ぐれい、すけいる。

羽上帆樽

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第30部 4202年30月30日

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 夜になってから、突然頭が痛くなり出した。

 僕にしては珍しいことだった。僕は、大抵の場合、朝に頭が痛くなる。痛くなるというより、目が覚めたときにはすでに痛い。眠る前はなんてことなかったのに、起き上がる前からだんだんと血圧が高いような感覚を意識し始めて、起き上がった途端に、それは確信に変わる。

 眠ることで体調が回復するはずなのに、逆に悪化するというのは、どういうことだろうか。

 と、疑問に思って、同様の経験があるか彼女に質問してみると、彼女は首を振った。

「nai ne」アーモンドを食べながら、彼女は答えた。彼女は、夜になると、何かを食べながら本を読む。最近はアーモンドにはまっているようだ。もしかすると、本を読みながら何かを食べているのかもしれない。

「そうか」僕は頷く。「しかし、そう……。今日は、今になって、頭が痛くなったんだ」

「sore de ?」

「眠る前に頭が痛くなかったのに、眠った後に頭が痛くなる、ということの逆は、眠る前に頭が痛かったのに、眠った後に頭が痛くなくなる、ということだから、もしかすると、今眠ったら、次の朝には、頭が痛いのは治っているかもしれない」

「nan da ka, zi no bun o hatsuwa shite iru mitai」

「すぐに眠るべきだろうか?」

「shiranai」そう言って、彼女は不機嫌そうに首を振る。しかし、こういう場合、彼女は本当に不機嫌なのではない。むしろ、不機嫌なふうを装えるくらいには、機嫌が良いといえる。なかなかに芝居がかっているのだ。「somosomo, doushite, atama ga itaku naru no ?」

「さあ……」僕は腕を組んで天井を見る。「しかし、その問いは、どうして雨が降るのか、という問いと、大して変わらないよ。そして、その問いは、どうして水というものがあるのか、という問いに発展する。あまり生産的ではないかもしれない。起こることは起こるわけだから……。どうしたら頭が痛くならないかを考えるためには、結局、どうして頭が痛くなるのかを先に解明しなければならないのかもしれない。そうではなくて、頭が痛くなったらどうすべきかを考えておくのがいいんじゃないかな」

「dou suru no ?」

「君と頭を交換するとか?」

「iikedo」

 そう言って、彼女は両手で掴んで頭を取り外す。

 そうすると、彼女の頭の内部構造がよく見えた。少し大きな電球が首に差し込まれている。

 見ると、電球の中には蝋燭があり、それに火が灯されているようだった。

 彼女の寿命はまだまだあるようで、僕は安心した。
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