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月明かりのしたで sideフリードリヒ
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半年ぶりに腕のなかに取り戻したジュリエンヌ。
薔薇の香りがして、細く柔らかな体を抱き締めることが出来たことに心から安堵した。
泣いて嗚咽を漏らすほどに嫌なのかと不安になってしまったけれど、途切れ途切れに口にしたのは謝罪の言葉で……俺より先に、それもなんの瑕疵もないジュリエンヌに謝らせてしまったことが申し訳なくて情けない。
「ジュリエンヌ…俺の最愛の人……愛してる」
もう二度と伝えられないと思っていた。
もう二度と抱き締められないのだと…
もう二度と、その柔らかい唇に口付けすることも叶わないのだと……
半年ぶりに触れたジュリエンヌの唇は変わらずに柔らかくて、抑えなければと思うのに…沸き上がる感情に流されて、何度も角度を変えては最愛の人の唇に触れた。
「フリード…」
不安に揺れていた瞳にはもうその翳りはなく、あるのは以前のように甘く蕩けた輝きだけ。
もう離したくない。
いつまでも腕のなかに閉じ込めて、ジュリエンヌが綺麗だ大好きだと言ってくれるこの髪の幕で覆っていたい。
「ジュリエンヌ…」
欲を孕んだ声音になってしまった自覚はあり、ジュリエンヌの反応が怖くなった…が、返ってきたものは甘く細められた目と少しだけ開かれた唇。
溢れる吐息すら自分のものにしてしまいたくて、何も言わずに後頭部に右手を回して唇を重ね塞いだ。
絡まる舌が思っていたよりも温かくて、久し振りに感じるジュリエンヌの甘さが体を熱くする。
細い腕を首に回されたことで俺の緊張もすべて解け、空いた左手を細い腰に回して体を密着させた。
そのことで反応しつつある部分に気付かれてしまうであろう事も構わず、全身に伝わるジュリエンヌの温もりを堪能してしまう。
「はぅ…っ」
あまりにも夢中になってしまい、気が付けば酸素不足になったジュリエンヌが腕のなかでくたりとしてしまった。
「…可愛い……愛してる…」
少しだけ顔を離して月明かりに照らされたジュリエンヌは、この世のものとは思えないほどに光り輝いていて…赤らめた頬に堪らず口付けを落とす。
もう二度と出来ないと思っていたから、ジュリエンヌに直接触れることがやめられない。あちこちに口付ける俺に「くすぐったい」と言うけれど、決して拒絶することはなく享受してくれる。
「ジュリエンヌ」
もう二度と呼べないと思っていた最愛の人の名前を何度も何度も繰り返す。そのたびに微笑んでくれるのが嬉しくて、手触りのいい髪に指を通しては…やはり何度も口付けてしまう。
「もう離れたくない」
思わず告げた言葉にもジュリエンヌは破顔して喜んでくれて、彼女の方からも幾度となく口付けが送られた。
それからも立ったままクスクスと笑い合う俺達の元に、タイミングを見計らっていたであろうミーシャが「お茶をお持ち致しました」とやって来た。
彼女にも心配や迷惑をかけ続けてきたから、ジュリエンヌを抱き締めたままではあるが謝罪をすれば、
「お嬢様がお幸せなら」
と笑って答えてくれた。
ジュリエンヌが嫁いでくるときには、ミーシャも専属として付き添うと聞いている。俺としても、幼い頃からの付き合いとなるミーシャがいてくれることは心強い。
「フリード…お花が……」
ジュリエンヌの視線を追えば、芝生の上に無造作に落ちているいくつもの花束。彼女の涙に動揺して放り投げてしまっていたことを思い出す。
「どうぞ」
ミーシャが拾いあげてくれた花束を持って、お茶が用意されていくテーブルにふたりで並んで座り…用意してきた花束をひとつずつジュリエンヌに渡していく。
一つ目は1本の薔薇…初めて出会った時には恋に落ちていたことを表し、花言葉は〔一目惚れ〕。
二つ目は3本の薔薇…ただひたすらに貴女を思う気持ちを表し、花言葉は〔愛しています〕。
三つ目は4本の薔薇…この気持ちは変わることがない思いを表し、花言葉は〔死ぬまで変わらぬ愛を〕。
四つ目は5本の薔薇…〔あなたに出会えたことの喜び〕を。
五つ目は11本の薔薇…〔最愛なる貴女〕へ。
「そして、すべてを合わせた24本の薔薇を愛するジュリエンヌに捧げる」
〔いつも貴女を想っています〕
花言葉に含まれた意味をしっかりと受け取ってくれたジュリエンヌは、嬉しそうに微笑んでからポロポロと涙を溢してしまい…濡れた長い睫毛も綺麗だな…などと見惚れて、無意識に彼女の目元に口付けた。
「もう悲しませない」
「…はい」
頬に残る涙のあとにも口付けて、ミーシャが用意していた冷たいタオルで優しく目元を冷やしてあげた。
その間もジュリエンヌは俺にぴったりと寄り添い離れようとせず、様子を見ていた侯爵夫妻とマクシウルが合流してもそれは変わらなかった。
「ジュリエンヌ…少し離れなさい」
侯爵の言葉は淑女としての礼儀作法に対する指摘と言うよりも、よその男にべったりの娘に対する焼きもちのようで…それをジュリエンヌも感じたのか、
「嫌です、離れません」
と言って尚更くっついて離れない始末。その姿が可愛くて、絡まる腕を解いて抱き締めた。
「……まったく、今朝まで部屋に閉じ籠ってメソメソしておったのに…それで?結婚式はどうするんだ?言っておくが、嫁がせるまではこの家で過ごさせるからな」
ふんっ、と鼻息荒く紅茶を飲む侯爵に、腕のなかにいるジュリエンヌがキッと睨むが…それすらも可愛い。
「ジュリエンヌ…君さえ許してくれるなら、半年後に結婚式を行いたい。予定していた神殿や神官にも改めて報告に行かなくてはならないし、準備も慌ただしくしなくてはならないと思うけれど…」
どうだろうか?…そう尋ねれば、ジュリエンヌから貰えた答えは喜びと安堵しかないもので…けれど何かを考えるような仕草をする。
「なにか心配事はある?」
余計な外野は黙らせればいい。愛しいジュリエンヌは、ただ皆に祝福されて花嫁となってもらいたい。
「あの…心配と言うか…その……」
言い淀む姿にピンときた。
「ちなみに、ウェディングドレスは仕立て途中になっていたものを俺の部屋に飾ったままにしてあるんだ…もしジュリエンヌがそれでもいいと言ってくれるなら、」
話の途中でジュリエンヌがガバリと抱きついてきた。しっかりと鍛えておいたおかげで、突然の可愛い衝撃もなんなく受け止めることが出来る。
(可愛いなぁ…柔らかくていい匂いだし……)
少しだけ不埒な気持ちになってしまったけれど、顔をあげたジュリエンヌが泣いていることで血の気が引く。
「ご、ごめんっ!嫌だった?嫌だよね?式は半年後じゃなくてもいいし、ジュリーの思うようなドレスを仕立て直してくれていいからっ…」
途端に慌て出した俺に「ジュリエンヌが絡むとポンコツになるよな」とマクシウルの声が聞こえるが、俺にとって最優先事項はいつだってジュリエンヌだ。まして俺が原因で泣かせるなどもってのほか。
「ちが…っ……嬉しくて…」
無期限の延期となったジュリエンヌとの結婚式を諦めきれず、折れそうな心を支えてくれたのは仕立て途中のウェディングドレスだった。
嬉しそうに、デザイナーや針子と一緒にあぁでもないこうでもないと仕立てていたジュリエンヌの姿を思い出し、トルソーに飾ったままのウェディングドレスを毎日のように眺めて過ごしていた。
曰く付きとなった結婚式用に仕立てられたウェディングドレスだから、もう要らないと言われることも覚悟していたし、それなら新しいものを仕立てればいいと思っていたけれど…
「ありがとう、フリード…大切にとっておいてくれて」
幼い頃から夢見ていた結婚式を具現化するために、ふたりで一から作り上げていたもののひとつであるウェディングドレス…捨てられるわけがない。
「…少し痩せてしまったし、サイズ調整は必要だと思うけどね」
ただでさえ華奢なジュリエンヌを痩せ細らせてしまったことに後悔が押し寄せるが、不意に口付けがされてその感情も一気に霧散する。
「フリードもね」
スルリと頬を撫でられて苦笑してしまう。
どんなに厳しい鍛練や勉学にも体重を減らすような精神はしていなかったはずなのに、ジュリエンヌを失うかもしれない恐怖には勝てなかった。
以前より細くなったジュリエンヌの腰に手を回して抱き寄せ、その存在の有り難さを改めて実感する。
「……よく半年も離れていられたもんだよ」
マクシウルの呆れた物言いは無視して、ひたすらにジュリエンヌの存在を堪能していると……うぉっほん!!と言う侯爵の咳払いで、少しだけ…ほんの少しだけ体を離した。
ジュリエンヌが抱きついたままなのは見逃してほしい。
「……そろそろ夕餐の時間だ、フリードリヒも食べていきなさい」
なんだかんだと俺にも優しい侯爵に感謝し、愛しいジュリエンヌを伴いゆっくりとダイニングへと向かった。
薔薇の香りがして、細く柔らかな体を抱き締めることが出来たことに心から安堵した。
泣いて嗚咽を漏らすほどに嫌なのかと不安になってしまったけれど、途切れ途切れに口にしたのは謝罪の言葉で……俺より先に、それもなんの瑕疵もないジュリエンヌに謝らせてしまったことが申し訳なくて情けない。
「ジュリエンヌ…俺の最愛の人……愛してる」
もう二度と伝えられないと思っていた。
もう二度と抱き締められないのだと…
もう二度と、その柔らかい唇に口付けすることも叶わないのだと……
半年ぶりに触れたジュリエンヌの唇は変わらずに柔らかくて、抑えなければと思うのに…沸き上がる感情に流されて、何度も角度を変えては最愛の人の唇に触れた。
「フリード…」
不安に揺れていた瞳にはもうその翳りはなく、あるのは以前のように甘く蕩けた輝きだけ。
もう離したくない。
いつまでも腕のなかに閉じ込めて、ジュリエンヌが綺麗だ大好きだと言ってくれるこの髪の幕で覆っていたい。
「ジュリエンヌ…」
欲を孕んだ声音になってしまった自覚はあり、ジュリエンヌの反応が怖くなった…が、返ってきたものは甘く細められた目と少しだけ開かれた唇。
溢れる吐息すら自分のものにしてしまいたくて、何も言わずに後頭部に右手を回して唇を重ね塞いだ。
絡まる舌が思っていたよりも温かくて、久し振りに感じるジュリエンヌの甘さが体を熱くする。
細い腕を首に回されたことで俺の緊張もすべて解け、空いた左手を細い腰に回して体を密着させた。
そのことで反応しつつある部分に気付かれてしまうであろう事も構わず、全身に伝わるジュリエンヌの温もりを堪能してしまう。
「はぅ…っ」
あまりにも夢中になってしまい、気が付けば酸素不足になったジュリエンヌが腕のなかでくたりとしてしまった。
「…可愛い……愛してる…」
少しだけ顔を離して月明かりに照らされたジュリエンヌは、この世のものとは思えないほどに光り輝いていて…赤らめた頬に堪らず口付けを落とす。
もう二度と出来ないと思っていたから、ジュリエンヌに直接触れることがやめられない。あちこちに口付ける俺に「くすぐったい」と言うけれど、決して拒絶することはなく享受してくれる。
「ジュリエンヌ」
もう二度と呼べないと思っていた最愛の人の名前を何度も何度も繰り返す。そのたびに微笑んでくれるのが嬉しくて、手触りのいい髪に指を通しては…やはり何度も口付けてしまう。
「もう離れたくない」
思わず告げた言葉にもジュリエンヌは破顔して喜んでくれて、彼女の方からも幾度となく口付けが送られた。
それからも立ったままクスクスと笑い合う俺達の元に、タイミングを見計らっていたであろうミーシャが「お茶をお持ち致しました」とやって来た。
彼女にも心配や迷惑をかけ続けてきたから、ジュリエンヌを抱き締めたままではあるが謝罪をすれば、
「お嬢様がお幸せなら」
と笑って答えてくれた。
ジュリエンヌが嫁いでくるときには、ミーシャも専属として付き添うと聞いている。俺としても、幼い頃からの付き合いとなるミーシャがいてくれることは心強い。
「フリード…お花が……」
ジュリエンヌの視線を追えば、芝生の上に無造作に落ちているいくつもの花束。彼女の涙に動揺して放り投げてしまっていたことを思い出す。
「どうぞ」
ミーシャが拾いあげてくれた花束を持って、お茶が用意されていくテーブルにふたりで並んで座り…用意してきた花束をひとつずつジュリエンヌに渡していく。
一つ目は1本の薔薇…初めて出会った時には恋に落ちていたことを表し、花言葉は〔一目惚れ〕。
二つ目は3本の薔薇…ただひたすらに貴女を思う気持ちを表し、花言葉は〔愛しています〕。
三つ目は4本の薔薇…この気持ちは変わることがない思いを表し、花言葉は〔死ぬまで変わらぬ愛を〕。
四つ目は5本の薔薇…〔あなたに出会えたことの喜び〕を。
五つ目は11本の薔薇…〔最愛なる貴女〕へ。
「そして、すべてを合わせた24本の薔薇を愛するジュリエンヌに捧げる」
〔いつも貴女を想っています〕
花言葉に含まれた意味をしっかりと受け取ってくれたジュリエンヌは、嬉しそうに微笑んでからポロポロと涙を溢してしまい…濡れた長い睫毛も綺麗だな…などと見惚れて、無意識に彼女の目元に口付けた。
「もう悲しませない」
「…はい」
頬に残る涙のあとにも口付けて、ミーシャが用意していた冷たいタオルで優しく目元を冷やしてあげた。
その間もジュリエンヌは俺にぴったりと寄り添い離れようとせず、様子を見ていた侯爵夫妻とマクシウルが合流してもそれは変わらなかった。
「ジュリエンヌ…少し離れなさい」
侯爵の言葉は淑女としての礼儀作法に対する指摘と言うよりも、よその男にべったりの娘に対する焼きもちのようで…それをジュリエンヌも感じたのか、
「嫌です、離れません」
と言って尚更くっついて離れない始末。その姿が可愛くて、絡まる腕を解いて抱き締めた。
「……まったく、今朝まで部屋に閉じ籠ってメソメソしておったのに…それで?結婚式はどうするんだ?言っておくが、嫁がせるまではこの家で過ごさせるからな」
ふんっ、と鼻息荒く紅茶を飲む侯爵に、腕のなかにいるジュリエンヌがキッと睨むが…それすらも可愛い。
「ジュリエンヌ…君さえ許してくれるなら、半年後に結婚式を行いたい。予定していた神殿や神官にも改めて報告に行かなくてはならないし、準備も慌ただしくしなくてはならないと思うけれど…」
どうだろうか?…そう尋ねれば、ジュリエンヌから貰えた答えは喜びと安堵しかないもので…けれど何かを考えるような仕草をする。
「なにか心配事はある?」
余計な外野は黙らせればいい。愛しいジュリエンヌは、ただ皆に祝福されて花嫁となってもらいたい。
「あの…心配と言うか…その……」
言い淀む姿にピンときた。
「ちなみに、ウェディングドレスは仕立て途中になっていたものを俺の部屋に飾ったままにしてあるんだ…もしジュリエンヌがそれでもいいと言ってくれるなら、」
話の途中でジュリエンヌがガバリと抱きついてきた。しっかりと鍛えておいたおかげで、突然の可愛い衝撃もなんなく受け止めることが出来る。
(可愛いなぁ…柔らかくていい匂いだし……)
少しだけ不埒な気持ちになってしまったけれど、顔をあげたジュリエンヌが泣いていることで血の気が引く。
「ご、ごめんっ!嫌だった?嫌だよね?式は半年後じゃなくてもいいし、ジュリーの思うようなドレスを仕立て直してくれていいからっ…」
途端に慌て出した俺に「ジュリエンヌが絡むとポンコツになるよな」とマクシウルの声が聞こえるが、俺にとって最優先事項はいつだってジュリエンヌだ。まして俺が原因で泣かせるなどもってのほか。
「ちが…っ……嬉しくて…」
無期限の延期となったジュリエンヌとの結婚式を諦めきれず、折れそうな心を支えてくれたのは仕立て途中のウェディングドレスだった。
嬉しそうに、デザイナーや針子と一緒にあぁでもないこうでもないと仕立てていたジュリエンヌの姿を思い出し、トルソーに飾ったままのウェディングドレスを毎日のように眺めて過ごしていた。
曰く付きとなった結婚式用に仕立てられたウェディングドレスだから、もう要らないと言われることも覚悟していたし、それなら新しいものを仕立てればいいと思っていたけれど…
「ありがとう、フリード…大切にとっておいてくれて」
幼い頃から夢見ていた結婚式を具現化するために、ふたりで一から作り上げていたもののひとつであるウェディングドレス…捨てられるわけがない。
「…少し痩せてしまったし、サイズ調整は必要だと思うけどね」
ただでさえ華奢なジュリエンヌを痩せ細らせてしまったことに後悔が押し寄せるが、不意に口付けがされてその感情も一気に霧散する。
「フリードもね」
スルリと頬を撫でられて苦笑してしまう。
どんなに厳しい鍛練や勉学にも体重を減らすような精神はしていなかったはずなのに、ジュリエンヌを失うかもしれない恐怖には勝てなかった。
以前より細くなったジュリエンヌの腰に手を回して抱き寄せ、その存在の有り難さを改めて実感する。
「……よく半年も離れていられたもんだよ」
マクシウルの呆れた物言いは無視して、ひたすらにジュリエンヌの存在を堪能していると……うぉっほん!!と言う侯爵の咳払いで、少しだけ…ほんの少しだけ体を離した。
ジュリエンヌが抱きついたままなのは見逃してほしい。
「……そろそろ夕餐の時間だ、フリードリヒも食べていきなさい」
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