術書と一緒に重ねられていたんだっけ。つまり…伯爵家にあった本か」
今となっては本当の所が分からないが、もしかしたら乳母がこっそり持って来たのかも知れない。俺が無事に育ち魔力を制御出来る様になったら魔術師への道が開かれる訳だから。こんな村には魔術書なんて有りはしない。いつかの時の為に俺に勉強させようと?
…なんて、あの人はそこまで考えてはいなかっただろうな。
謎ばかりが増えていく。
「ひっ!り、りる?ちがうのよ、誤解してるのょっわらしはこの子を助けようとひて…はれ?あれ?…な、なに!?」
続けて乳母の周りに黄色の光る術式。これは…忘却の陣だ。
「は…れ?にゃに?…だれ?」
「母さん…コリコット村に連れて来てくれてありがとう。育ててくれてありがとう。後の人生は穏やかに慎ましく生きてくれ。……どこか遠くの地でな」
パァと青い魔術式陣が現れ彼女を包む。これは転移の陣。
「あっ?」
「さよならだ、母さん」
シュワッと陣が眩く光り、宝石を両手に握ったままポカンとした顔の乳母と共に静かに消えていった。
荷馬車に揺られ死にかけていた俺を膝に抱きながらコリコット村まで連れて来てくれた乳母。
元気になれとスープを口に運んでくれた荒れた手。
伯爵家の奴らを見返してやろうと毎日声を掛け抱き締め世話をしてくれた優しい温もり。
私が母親になると…そう言ってくれた…唯一の人。
「……本当に…信じていたんだ…貴女を」
貴女にとって俺は欲に負ける程度でしか無かったのか。あの日々は全て偽りだったのか…
本当に魔術師になるなんて思わなかったんだろうが、伯爵家じゃなくても初めから人買いに売るつもりだったのかもな。運良く生きて健康になれば片目が無くてもこの顔なら愛玩奴隷として高く売れるだろう…なんて。
足元に転がるルビーがコロンと足先に当たり薄暗い部屋の中で少しの光を浴びて滲んだ赤い影を落とす。無機質な、でも美しい石。
「毎年一つでも貴女に贈っていれば未来は変わったのかな?…なあ、母さん?」
彼女がどこに行ったのかは分からない。行き先を決めなかったから…ただこの地から一番遠くへとそう願っただけだ。もう俺達の時間が交わる事は無いだろう。
俺と過ごした日々を…
乳母の中から俺と言う存在を
全て消し去ったのだから……
****
「ん…」
「…レシェ」
「……リル?」
「大丈夫か?」
「……うん…あったかいね…あれ?私…」
「うん?」
「あれ?」
パシャンッとレシェの動きで湯が跳ねる。
「へ?なんで?…お風呂?」
自宅に帰ってから地面に転がされて汚れていた彼女を風呂で綺麗に洗い、身体を確認した。アザや傷は無い。暴れたりはしてなかった様だ。直ぐに眠らせたか気絶させたのか…。奴らにとっては商品だからか暴行の跡は無かった。
…命拾いしたな。何かあれば奴らの血縁、縁者に至るまで一人残らず焼き払ってやるところだった。
それから服を念入りに洗浄した。俺以外の男が彼女を触っただろうからな。消毒は大事だ。その後湯に浸かり裸の彼女を胸に収め目を閉じる。
乳母との家族愛は消え失せた。旦那の方には申し訳無いが記憶を改竄しておく。元々この村の者では無いので行商の為に来たと暗示も掛けてついでに妻である乳母は病気で死んだ事にしておいた。勿論俺に関する記憶も消し去って。宝石を一袋だけ胸のポケットに忍ばせて村から送り出す。贅沢しなければ王都でも家族で一生食うには困らないだろう。子供達に無事に会えると良いが。
人買い達はそのままにしておき、奥にあった牢の鍵を空けておく。そこには様々な年齢だろう女の子が入れられていた。後は逃げるなり家に帰るなり好きにすれば良い。逃走資金用に目の前で銀貨を適当に撒いて飛び付く子らに声を掛ける事も無く、レシェを抱き上げ家に転移したのだった。
「リル…私…あの…」
「うん。ごめんな?君を巻き込んで…母さんには…村から出て行ってもらったから。ちゃんと餞別も渡したし、もうこの村には来ないと思うよ」
レシェの濡れた髪を手で漉きながら優しく抱き締める。
「怖い思いをしただろ?レシェ…何があった?」
「……リル…うん、怖かったわ。宿場町に面白い店が出来たから見に行こうって。リルも後から来るから先に行って楽しもうって…。折角誘ってくれたからあまり断るのもいけないかと思ったの。定期便の乗り合い馬車に乗って…お店に連れて行かれて…そしたら沢山の男の人に囲まれて…身体を縛られたわ…それから変な匂いのする部屋に連れて行かれて…女の子が沢山居た。頭がボンヤリするの。力も出なくなって…怠くて…そこまでしか覚えて無いわ」
「あそこは人買いのねぐらなんだ。軽い睡眠香を炊いてあったんだろう。大人しくさせた後に荷馬車に乗せて運ぶんだ…君は出荷される前に値の交渉をされていたところだった。人買いと…俺の母さん、に…」
「…う!…うっ…ど、うし、て?」
「…ごめん…レシェ…ごめんな…母さん達は金に困っていたんだ…ちゃんと相談してくれれば…君を傷付けずに済んだのに…」
彼女の記憶も消してやらねば…俺の所為で心に傷を付けてしまった。
「リル…リルは大丈夫?」
「え?」
「私はリルが傷付くのが一番怖いわ。優しい貴方がこの事で心に一生の傷を負うのが堪らなく悲しいよ」
赤茶色の綺麗な夕日の瞳からポロポロと涙が溢れる。
「…っ」
ああ…君は…
意図せず残った左の目から雫が胸を伝い湯の中に流れ混じる。胸が痛くて…でも熱くて…フルフルと心臓が揺れている様だ。
俺と同じ思いをしてくれるのか…
レシェが涙が伝う俺の頬に口付け、頭ごと胸に抱き締めてくれた。温かくて柔らかくて
愛しくて…愛しくて…
偽りとはいえ家族を失った悲しみと、自分の身より心配してくれる彼女への愛しさとが入り混じって…俺はレシェを抱き締め唯々涙を流した。痛みで痺れた危うい心が救われる。もう彼女が居なければ壊れてしまう。
そうだ…庇護なんかじゃ無い。負い目なんかじゃ無い。執着でも無い。
俺はレシェを……
俺を想って泣いてくれる優しい彼女を
心の底から
愛しているんだ
****
翌日から俺は本腰を入れてレシェを護る為の術式を研究し出した。魔力吸収はどうして起きるのか。根本から見直しを始めたのだ。赤い背表紙の本を参照にしながら術式を構築していく。一つの円形の中には一つの術式。それを組み合わせて行くことにより複雑な内容の魔術になる。
例えば転移動の術式なら「距離の計算」「距離の認識」「軽量化」「粒子化」「速度上昇」「物資化」等々数種のこれらを合わせて一つの陣に収める事によって施行出来る様になる訳だ。
何か魔力吸収を阻害出来る術式は無いだろうかと数日実験と研究を繰り返す。紙に走り書きをしながら施行を繰り返していた。そしてふと…何の気無しに本と同じ内容の事柄を別の紙に書き写していた時に手が止まる。
「やっぱり…同じ字だ…」
そうだ。似ているなんてものじゃ無い。今書いている字と本の字は全く同じなのだ。突き出る書き始め方から少し下に斜めに長く払う癖。一つ一つが全て似ている。走り書きなど他人の字なんか読めた物では無いが、俺には理解出来たのだ。なぜならまるで俺が書いた様なそんな字だから…
勿論俺は書いてはいない。回帰前もそんな記憶など無い。
じゃあ…いつ書かれたんだ…?まさか寝てる間に?それは流石に有り得ないか。
この赤い背表紙の本は一長一短で作られた研究書では無い。実験に実験を重ね長い時間を掛けて辿り着いた苦悩が垣間見える。決して二十年しか生きてない俺に書ける様な代物では無いのだ。だが
「なぜこうも似ているんだ…」
ペラペラとページをめくる。最後のページは回帰の扉を開く術式だ。その後は白紙のまま。ここで力尽きたのか、最終目的が回帰への扉だったのかは分からない。
ふと俺は一瞬だけ
恐ろしい事を考えた。
…いや、違う。違う筈だ。
俺は何も失くして無かった。
「そうだよ…揃ってた。だからこれは違う筈だ」
じゃあ、なぜだ?
どうしてこの本は俺の手元にある?
どうして同じ字なんだ?
どうして中身が全て理解出来る?
「そう言えば初級の魔術書と一緒に重ねられていたんだっけ。つまり…伯爵家にあった本か」
今となっては本当の所が分からないが、もしかしたら乳母がこっそり持って来たのかも知れない。俺が無事に育ち魔力を制御出来る様になったら魔術師への道が開かれる訳だから。こんな村には魔術書なんて有りはしない。いつかの時の為に俺に勉強させようと?
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謎ばかりが増えていく。
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