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第13章
第125話 interessant
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月夜もフィルもまだ風呂に入っていなかったが、先にルゥラを寝かせることにした。月夜の自室以外にも、二階にはあと二つ部屋があるが、肝心の布団が一つしかなかったから、結局ルゥラを自分の布団で寝かせるほかになかった。
月夜の部屋はシンプルだ。部屋がもともとシンプルだという意味ではないが、部屋は大抵シンプルなものだから、そのように解釈しても何ら問題はない。必要最低限のものしか置かれていない室内は、どこか寂しい色が漂っているように見えなくもなかったが、明らかに風情のない表現だったから、月夜はそんな言葉を使って自分の部屋を紹介するようなことはしなかった。
机の上にまだ何枚か皿が載っている。
ルゥラはその内の一枚を手に取ると、表面を手でなぞったり、裏返したりして皿を観察し出した。よく見ると、そこにある皿はどれも形状が異なっている。皿は皿には違いないが、その内に違いを見出すことも人間にはできるのだ。
「もう少し、深い方がよかったかな」
ピザのように手で皿を回しながら、ルゥラが呟く。
「ルゥラがデザインしたの?」机の前にある椅子に座って、月夜は尋ねた。
「うん……。全部、ちゃんとデザインしてあるんだよ。だから、どれも形が違うの」
「全部って、街にあるのも全部?」
「そうだよ。量産する能力が、私にはないから……」
人間が手で作るものは、どれ一つとして同じデザインにはならない。厳密には、機械で作ったものでもまったく同じになることはないが、そういう意味ではない。
学校に行き、そして帰る間、月夜は道に散らばっている皿を踏みつけて歩いてきた。それらの一つ一つをルゥラがデザインしたものだと思うと、なんとなく心持ちが良くなかった。
だから、謝ることにした。
「ルゥラ、ごめんなさい」
月夜がそう言うと、ルゥラは持っていた皿の向こうから大きな目をこちらに向けた。
「え? 何が?」
「私は、貴女が作った皿を、踏んでしまった」
「踏んで? あ、道を歩くときにってこと?」
「そう」
「それで、どうして謝るの?」
「どうしてだろう……」月夜は一度目を背ける。「分からない」
「道に散らかしたら、しゃりしゃり音がして、面白いかなって思ったんだよ」ルゥラは説明した。「だから、踏んで正解なんだよ。どう? 面白かったでしょ?」
月夜は再び顔を上げ、ルゥラを見る。
「面白かった」
月夜の部屋はシンプルだ。部屋がもともとシンプルだという意味ではないが、部屋は大抵シンプルなものだから、そのように解釈しても何ら問題はない。必要最低限のものしか置かれていない室内は、どこか寂しい色が漂っているように見えなくもなかったが、明らかに風情のない表現だったから、月夜はそんな言葉を使って自分の部屋を紹介するようなことはしなかった。
机の上にまだ何枚か皿が載っている。
ルゥラはその内の一枚を手に取ると、表面を手でなぞったり、裏返したりして皿を観察し出した。よく見ると、そこにある皿はどれも形状が異なっている。皿は皿には違いないが、その内に違いを見出すことも人間にはできるのだ。
「もう少し、深い方がよかったかな」
ピザのように手で皿を回しながら、ルゥラが呟く。
「ルゥラがデザインしたの?」机の前にある椅子に座って、月夜は尋ねた。
「うん……。全部、ちゃんとデザインしてあるんだよ。だから、どれも形が違うの」
「全部って、街にあるのも全部?」
「そうだよ。量産する能力が、私にはないから……」
人間が手で作るものは、どれ一つとして同じデザインにはならない。厳密には、機械で作ったものでもまったく同じになることはないが、そういう意味ではない。
学校に行き、そして帰る間、月夜は道に散らばっている皿を踏みつけて歩いてきた。それらの一つ一つをルゥラがデザインしたものだと思うと、なんとなく心持ちが良くなかった。
だから、謝ることにした。
「ルゥラ、ごめんなさい」
月夜がそう言うと、ルゥラは持っていた皿の向こうから大きな目をこちらに向けた。
「え? 何が?」
「私は、貴女が作った皿を、踏んでしまった」
「踏んで? あ、道を歩くときにってこと?」
「そう」
「それで、どうして謝るの?」
「どうしてだろう……」月夜は一度目を背ける。「分からない」
「道に散らかしたら、しゃりしゃり音がして、面白いかなって思ったんだよ」ルゥラは説明した。「だから、踏んで正解なんだよ。どう? 面白かったでしょ?」
月夜は再び顔を上げ、ルゥラを見る。
「面白かった」
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