10 / 465
魔女の誕生編
ep10 幼馴染の親父さんにバレそうでヤバい!
しおりを挟む
「君は……魔女ってことでいいのかな? まさか、職業についても本当に魔女で?」
「え? ええっとぉ……? い、いや~……ソウナンデスヨー。アハハー」
一緒にいた警察官が誘拐犯を取り押さえる横で、アタシは警部さんに事情聴取を受けている。
そんでもって、この警部さんの名前は赤原 大和。タケゾーこと、赤原 武蔵の親父さんだ。
アタシも小さい頃からの家族付き合いで、何度も会ったことがあるから覚えてる。
ただ、向こうはアタシのことに気付いてないようだ。
髪型も髪色も違うし、目も情報制御用コンタクトレンズが起動している影響で瞳に魔法陣とアイシャドウが入り、普段とは雰囲気が大きく違うせいだろう。
――てか、最大の原因はこの魔女ルックだ。
アタシもノリと勢いと深夜テンションでやってたけど、よく考えたら二十歳の女がこんな恰好してるのも痛々しい。
百歩譲って恰好は良しとしよう、コスプレだって言い張れなくもない。多分。
――ただ、杖に腰かけて空飛んでたことはどう説明するよ?
「えーっと、職業欄は魔女……っと。それで? 名前は?」
「な、名前ねー。ナンデショウネー」
そんなタケゾーの親父さんだが、アタシに対して事情聴取というより、職務質問になってきている。
親父さんは昔から仕事は真面目にこなす人だ。警部になれたのにも納得できる。
ただ、今のアタシの状況は非常にマズい。ここで身バレして、後でタケゾーにもあれこれ聞かれそうで怖い。
そもそもの話、アタシもパトカーを追い越すスピードでロッドを飛行させていたわけだ。これって、速度違反じゃね?
てか、無免許運転とかもあるのかな? アタシ、車の免許も持ってないけど?
さらに言えば、アタシはこのデバイスロッドで飛行するために、燃料源としてお酒を飲んでたわけだ。これって、飲酒運転になんない?
――それらのことで動揺しまくって、どうしても片言で目を逸らしながらボカした返事をしてしまう。
「……とりあえず、署までご同行を願えるかな? どうやら、君からは色々と聞いておいた方がよさそうだ」
ほら見ろ。アタシが優柔不断な態度をとるせいで、メチャクチャ怪しまれてるじゃん。
かといって、このまま警察署まで同行するのも勘弁願いたい。
――ごめん。タケゾーの親父さん。
アタシはここでトンズラこかせてもらう。
「悪いんだけど、こっから先は禁則事項ってことで! よっと!」
「あっ! コラ! どこへ行く!?」
アタシは後ろに宙返りしながら浮かせたデバイスロッドに飛び乗り、高速道路のガードの向こう側まで移動する。
ここまで来れば、いきなり取り押さえられることもない。親父さんには悪いけど、アタシもこれ以上の説明はできんのだ。
「そいじゃ、後のお仕事は頑張ってねー、警部さん! アディオース!」
「ま、待て! 何だったんだ? あの自称魔女は……?」
親父さんの止める言葉も意に介さず、アタシはマイブームな捨て台詞を吐いて飛び去って行く。
流石に悪目立ちが過ぎた。元々はデータ検証から始まったのに、人助けをしているうちについついノッてしまった。
「でもまあ、人助け自体は気分がよかったけどねぇ」
そうして夜空を駆けながら思うのは、これまでに起こったこと。
時間にすると大したことないが、それでも実に密度の高い経験であった。
単に見過ごせなかったことから始めた人助け。それでも、今のアタシにはそれが十分に可能な力がある。
その力が人の役に立てたと思うと、胸に熱いものがこみ上げてくる。
「これはもうちっと、人助け方面で研究を進めてみますか!」
亡くなった両親も『科学は人の役に立つためにある』と言っていた。
偶然の産物ではあるが、アタシだって技術者だ。その力が人の役に立つならば、喜んで使いたい。
これまでは好奇心ばかりが先行していたが、これで目的もできた。
「よーし! 帰ったらデータからレビューとって、さらに改良してやるぞー!」
明確な目的ができれば、より一層気合も入る。
アタシは一人夜空で気を引き締め、これからの研究に期待を寄せていた。
■
「あ、あへ~……。もうダメ。ヘトヘト~……」
とはいえ、アタシも人間である以上、蓄積した疲労には勝てなかった。
丸二日間徹夜からの、能力を使った初フライト&人助け対応。
いくら酒で燃料を補充できるとはいえ、流石に限度がある。
ゴミ捨て場にあるプレハブ小屋へ戻ると、アタシは魔女の変身を解除して、そのままソファーへと倒れ込む。
「ふあ~……。一回寝よ。おやすみ~……」
どの道、当分の間は仕事も入っていない。
そんなわけで、丸一日ぐらいは眠って過ごしても問題ない。
研究やら生活やら色々と考える必要はあるが、休息だって必要なことだ。
そんなこんなで、アタシは帰ってそのまま眠りについた。
■
ドンッ! ドンッ! ドンッ!
「……んん~? 誰だよ~? まだ眠いのに~……」
そうして丸一日は寝るつもりだったのに、誰かがプレハブ小屋の扉を激しく叩く音で目が覚めてしまった。
申し訳程度に設置された窓から陽の光が差し込んでくるし、とりあえず夜明けまでは眠れたようだ。
それでもまだ眠い。もっと寝たい。
ドンッ! ドンッ! ドンッ!
「あ~……もう! しつこい来客だね! はいはい! 今出ますよ~」
そんなこちらの願望など知ったことかと、小屋の扉を叩く音は鳴り止まない。
このままでは二度寝もできない。
仕方がないので、扉の内鍵を開けて応対しようとすると――
「そ、空鳥!? よ、よかった! 無事だったんだな……!」
「……ほへ? タケゾー?」
「え? ええっとぉ……? い、いや~……ソウナンデスヨー。アハハー」
一緒にいた警察官が誘拐犯を取り押さえる横で、アタシは警部さんに事情聴取を受けている。
そんでもって、この警部さんの名前は赤原 大和。タケゾーこと、赤原 武蔵の親父さんだ。
アタシも小さい頃からの家族付き合いで、何度も会ったことがあるから覚えてる。
ただ、向こうはアタシのことに気付いてないようだ。
髪型も髪色も違うし、目も情報制御用コンタクトレンズが起動している影響で瞳に魔法陣とアイシャドウが入り、普段とは雰囲気が大きく違うせいだろう。
――てか、最大の原因はこの魔女ルックだ。
アタシもノリと勢いと深夜テンションでやってたけど、よく考えたら二十歳の女がこんな恰好してるのも痛々しい。
百歩譲って恰好は良しとしよう、コスプレだって言い張れなくもない。多分。
――ただ、杖に腰かけて空飛んでたことはどう説明するよ?
「えーっと、職業欄は魔女……っと。それで? 名前は?」
「な、名前ねー。ナンデショウネー」
そんなタケゾーの親父さんだが、アタシに対して事情聴取というより、職務質問になってきている。
親父さんは昔から仕事は真面目にこなす人だ。警部になれたのにも納得できる。
ただ、今のアタシの状況は非常にマズい。ここで身バレして、後でタケゾーにもあれこれ聞かれそうで怖い。
そもそもの話、アタシもパトカーを追い越すスピードでロッドを飛行させていたわけだ。これって、速度違反じゃね?
てか、無免許運転とかもあるのかな? アタシ、車の免許も持ってないけど?
さらに言えば、アタシはこのデバイスロッドで飛行するために、燃料源としてお酒を飲んでたわけだ。これって、飲酒運転になんない?
――それらのことで動揺しまくって、どうしても片言で目を逸らしながらボカした返事をしてしまう。
「……とりあえず、署までご同行を願えるかな? どうやら、君からは色々と聞いておいた方がよさそうだ」
ほら見ろ。アタシが優柔不断な態度をとるせいで、メチャクチャ怪しまれてるじゃん。
かといって、このまま警察署まで同行するのも勘弁願いたい。
――ごめん。タケゾーの親父さん。
アタシはここでトンズラこかせてもらう。
「悪いんだけど、こっから先は禁則事項ってことで! よっと!」
「あっ! コラ! どこへ行く!?」
アタシは後ろに宙返りしながら浮かせたデバイスロッドに飛び乗り、高速道路のガードの向こう側まで移動する。
ここまで来れば、いきなり取り押さえられることもない。親父さんには悪いけど、アタシもこれ以上の説明はできんのだ。
「そいじゃ、後のお仕事は頑張ってねー、警部さん! アディオース!」
「ま、待て! 何だったんだ? あの自称魔女は……?」
親父さんの止める言葉も意に介さず、アタシはマイブームな捨て台詞を吐いて飛び去って行く。
流石に悪目立ちが過ぎた。元々はデータ検証から始まったのに、人助けをしているうちについついノッてしまった。
「でもまあ、人助け自体は気分がよかったけどねぇ」
そうして夜空を駆けながら思うのは、これまでに起こったこと。
時間にすると大したことないが、それでも実に密度の高い経験であった。
単に見過ごせなかったことから始めた人助け。それでも、今のアタシにはそれが十分に可能な力がある。
その力が人の役に立てたと思うと、胸に熱いものがこみ上げてくる。
「これはもうちっと、人助け方面で研究を進めてみますか!」
亡くなった両親も『科学は人の役に立つためにある』と言っていた。
偶然の産物ではあるが、アタシだって技術者だ。その力が人の役に立つならば、喜んで使いたい。
これまでは好奇心ばかりが先行していたが、これで目的もできた。
「よーし! 帰ったらデータからレビューとって、さらに改良してやるぞー!」
明確な目的ができれば、より一層気合も入る。
アタシは一人夜空で気を引き締め、これからの研究に期待を寄せていた。
■
「あ、あへ~……。もうダメ。ヘトヘト~……」
とはいえ、アタシも人間である以上、蓄積した疲労には勝てなかった。
丸二日間徹夜からの、能力を使った初フライト&人助け対応。
いくら酒で燃料を補充できるとはいえ、流石に限度がある。
ゴミ捨て場にあるプレハブ小屋へ戻ると、アタシは魔女の変身を解除して、そのままソファーへと倒れ込む。
「ふあ~……。一回寝よ。おやすみ~……」
どの道、当分の間は仕事も入っていない。
そんなわけで、丸一日ぐらいは眠って過ごしても問題ない。
研究やら生活やら色々と考える必要はあるが、休息だって必要なことだ。
そんなこんなで、アタシは帰ってそのまま眠りについた。
■
ドンッ! ドンッ! ドンッ!
「……んん~? 誰だよ~? まだ眠いのに~……」
そうして丸一日は寝るつもりだったのに、誰かがプレハブ小屋の扉を激しく叩く音で目が覚めてしまった。
申し訳程度に設置された窓から陽の光が差し込んでくるし、とりあえず夜明けまでは眠れたようだ。
それでもまだ眠い。もっと寝たい。
ドンッ! ドンッ! ドンッ!
「あ~……もう! しつこい来客だね! はいはい! 今出ますよ~」
そんなこちらの願望など知ったことかと、小屋の扉を叩く音は鳴り止まない。
このままでは二度寝もできない。
仕方がないので、扉の内鍵を開けて応対しようとすると――
「そ、空鳥!? よ、よかった! 無事だったんだな……!」
「……ほへ? タケゾー?」
0
あなたにおすすめの小説
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
竜皇女と呼ばれた娘
Aoi
ファンタジー
この世に生を授かり間もなくして捨てられしまった赤子は洞窟を棲み処にしていた竜イグニスに拾われヴァイオレットと名づけられ育てられた
ヴァイオレットはイグニスともう一頭の竜バシリッサの元でスクスクと育ち十六の歳になる
その歳まで人間と交流する機会がなかったヴァイオレットは友達を作る為に学校に通うことを望んだ
国で一番のグレディス魔法学校の入学試験を受け無事入学を果たし念願の友達も作れて順風満帆な生活を送っていたが、ある日衝撃の事実を告げられ……
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
美味しいコーヒーの愉しみ方 Acidity and Bitterness
碧井夢夏
ライト文芸
<第五回ライト文芸大賞 最終選考・奨励賞>
住宅街とオフィスビルが共存するとある下町にある定食屋「まなべ」。
看板娘の利津(りつ)は毎日忙しくお店を手伝っている。
最近隣にできたコーヒーショップ「The Coffee Stand Natsu」。
どうやら、店長は有名なクリエイティブ・ディレクターで、脱サラして始めたお店らしく……?
神の舌を持つ定食屋の娘×クリエイティブ界の神と呼ばれた男 2人の出会いはやがて下町を変えていく――?
定食屋とコーヒーショップ、時々美容室、を中心に繰り広げられる出会いと挫折の物語。
過激表現はありませんが、重めの過去が出ることがあります。
【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
※2026年半ば過ぎ完結予定→七月に完結(決定)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる