空色のサイエンスウィッチ

コーヒー微糖派

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将軍艦隊編・破

ep313 戦ってる場合じゃなくない!?

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「フ、フロスト博士? もしかして今の状況って、将軍艦隊ジェネラルフリートだけじゃなく、アタシにとってもマズい感じ?」
【その通りだってーの! 空色の魔女! 将軍艦隊ジェネラルフリートが固厳首相から切り離された今、こっそりコメットノアを持ち出して完全に手切れとするつもりだったってーのに、これじゃ完全に動きがバレちまったじゃねーか!? しーかーもー! テメー自身も固厳首相には狙われてる立場だろーが!? コメットノアから警報が発信されちまったら、そっちも追われちまうだろーが!? その辺り、考えて動いてんのかってー話だ!!】
「……言われてみると、改めて脅威を実感しました」

 通信機から聞こえてきたフロスト博士の怒鳴り声で、アタシもようやく現状のマズさを理解した。
 今の大局って、アタシ達VS将軍艦隊ジェネラルフリートVS固厳首相の三つ巴なのよね。
 将軍艦隊ジェネラルフリートが固厳首相や星皇カンパニーの所有するコメットノア強奪を食い止められても、それを妨害したアタシ自身にも矛先が向けられてしまう。
 将軍艦隊ジェネラルフリートからコメットノアを奪われないようにすること優先で動いてたけど、こっちも派手に動き過ぎたか。

 ――てか、こうなった最大の原因って、アタシが牙島を戦艦コメットノア側面に牙島を叩きつけたからだよね?
 アタシも奇襲とか言って、テンション高く突っ込みすぎたか。

「ボス。自分達はいかがいたしましょうか?」
【コメットノアを持ち出す計画は頓挫だ! 固厳首相が将軍艦隊ジェネラルフリートにどー打って出てこよーが、本国から呼び寄せた本隊がいれば返り討ちにはできる! ……だが、空色の魔女は話が別ってーもんだ! この場で叩きのめしちめーな!】
「かしこまりました。ボスの命令により、空色の魔女を排除いたします」
【後、ラルカ! 今は平静を装ってるが、オメーももーちょい落ち着いて動けってーんだ! 空色の魔女が突入する前、荒れまくってたのは俺様だって知ってんだからな!?】
「……申し訳ございません。少々、日頃のストレスも溜まっていたもので。ですが、今は眼前のターゲットに狙いを絞ります」

 フロスト博士も相当お怒りなのか、もはやアタシのことは見逃せないといった様子でラルカさん達に命令を下している。
 そりゃそうなるか。固厳首相が敵に回ったのに、これ以上は余計な敵を増やしたくもないのだろう。

 ――ただ、あんまりラルカさんに怒鳴るのはやめてあげてほしいかな?
 声では落ち着いてるけど、さっきからアタシには眉がピクピクして苛立ちを抑えてるのが見えてるのよ。

【コメットノアの機体を動かすための白陽はくよう炉はそのままにするしかねーな! 俺様とフレイムも出撃するから、まずは空色の魔女をどーにかするぞ! 将軍艦隊ジェネラルフリート! 全部隊、出撃しやがれぇぇええ!!】
「そういうことです、ミス空鳥。あなたはここで将軍艦隊ジェネラルフリートの手により、今度という今度こそ再起不能になってもらいます」
「冷静に宣戦布告しとるけど、顔が引きつっとんぞ?」
「今はそげん余計なこと言っとる場合でもなか。固厳首相が動く前に、空色の魔女さぶちのめすこと考えるけん」

 なんだか思わぬ展開になっちゃったけど、将軍艦隊ジェネラルフリートの皆さんはやる気満々だ。
 こっちとしても敵に回す覚悟はあったわけだし、向かってくるなら蹴散らしたい。

【……隼。気合は入ってるみたいだが、ここは一度退却した方がいいぞ? あそこまで堪忍袋の緒が切れた将軍艦隊ジェネラルフリートが相手なだけでなく、フロスト博士やフレイムまでこっちに向かってるんだ。流石に危険すぎる】
「……冷静なブレイン、タケゾー参謀のおっしゃる通りで。フロスト博士はともかく、フレイムとの再戦はできれば御免だね。こっちとしても、この場に留まるのは得策じゃないか……」

 とはいえ、アタシも冷静に動くべき場面だ。ウィッチキャット越しにタケゾーがアドバイスを送ってくれて、アタシも落ち着いて考え直す。
 そもそもこの場所に固厳首相の手先が向かっているとすれば、それだけで単身のアタシは窮地に立たされてしまう。
 おまけにここにはコメットノアがあるから、下手に暴れすぎて破壊なんてしたくない。そんなことになったら、フクロウさんにどんな顔をすればいいのやら。

 そうなると、まずとるべき手段は一つ――



「来て早々だけど……アディオス!」
「あ、あいつ!? 好き放題に暴れてから逃げおった!? 何がしたかったんや!?」
「逃げるのが適切な場面とはいえ、どこか腹が立ちますね……!」
「とにかく追うばい! 逃がしゃせんね!」



 ――戦力的撤退しかない。いきなり奇襲をした直後だけど、戦況って常に流転するからね。仕方ないね。
 洞窟内にいた将軍艦隊ジェネラルフリートの構成員も撒きながら、アタシは大急ぎで外へ出る。
 ウィッチキャットもデバイスロッドに掴まってくれてるし、ある程度高度を上げておけば敵さんもすぐには追って来れないでしょ。

「ごめん! フクロウさん! マズいことになった! 要点だけ言うと『将軍艦隊ジェネラルフリートのコメットノア強奪は阻止できた』んだけど『固厳首相と将軍艦隊ジェネラルフリートから追われる立場になった』って状態!」
【おいおい!? そりゃまたとんでもない急展開じゃんか!? 何があったかは後にするけど、とりあえず将軍艦隊ジェネラルフリートの強奪計画を阻止できただけでも上出来だ! ソラッチャンもすぐにそこから逃げてくれ! オレッチも援護に入る!】
「うん、お願い! アタシも迎撃はするけど、今は逃げの一手しかないからね!」

 空を飛びながらイヤホンマイクでフクロウさんと連絡を取り、とりあえずの状況だけは伝える。
 通話越しに驚いてるけど、今はとにかく逃げるのが一番ってことだけ伝わればいい。
 フクロウさんも大事な部分だけは理解してくれたし、今頃ガンシップを出撃させてるはずだ。

「アタシは一度、タケゾー達と合流するよ! 追われながらの逃亡だし、みんなでバイクに乗った方が効率的かもね!」
【分かった! 俺も一度ウィッチキャットの操縦を切って――って!? あ、あれってまさか!?】
「え!? 今度はどうしたのさ!? ただでさえ色々と起りまくってる状況なのに!?」

 タケゾーともバイクでの合流を図るも、ウィッチキャットから聞こえる声にはどこか焦燥の色が見える。
 本当に何が起こってるのよ? 次から次へ状況が流転しすぎて、アタシも軽くパニくるんだけど?
 なんだか、デバイスロッドに掴まってるウィッチキャットの視線の先に何かあるっぽいけど――



「空色の魔女ぉぉおお!! ワイからそない簡単に逃げられると思ったら、大間違いもええとこやでぇええ!!」
「き、牙島ぁぁあ!? あんたの舌、そんなに長く伸ばせるのぉおお!?」



 ――なんと、一際高い木の上から牙島が舌を伸ばし、デバイスロッドへ巻きつけてきた。
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