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魔女と家族の新たな日常編
ep228 野暮な取材はお断りさ!
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「ですが、あの騒動の最中にあなたを目撃したという情報も――」
「ノーコメントったら、ノーコメント。アタシがあの一件に関わってたとしても、話すことなんてなーんにもないよ」
アタシも盛大に関与していた、星皇社長によるワームホール事件だが、そのことは世間に多少なりとも知れ渡っている。
知れ渡ってるって言っても『星皇社長が大凍亜連合をバックから動かしていたらしい』とか『空色の魔女が白い魔女装束でいたらしい』といった噂レベルの話だ。
だけども、マスコミさんからしたらそんな噂話でも、食いつくには十分な餌みたいでね。最近はアタシが騒動に駆けつけた場に現れては、その話をしつこく聞いてくるのよ。
「ただ、大凍亜連合の暴動と星皇社長の失踪は同時期に起こっており、そこに空色の魔女も居合わせていたのです。何か知っていることがあれば、話していただきたいのですが……?」
「本当に何も話せないのさ。……星皇社長の件については、本当に何もね」
それでも、アタシはこの手の取材に関しては徹底的にはぐらかして対応している。
だってさ、この話の行きつく先って、結局はもうこの世界にいない星皇社長の話なのよ? そんなことを今更ほじくり返して、どうなるって言うのよ?
星皇社長は公には行方不明って扱いになってるし、そこの真実を追いたくなる気持ちも分からなくはない。
あの人は噂の通りに大凍亜連合をバックで操るどころか、将軍艦隊なんて言う傭兵部隊とも契約していた。
そして『我が子を蘇らせるために、世界を巻き込もうとした』という真実をアタシは知っている。
こんなことが世の中にリークしてしまえば、もうこの世界にいないとは言っても、星皇社長の尊厳を傷つけてしまう。
――アタシはただ、それが嫌なんだ。
確かに星皇社長の行いは許されざるものだったけど、アタシが最後に見たあの人の姿は狂気から解放され、自らの行動への責任を果たした一人の人間だった。
別にこれだって、アタシがそう思うからそうしてるだけって話。だけど星皇社長の尊厳を傷つけないためにも、アタシはこの真相を語るつもりなどない。
「そ、そうですか……。では、一部で目撃情報が上がっている白い魔女装束についても、ノーコメントと言うことで?」
「あー……うん。あれもノーコメントでお願いね。これからはいつも通り、この黒い魔女装束でやってくつもりだから」
それと、インタビュアーさんも語る白い魔女装束――モデル・パンドラについても詳細は伏せておこう。
こっちに関しては星皇社長の尊厳っていうより、単純に説明が面倒なのよね。
パンドラの箱の話だってあるし、そもそもモデル・パンドラ自体が普段のヒーロー活動自体に向いてないってのもある。
変身ブローチに収納不可で、装着中はガジェットも使用不能。
さらに星皇社長との決戦の時にも感じたんだけど、あれってかなり燃費が悪いのよ。
あの時は必死だったし他に手がなかったからそれでよかったけど、日常の中でヒーローとして急遽出動する必要が出てくると、こういう携帯性と燃費の悪さは大きなデメリットだ。
まあ、モデル・パンドラを使わなきゃいけない事態なんてそうそうないし、むしろ使わずに済むならそれが一番。
よって、今後も普段のヒーロー活動においては、初期の黒い魔女装束で十分だ。
「……ッ!? 隼さん、あのビルの屋上!」
「む……!? まだ取り残しがいたってか!?」
アタシが軽く取材を受けていても、ショーちゃんは警戒を怠らずに何かを見つけてくれたようだ。本当に頼りになる。
指差してくれた方向に軽く目をやると、スナイパーライフルを構えた男がこちらを狙っているのが見える。
とはいえ、その銃口はブレブレだ。ラルカさんみたいな超凄腕のスナイパーというわけでもなく、アタシを敵視しつつも戦い慣れしてない下っ端構成員ってところか。
あの様子だと、まともに引き金も引けそうにないね。
どうにも、アタシもこれまでの活動の中で『戦いの勘』みたいなのが見えてきたようだ。
本当はそんなもの欲しくもなかったんだけどね。まあ、成り行きだから仕方ないね。
――とりあえず、見つけてしまった以上は早々に対処させてもらいましょう。
アタシ以外の人に当たったら大変だ。
「ちょいと失礼~。ヒーロー記者会見もお開きでね~」
「そ、空色の魔女さん? 杖なんか構えて、何をするつもりで?」
周囲に群がっていた報道陣をかき分け、アタシは手に持っていたデバイスロッドをスナイパーライフルのように構える。
先端はこちらを狙うスナイパーに合わせ、あっちと同じように片目を瞑って狙いを定める。
――これは星皇社長がアタシに託してくれた改良型デバイスロッドが可能にした新技だ。
導電率の向上とコンデンサのような蓄電機能を両立させ、そのエネルギーを一気に解放する電気の弾丸――
ビュウゥウン!!
「つ、杖からビームが!?」
「見ろ! あのビルの屋上にまだ誰か隠れてたぞ!」
――ありていに言えば、ビームライフルという奴だ。威力も調整して、屋上にいたスナイパーも無力化完了。
コンタクトレンズのターゲット機能も合わせれば、こういった遠距離狙撃もできるようになった。
星皇社長の技術はやっぱり凄い。短時間の間にこんなことを可能にする機能を搭載してくれるなんて、アタシにだってできるかどうか。
そもそも星皇社長はアタシの能力を見知ってるだけで、解明まではできていなかったはずだ。これってつまり、設計図なしでこんな技術を搭載してくれたってことよ? これ、マジで凄くね?
――できることなら、星皇社長にはお礼を言ってからお別れしたかったもんだ。
「他に敵さんが隠れてる様子はなさそうだねぇ」
「ボクも確認した。大丈夫」
「そっか。そいじゃ、アタシ達は帰るとしましょうか」
ともあれ、これにて今回の大凍亜連合残党討伐は終了。ショーちゃんとも再度周囲は確認したし、用が済んだ以上は直帰したい。
そろそろ夕飯の時間でお腹も空いてきたからね。アタシとショーちゃんは一緒になって宙に浮くデバイスロッドに腰かけ、帰り支度を始める。
「す、すみません! もう少し取材を……!」
「残念だけど、アタシにも生活があるもんでね。こういう時、アタシが何て言うか知ってる?」
「え、えーっと……確かスペイン語で……」
「スペイン語であることまで出て来てて、肝心な言葉の方が出てこないの? てか、あれってスペイン語だったんだ」
報道陣はまだしつこいけど、こっちは空を飛べるんだ。飛んでしまえば、撒くことなんて造作もない。
そしてこういう時、アタシには決め台詞みたいなものがある。インタビュアーさんは喉の辺りまで出かかってるけど、どうにもあと一歩で出てこない感じ。
そうやって悩んでいる間に、アタシはお暇させてもらおう。
もちろん、答え合わせ的に決め台詞を口にしてだ。
「そいじゃ……アディオース!」
「ノーコメントったら、ノーコメント。アタシがあの一件に関わってたとしても、話すことなんてなーんにもないよ」
アタシも盛大に関与していた、星皇社長によるワームホール事件だが、そのことは世間に多少なりとも知れ渡っている。
知れ渡ってるって言っても『星皇社長が大凍亜連合をバックから動かしていたらしい』とか『空色の魔女が白い魔女装束でいたらしい』といった噂レベルの話だ。
だけども、マスコミさんからしたらそんな噂話でも、食いつくには十分な餌みたいでね。最近はアタシが騒動に駆けつけた場に現れては、その話をしつこく聞いてくるのよ。
「ただ、大凍亜連合の暴動と星皇社長の失踪は同時期に起こっており、そこに空色の魔女も居合わせていたのです。何か知っていることがあれば、話していただきたいのですが……?」
「本当に何も話せないのさ。……星皇社長の件については、本当に何もね」
それでも、アタシはこの手の取材に関しては徹底的にはぐらかして対応している。
だってさ、この話の行きつく先って、結局はもうこの世界にいない星皇社長の話なのよ? そんなことを今更ほじくり返して、どうなるって言うのよ?
星皇社長は公には行方不明って扱いになってるし、そこの真実を追いたくなる気持ちも分からなくはない。
あの人は噂の通りに大凍亜連合をバックで操るどころか、将軍艦隊なんて言う傭兵部隊とも契約していた。
そして『我が子を蘇らせるために、世界を巻き込もうとした』という真実をアタシは知っている。
こんなことが世の中にリークしてしまえば、もうこの世界にいないとは言っても、星皇社長の尊厳を傷つけてしまう。
――アタシはただ、それが嫌なんだ。
確かに星皇社長の行いは許されざるものだったけど、アタシが最後に見たあの人の姿は狂気から解放され、自らの行動への責任を果たした一人の人間だった。
別にこれだって、アタシがそう思うからそうしてるだけって話。だけど星皇社長の尊厳を傷つけないためにも、アタシはこの真相を語るつもりなどない。
「そ、そうですか……。では、一部で目撃情報が上がっている白い魔女装束についても、ノーコメントと言うことで?」
「あー……うん。あれもノーコメントでお願いね。これからはいつも通り、この黒い魔女装束でやってくつもりだから」
それと、インタビュアーさんも語る白い魔女装束――モデル・パンドラについても詳細は伏せておこう。
こっちに関しては星皇社長の尊厳っていうより、単純に説明が面倒なのよね。
パンドラの箱の話だってあるし、そもそもモデル・パンドラ自体が普段のヒーロー活動自体に向いてないってのもある。
変身ブローチに収納不可で、装着中はガジェットも使用不能。
さらに星皇社長との決戦の時にも感じたんだけど、あれってかなり燃費が悪いのよ。
あの時は必死だったし他に手がなかったからそれでよかったけど、日常の中でヒーローとして急遽出動する必要が出てくると、こういう携帯性と燃費の悪さは大きなデメリットだ。
まあ、モデル・パンドラを使わなきゃいけない事態なんてそうそうないし、むしろ使わずに済むならそれが一番。
よって、今後も普段のヒーロー活動においては、初期の黒い魔女装束で十分だ。
「……ッ!? 隼さん、あのビルの屋上!」
「む……!? まだ取り残しがいたってか!?」
アタシが軽く取材を受けていても、ショーちゃんは警戒を怠らずに何かを見つけてくれたようだ。本当に頼りになる。
指差してくれた方向に軽く目をやると、スナイパーライフルを構えた男がこちらを狙っているのが見える。
とはいえ、その銃口はブレブレだ。ラルカさんみたいな超凄腕のスナイパーというわけでもなく、アタシを敵視しつつも戦い慣れしてない下っ端構成員ってところか。
あの様子だと、まともに引き金も引けそうにないね。
どうにも、アタシもこれまでの活動の中で『戦いの勘』みたいなのが見えてきたようだ。
本当はそんなもの欲しくもなかったんだけどね。まあ、成り行きだから仕方ないね。
――とりあえず、見つけてしまった以上は早々に対処させてもらいましょう。
アタシ以外の人に当たったら大変だ。
「ちょいと失礼~。ヒーロー記者会見もお開きでね~」
「そ、空色の魔女さん? 杖なんか構えて、何をするつもりで?」
周囲に群がっていた報道陣をかき分け、アタシは手に持っていたデバイスロッドをスナイパーライフルのように構える。
先端はこちらを狙うスナイパーに合わせ、あっちと同じように片目を瞑って狙いを定める。
――これは星皇社長がアタシに託してくれた改良型デバイスロッドが可能にした新技だ。
導電率の向上とコンデンサのような蓄電機能を両立させ、そのエネルギーを一気に解放する電気の弾丸――
ビュウゥウン!!
「つ、杖からビームが!?」
「見ろ! あのビルの屋上にまだ誰か隠れてたぞ!」
――ありていに言えば、ビームライフルという奴だ。威力も調整して、屋上にいたスナイパーも無力化完了。
コンタクトレンズのターゲット機能も合わせれば、こういった遠距離狙撃もできるようになった。
星皇社長の技術はやっぱり凄い。短時間の間にこんなことを可能にする機能を搭載してくれるなんて、アタシにだってできるかどうか。
そもそも星皇社長はアタシの能力を見知ってるだけで、解明まではできていなかったはずだ。これってつまり、設計図なしでこんな技術を搭載してくれたってことよ? これ、マジで凄くね?
――できることなら、星皇社長にはお礼を言ってからお別れしたかったもんだ。
「他に敵さんが隠れてる様子はなさそうだねぇ」
「ボクも確認した。大丈夫」
「そっか。そいじゃ、アタシ達は帰るとしましょうか」
ともあれ、これにて今回の大凍亜連合残党討伐は終了。ショーちゃんとも再度周囲は確認したし、用が済んだ以上は直帰したい。
そろそろ夕飯の時間でお腹も空いてきたからね。アタシとショーちゃんは一緒になって宙に浮くデバイスロッドに腰かけ、帰り支度を始める。
「す、すみません! もう少し取材を……!」
「残念だけど、アタシにも生活があるもんでね。こういう時、アタシが何て言うか知ってる?」
「え、えーっと……確かスペイン語で……」
「スペイン語であることまで出て来てて、肝心な言葉の方が出てこないの? てか、あれってスペイン語だったんだ」
報道陣はまだしつこいけど、こっちは空を飛べるんだ。飛んでしまえば、撒くことなんて造作もない。
そしてこういう時、アタシには決め台詞みたいなものがある。インタビュアーさんは喉の辺りまで出かかってるけど、どうにもあと一歩で出てこない感じ。
そうやって悩んでいる間に、アタシはお暇させてもらおう。
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すごいよね。
―――――――――
以前公開していた小説のセルフリメイクです。
アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。
基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。
1話2000~3000文字で毎日更新してます。
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