蜜柑製の死

彼方灯火

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2023年5月27日

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腹痛。

お腹が痛くなると、ほとんど何もできなくなる。

何もできなくなる、ということを考えることはできる。

頭が痛くなるよりも、格段に質が悪い。

まったく……。

全身が痛くなってしまえば、もはや痛みなどないのと同じ。

だから、全身を痛めつけてしまおうか?

ところで、痛みの正体とは何だろう?

この手の問いが、大抵の場合無意味であることを、僕は知っている。

一般化はできないだろう。

すなわち、学問の対象とすることは難しい。

けれど、自分のごく周囲にいる人間に問うことは、無駄ではないのではないか?

答えを得ることがすべてではない。

自分の状態を伝えることに重点を置く。

痛みとは何かという問題で、本気で頭を悩ませている、と伝える。

それは、きっと、無駄ではない。

そろそろ、立ち上がって、トイレに行こうと思う。

いくら男女の権利が平等になろうとも、トイレが一つに合併されることはない。

それはどうしてか、という部分を考える必要がある。

真剣に。

指を鳴らして、終了の合図を出してみたが。

結局のところ、口笛は苦手だ。
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