空色のサイエンスウィッチ

コーヒー微糖派

文字の大きさ
442 / 465
武神女帝編

ep442 タケゾー「本当の黒幕が見えてしまった」

しおりを挟む
「武蔵殿よ。難しい顔をして、何を考えているのかな?」
「ちょいとこのままにした方がいいっしょ。どうやら、アカッチャンには何かが見えてきたみたいだ」

 クジャクさんとフクロウさんに見守られながら、俺は頭の中の情報を整理する。
 こちらにとっては大逆転とも言える今の情勢を踏まえ、一つだけ考えられる可能性がある。

 もしも隼がウォリアールに来なかったら? もしも天鐘が反乱を起こしていなかったら?
 ラルカさんと牙島の裏切り、クジャクさんの行動、フェリアの関与。これら全てがなかった場合の未来は?

 ――あらゆる要素を繋ぎ合わせた結果、俺の中で一つの結論が生まれつつある。

「……一応、俺の中で納得できる考えには至りました。ただ、このことを話すべきかどうか……」
「……ふむ。武蔵殿は殊勝な人物故、私もその言葉には従おう。だが、隼には話してやってくれぬか?」
「え? 隼だけに……ですか?」

 俺の中で推測が形になるも、今度は『これが事実だった場合、口にしてもよいのか?』という不安が募ってくる。
 ふとそのことを口にすると、クジャクさんが力強い眼差しで俺に訴えてくる。

「隼ならば、武蔵殿の言葉に気持ちが揺らぐこともなく、正面から受け止めるであろう。私もまだ短い期間での交流だが、信ずるに値する器量は見えている。何より、二人は夫婦であろう? 隠し事は野暮というものだ」
「……そうですね。なら、隼だけには心の隅に留めてもらいますか」

 その言葉を聞けば、俺も少し安心できる。クジャクさんだって、隼のことを想って言葉を交わしてくれてるのは間違いない。
 この人が隼の叔母さんでよかった。デザイアガルダのような私欲とは違い、隼を我が子のように大事にしてくれてるのが自然と理解できる。



「タケゾー! クジャクのおばちゃん! 戻るのが遅くなっちゃったね! ちょいと作戦会議で――あれ? フクロウさんも来てたの?」



 そうしているうちに、渦中の人物である隼が部屋へと戻ってきた。作戦会議をしてたらしいが、調子はいつもと変わらない。
 この様子なら、俺の話にも落ち着いて耳を傾けてくれそうだ。

「おお、隼も戻ったか。ならば、私とフクロウ殿はお暇させてもらうとしよう」
「え? もう帰っちゃうの?」
「もう数時間もすれば、天鐘との決戦っしょ? ソラッチャンも今は旦那と一緒に、残りの時間をゆっくり使えばいいさ」

 俺に気を使ってくれたのか、クジャクさんとフクロウさんは部屋を後にしてくれる。まだ推測の域を出ないし、あまり広く話すと混乱をも招きかねない。
 隼も不思議そうにしながら、ベッドに腰かけて俺と向かい合ってくる。

「ねえねえ、何の話をしてたのさ? ちょいと気になる空気なんだけど?」
「流石にお前でも勘付かれるぐらいには、何かしらの思惑は垣間見えたか」
「むぅ。『お前でも』って何さ? それじゃまるで、アタシが思惑絡みの話が――」
「『苦手じゃない』……と、言い切れるか?」
「……すんません。言えません。メッチャ苦手です」
「……ブフッ。隼らしい」
「うぐぐ~! タケゾーのくせに生意気だぞ! 何があったか教えなさい!」

 思わず幼い頃から慣れ親しんだやりとりをするも、誤魔化すことで隼に話さず乗り切ることはできそうにない。
 まあ、俺も隼にだけは話すつもりだったんだ。今更誤魔化しに頭を使う必要もない。

「……なあ、隼。今から俺が話すことは、あくまで一つの可能性だ。そのことを念頭に置いて、一応は耳にしてほしい」
「……もしかして、またまた名探偵タケゾー?」
「好きだな、そのフレーズ。まあ、そんな感じだ」

 話題を振ってみれば、隼は少しお茶ら気ながらも顔を寄せて話を聞こうとしてくれる。
 思えば、これまでも俺がいくらか推理担当になることはあった。俺の素人推理でしかないが、今回の件でもいくらか自信はある。

 ――もっとも、その規模が壮大過ぎて俺も全部を信じ切ることはできない。

「ウォリアールでの話をまとめてみて、俺は一つの可能性に辿り着いた。……ただ、このことは『あくまで可能性の一つ』に留めると約束してくれ。天鐘との決戦だって近いんだからな」
「くどいよ、タケゾー。アタシのやることが変わんないのなら、動揺なんてしないさ。……タケゾーだって何かに気付いちゃったから、こうして話してくれるんでしょ? 余計な心配などせず、奥様を信じなさいな」

 どうしても顔に出てしまう不安も、隼は期待と信頼の笑顔で受け入れてくれる。
 俺も頭の中に浮かんだ以上、一人で脳内に留めておくのは辛い。何より、隼ならば理解してくれる。



 ――それに隼も言う通り、この推察を踏まえても俺達の目指す道はもう変わらない。



「俺が思うに、今回の騒動における『本当の黒幕』は――」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

寿明結未(ことぶき・あゆみ)
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

竜皇女と呼ばれた娘

Aoi
ファンタジー
この世に生を授かり間もなくして捨てられしまった赤子は洞窟を棲み処にしていた竜イグニスに拾われヴァイオレットと名づけられ育てられた ヴァイオレットはイグニスともう一頭の竜バシリッサの元でスクスクと育ち十六の歳になる その歳まで人間と交流する機会がなかったヴァイオレットは友達を作る為に学校に通うことを望んだ 国で一番のグレディス魔法学校の入学試験を受け無事入学を果たし念願の友達も作れて順風満帆な生活を送っていたが、ある日衝撃の事実を告げられ……

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~

黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。  ─── からの~数年後 ──── 俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。  ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。 「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」  そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か? まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。  この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。  多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。  普通は……。 異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。 勇者?そんな物ロベルトには関係無い。 魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。 とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。 はてさて一体どうなるの? と、言う話。ここに開幕! ● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。 ● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。

美味しいコーヒーの愉しみ方 Acidity and Bitterness

碧井夢夏
ライト文芸
<第五回ライト文芸大賞 最終選考・奨励賞> 住宅街とオフィスビルが共存するとある下町にある定食屋「まなべ」。 看板娘の利津(りつ)は毎日忙しくお店を手伝っている。 最近隣にできたコーヒーショップ「The Coffee Stand Natsu」。 どうやら、店長は有名なクリエイティブ・ディレクターで、脱サラして始めたお店らしく……? 神の舌を持つ定食屋の娘×クリエイティブ界の神と呼ばれた男 2人の出会いはやがて下町を変えていく――? 定食屋とコーヒーショップ、時々美容室、を中心に繰り広げられる出会いと挫折の物語。 過激表現はありませんが、重めの過去が出ることがあります。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

処理中です...