未完】風神アウィンの受難〜全属性神族の番になれる愛妻は女神らしい。いや、俺のだからな?〜

平川

文字の大きさ
29 / 114
第二章 「天界」と「女神」

29.簡単だぞ?

しおりを挟む
「なっ!何だよ!何かあったのか?爺さん?」

 サラを横抱きにしたまま俺は爺さんに問いかけた。地上で何かあったのかも知れない。

「えっとね。アウィンと入れ違いで婆さんが帰って来てね?.........追い出された」
「.................何したんだよ?まさか.........!」
「えへ♡」
「.................馬鹿」グッタリ。

「?」首を捻るサラ。

「だって5日間もお預けだったからハッチャケちゃってさ。いっぱい女の子呼んじゃった」

「?」首を捻るサラ。

「たった5日だろ。しかもあんた爺さんだろ.........。どんだけ元気なんだよ。風だからとかじゃ無いぞそれ」

 ため息しか出ない。

「確かに私は旺盛だけどね。何だか引退したら益々止まらなくなってさ」
「怖っ!やめてくれよ、今更「小さい叔父さん」出来るとか.........。婆さんだって.........」
「婆さんと?無い無い。ははははっ。.........どうせならサラ「爺さん.......マジで血祭りにしてやろうか.........。動けなくする事くらい簡単だぞ?足からいくか?フッ」わー!」

 俺は爺さんの足元に口から風を吹き斬り付ける。

「!!」ビビッと固まるサラ。

「何だ、爺さん。まさかサラのパイに【癒し】とか【魅了】が込められてたから、とか言うんじゃ無いだろうな?」
「! ............気づいてたの?本当.........驚いたよ。もう、年甲斐も無く心臓がキュウッてなった。私のこの葛藤がアウィンには解らないだろうね.........」

 情けない顔をしながら爺さんは下を向く。

「.................諦めてくれ爺さん。サラは俺の妻だよ。爺さんの番は婆さんだ。こんなの.........辛過ぎる」
「ふふ。解ってるよ。孫の嫁には.........流石にね。アウィンが長い間サラちゃんだけを求めて生きて来たのも知ってる。神族の理を守って穏便に過ごして来たのはサラちゃんの為だ。ちゃんと解っているよ。だからね、見守ろうと思ってるんだ。《リンミン》が有れば混乱は避けられる。【癒し】や【魅了】の出来る女神にも当たってみようかと思ってるんだ。私は私で別に動いてみるよ。地上の風の血を繋げる為に」
「爺さん.........。ああ。頼むよ。俺にはサラしか居ないんだ」

 爺さんは片手を挙げ、風に乗って空に舞い上がり飛んで行った。


 番か.........でも、番だからじゃない。
 それ以上に惹かれるんだよ。いや、胸が.........痛いんだ。でも、これは何だか.........愛しいからとかでは.........無い?他の感情。もしかして女神だから、とか?益々解らん。

 ガイザックは俺が天界に転移し、風の拘束が消えた事でおそらく土の神殿に行った筈だ。どうするつもりかな.........。こんなに不安なのは.........


 俺はサラでないとダメだけど、サラは俺じゃ無くても.........愛されるんだ。


 俺はサラを見る。サラが俺を見上げてる。

 澄んだ.........綺麗な.........太陽の瞳で。


 欲しくて堪らなかった。恋しくて堪らなかった。でも、いつももう一歩が踏み込めなかった。心に杭が刺さったように躊躇ってた。理由は判らない。胸が痛い。


 .................俺.........何かしたのかな?


「アウィン?」

 サラが俺の顔に手を添える。

 俺はその手にスリッと頬を擦り寄せる。暖かい。また.........暖かい君に会えた。



「........え?.......会えた?」誰が?
「ん?誰に?」キョトンとするサラ。
「.........いや。なんでも無い。取り敢えず行こう」

 俺は頭を振り、風神殿内に向かって歩き出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

俺にだけツンツンする学園一の美少女が、最近ちょっとデレてきた件。

甘酢ニノ
恋愛
彼女いない歴=年齢の高校生・相沢蓮。 平凡な日々を送る彼の前に立ちはだかるのは── 学園一の美少女・黒瀬葵。 なぜか彼女は、俺にだけやたらとツンツンしてくる。 冷たくて、意地っ張りで、でも時々見せるその“素”が、どうしようもなく気になる。 最初はただの勘違いだったはずの関係。 けれど、小さな出来事の積み重ねが、少しずつ2人の距離を変えていく。 ツンデレな彼女と、不器用な俺がすれ違いながら少しずつ近づく、 焦れったくて甘酸っぱい、青春ラブコメディ。

最後の女

蒲公英
恋愛
若すぎる妻を娶ったおっさんと、おっさんに嫁いだ若すぎる妻。夫婦らしくなるまでを、あれこれと。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...