空色のサイエンスウィッチ

コーヒー微糖派

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ウォリアール新婚旅行編

ep389 ちょっと反省しててよね!

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「……するってーと、空色の魔女のオメーは事態の収拾に動いてたってーことだな?」
「うん、まあ……そゆこと」
「フェリア様まで揃って、一体どーなったらこんなことになるってーんだ……」

 洗居さんもフロスト博士のことは『ウォリアールのお偉いさん』ということで面識があったらしく、その姿を見ると我に返って槍を収めてくれた。
 アタシからも事情を説明し、とりあえずは状況を理解してもらう。

 ――いや、本当に『とりあえず』って感じで。将軍艦隊ジェネラルフリートボスにしてマッドサイエンティストなフロスト博士でも、流石に理解が追い付かないご様子だ。
 そりゃそうだ。当事者のアタシだって理解が追い付いてないもん。

「とりあえず、俺様もオメーの話を信じるしかねーな。他に状況を察せる要因がねーしな」
「まあ、理解してくれるだけでもありがたい話さ。こっちこそ騒がせちゃってごめんね」

 とはいえ、フロスト博士はアタシの話自体は信じてくれた。てか、信じるしかないって状況だ。
 アタシの話以外に荒れ放題となった部屋の惨状を説明できる要素もないし、そもそも――



「とりあえず、三人とも落ち着いたよね? もう面倒だからいっぺんに言うけど、本当の本当の本当にこんなことはこれっきりにしてよね?」
「今回は俺の責任だ。面目ない……」
「いや、俺も赤原にキツく当たりすぎた……」
「超一流の清掃用務員でもある私が、なんと未熟な真似を……」



 ――現在進行形でアタシが他三名にお説教中だし。床に正座させて、反省の態度を示させる。
 いつもはアタシも騒動を起こしたり一緒に紛れ込んだりするけど、今回に限って言えばアタシは被害者だからね。完全に巻き込まれただけの立場だからね。
 これぐらい物申す権利はあるはずだ。三人も正座しながら頭を下げて真摯に受け止めくれてている。
 ウォリアールの王子様とその婚約者が含まれていてもお構いなしだ。ここはアタシもドカンと言葉にしておきたい。

「まったく……。アタシと洗居さんの『どっちの方が眼鏡が似合うか?』なんてどうでもいい話だし、洗居さんも清掃魂セイソウルを忘れて自分から部屋をメチャクチャにするしで、とんだ大惨事だったよ」
「オメーが説教垂れたくなるのも仕方ねーが、そろそろ終わりにしてくれねーか? こっちも本来は別件の用事があって来たわけだしよ」
「へ? そうなの? ごめんごめん。それで何の用事?」

 横でアタシのお説教を見ていたフロスト博士だけど、呆れながらも口を挟んでくる。どうやらこの部屋に来たのだって、何か別件での用事があったかららしい。
 これは失敬。このままアタシがお説教ばかりしていては、今度はフロスト博士に迷惑をかけてしまう。
 一応この人、ウォリアールではかなりのお偉いさんみたいだからね。かつての敵とはいえ、迷惑をかけるのはしのびない。

「用件はオメーのことだ、空色の魔女。今回オメーがこの国に来た件について、説明してくれるお方がこっちに来てくれてな」
「あー……そういや、そんな話があったんだっけ。間に色々ありすぎたもんだから、アタシも頭の奥底に押し込んだままだったや」
「……呑気な小娘だな。まー、内容を知らねーから言えるセリフか」

 そんなフロスト博士の用件は、今回アタシがウォリアールにやって来ることになったそもそもの発端の話。アタシも少し頭から抜けてたけど、これはこれで重要な話だった。
 まあ、こっちに来てから本当に色々あったからね。洗居さんの珍行動しかり、カジノでジャックポットしかり、星皇カンパニーの天鐘しかり、今回のお馬鹿な喧嘩しかり。

「話の場には空色の魔女こと空鳥 隼一人で来てもらう。他の同席は認めねーぞ」
「ちょ、ちょっと待ってください。夫の俺もダメってことですか?」
「そりゃー、ダメってことに決まってんだろーが。話が聞きたきゃ、フェリア様にでも個別で聞いてろってーんだ」

 どうやら話の場にはアタシ一人しか出席できないらしく、旦那のタケゾーでさえも同席が認められない。
 ちょいと不安だけど仕方ない話かな。新婚旅行という体裁をとったとはいえ、元々はアタシ一人がウォリアールにお呼ばれした話だったからね。

「それはつまり……もう俺の方から栗阿と赤原に話しても構わねえってことだな、フロスト?」
「そーゆーことですな。俺様も面倒な話は王族の皆々様方に投げたいもんで、そこは責任持って願いましょーか」
「……分かった。俺も気持ちを切り替えて話をしておく」

 フェリアさんのお口チャックタイムも終わったようで、アタシがいない間にタケゾーと洗居さんに説明してくれるらしい。
 わざわざアタシ一人だけ特別扱いするなんて、一体何を話すつもりだろうか? まさか、ジャックポットでイカサマ疑惑とか?

 ――それはないか。あれはこっちに来てからの話だし。

「まあ、いきなりバトルとかじゃないのなら、そこまで身構えなくても大丈夫か。それよりアタシがいない間、部屋の片付けはしっかりしといてね。後、代わりの夕食の用意も」
「それはこっちで手配しとくっつーの。いいからオメーは俺様についてこい」

 部屋のその後も気になるけど、フロスト博士を待たせるわけにもいかない。
 ドアから顔を見せながら少し小言を述べると、アタシはフロスト博士の後を追うように一人で部屋を出ていく。





「クカー……。まったく、オメーが関わるとどーしてこーもおかしなことばっかり起こるんだか……。星皇カンパニーのバックアップで入ってたころから関わってるラルカや牙島がうんざりするのも、分かるよーな話だな」
「別にアタシだって起こしたくて起こしてるんじゃないよ? 行く先々で勝手に起こってるだけさ」
「……ある意味、あのお方と似たよーなもんってーことか」

 フェリアさんの部屋を出た後、アタシはフロスト博士に連れられてタワー内のエレベーターで下の階へ移動していく。
 その際にフロスト博士の小言も聞こえてきて、ちょっと気になることがある。
 将軍艦隊ジェネラルフリートボスでさえもどこか敬意を示すような『あのお方』とは誰のことだろうか?

「ねえねえ。もしかして『あのお方』って人が、今からアタシと会って説明してくれる人だったりするの?」
「その通りだ。このウォリアールにおいて『マーシャルクイーン』と呼ばれて崇められ、フェリア様とは別で王族の血を引くお方だ」
「ん? フェリアさんと別の王族ってなると……?」

 なんとなくの予想を口にすると、アタシとしては珍しく的を得ていたようだ。こういう推理っていつもタケゾー任せだったからね。
 そして、フロスト博士の返事からも察せることがある。『本筋とは別筋の王族』ってなると、アタシも少し前に固厳首相の口から聞かされていた話だ。
 その疑問の答えが口から出るより前に、フロスト博士はひときわ大きな部屋の扉を開け、アタシを中へと案内してくれる。

 ――部屋の中でまず最初に目が合ったのは、アタシも予想してたザ・貴婦人な青髪の女性だ。



「久しいな、隼殿よ! ウォリアールでの新婚旅行は堪能していただけてるかな?」
「ク、クジャクさん!?」
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