ぐれい、すけいる。

羽上帆樽

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第37部 4202年37月37日

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 朝起きると、珍しく快晴だった。

 僕は晴れがあまり好きではない。日差しが好きではなかった。見ていると、呼吸が苦しくなってくる気がする。今日も一日頑張れと言われているみたいで、それが得体の知れない圧力のように感じられる。自然に生きることを求めているのに、今日も生きなければならないように思えてくる。

「sou ?」

 玄関の外。庇の下。僕の隣に立つ彼女が尋ねる。

「君は?」僕は尋ね返した。

「amari wakaranai ka mo」彼女は答える。「demo, watashi wa, yuki ga ichiban suki da na」

「毎日雪でも構わない?」

「mattaku」

 大人達は雪が嫌いなようだが、それは、そのせいで交通網が遮断されたり、雪掻きをしなければならなかったりするからだろう。そうした生活上の不都合を一切除外して、純粋に雪という天気が好ましいか好ましくないかを考える場合、彼らはどのように判断するのだろうか。

 こういうことを考えると、ある対象が好ましいか否かを判断することには、必然的に色々な条件が付随しているはずで、純粋に好ましいか否かだけを判断することなどできないのではないか、という気がしてくる。一方で、しかし、人間の頭では、そうした理想的な状況を想定できるのではないかという気もまた、同時にしてくるのだった。

「どうして、雪が一番好きなの?」僕は彼女に質問する。

「suki to iu no ni riyuu wa nai」彼女は話す。「demo, mezurashii kara ja nai ka na」

「そうすると、さっき言っていた、毎日でも構わないというのと、矛盾することになるんじゃないかな。毎日が雪だったら、雪の珍しさが消えてしまうのだから」

「demo, ningen no atama nara, yuki wa mezurashii mono da to iu, risouteki na seishitsu o izi suru koto mo, kanou deshou ?」

「その通りだ」

「yuki, furanai ka na」

 空を見上げても、今日はとてもそんな感じはしなかった。むしろ、時間が経つにつれて、どんどん晴れていく。ピクニック日和といった感じだった。

「pikunikku, shiyou yo」彼女が言う。

「どこへ?」僕は尋ねた。こういうとき、肯定の答えか否定の答えかは、保留されている、と思う。

「tyotto soko made」そう言って、彼女は玄関の先の道を指さす。しかし、それは道を示しているのではなく、その先の丘を示しているみたいだった。「soko no kouen」

「たしか、前にもこういうことがあったね」

「atta ka na」

「ピクニック、好きなの?」

「yuki no hou ga suki」彼女は答える。

「僕は?」

 彼女はこちらを向くと、にっこりと笑った。
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