空色のサイエンスウィッチ

コーヒー微糖派

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狂月明ける空編

ep461 バージンロードへ歩みだそう!

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「おっ、赤原。着飾った新婦様のお出ましだぞ」
「本当によく似合っておられますね。私もいずれ、フェリアとはこのように式を挙げたいものです」
「な、なんだか緊張してきた。こ、これから本当に結婚式なんだな」

 部屋を出ると、まず出くわすのは旦那様を含む特に親しい友人たち。フェリアさんと洗居さんのカップルが、タケゾーと一緒に待ってくれていた。
 タケゾーも新郎として白いタキシードに身を包んでおり、不覚にもカッコいい。
 タケゾーのくせに生意気――とは思わないか。むしろアタシなんてタケゾーがいなけりゃ、結婚どころか普通に生活できたのかも怪しい。

「ほらほら、しっかりしなっての。これから大勢の前で結婚式だよ? 新郎がビクビクしないの」
「あ、ああ、そうだな。……それにしても、よく似合ってるぞ。隼」
「ニシシ~、あんがと。タケゾーもだよ」

 今回の結婚式において、大勢の人々にも招待状を出しておいた。
 まあ、正確には『招待状を出したい相手が多すぎた』ってことなんだけどね。気がつけば、アタシの周囲には大勢の人達が集まっていた。
 空色の魔女というヒーローとして、住んでる街どころか政界のお偉いさんや国の外にまでパイプができちゃったからね。みんなみんな、アタシにとって大切な人達だ。

「フェリアさんもわざわざ教会の準備までしてくれてありがとね」
「気にすんな。所有権は俺のままだったからな」

 式を挙げる場所についても、フェリアさんが女装シスターとして日本に潜伏していた時の教会を貸してもらえた。
 前々からタケゾーとも『結婚式を挙げるならこんな教会がいい』って話をしてたからね。この一ヶ月の間に念入りな準備はしておいた。

「空鳥さんとタケゾーさんがこうして結婚式を迎えるのは、私としても大変感慨深いです。わざわざお呼びいただきましたし、しかと祝福しましょう」
「洗居さんもありがとね。そっちの結婚式の時は、アタシも絶対に駆けつけるからさ」
「フフ。それは嬉しい話です。ですが、今日はあなた方の晴れ舞台。まずは式場へ向かい、皆様にその姿をお披露目しましょう」

 洗居さんとフェリアさんの仲も問題はなく、こっちはこっちで結婚式の話も出てきている。
 一時は発狂だの記憶喪失だので大変だったけど、もうそんな心配は杞憂でしかない。
 王族の結婚式となると堅苦しそうだけど、アタシも是非出席したいものだ。

 ――王族の血縁者としてってより、友人としてね。

「空鳥さん、本当に綺麗だよ。それにしても、かつてヒーローとして争った相手の結婚式に晴れやかな気持ちで出席できるなんて、思い返せば不思議な話だね」
「隼ちゃんと武蔵の結婚式となれば、そこら中から祝いに駆けつけるもんだ。二人が結ばれるのは予想してたが、まさかここまでの規模になるとはな~」
「そうかい、タマッチャン? オレッチとしては、ソラッチャンとアカッチャンなら当然だと思うっしょ」

 タケゾーと手を繋いで式場へと向かう間、いろんな人達が祝福の言葉を述べてくれる。

 かつてヒーロー制定法でヒーローとなり、アタシとも対立したことのある宇神君。
 最初は怖い借金取りさんだったけど、今では気のいい街の顔役、玉杉さん。
 星皇社長と元夫にして、ウォリアールでもお世話になったフクロウさん。

 本当に多くの人が純粋に祝ってくれる。これは思い出深い結婚式になりそうだ。



「すんまへん、固厳首相。あんまドカドカと一人で出歩かれると、ワイもSPとして口を挟まなアカンのですが?」
将軍艦隊ジェネラルフリート最高幹部の一人だってェのに、細けェことを気にしやがるなァ。結婚を祝うってェのに、コソコソする奴がいるかァ?」
「いや、あんさんは内閣総理大臣でっからな? ホンマ、なんやこの人は……。SPなんか引き受けるんやなかったわ……」



 良くも悪くも思い出深くなるかもね。先を歩いていくと出くわしたのは、どこか嫌そうにしてる牙島と全然周囲に遠慮のない固厳首相。
 とりあえず、固厳首相は本当に来てくれたのね。冗談半分で招待状を出したけど、こんな堂々と参上されるとは思わなんだ。

 ――アタシ達、一応は一般人の枠組みだよね? そんな夫婦の結婚式に内閣総理大臣参上って、かなり凄い光景だよね。

「固厳首相、本当に来ちゃった……」
「隼が招待状を出したからだろ……」
「別に固厳首相へ招待状出したことをグチグチ言わんが、今この式場はどえらいメンツが揃っとんで。クジャク様にフェリア様かて出席しとるし、まさかこれ全部ワイがSPとして警護せなアカンのか? 何の冗談や……」

 アタシとタケゾーも、固厳首相の登場には唖然としてしまう。それ以上に疲れた様子を見せるのは、一緒にやって来た牙島だ。

 天鐘に関する一件以降、どうやら牙島は固厳首相にSPとして雇われたようだ。
 傍目には裏切って天鐘に味方していたこともあり、しばらくは姿を隠しておく必要もあったため、最初は『丁度ええ機会やな』って感じで引き受けたとのこと。
 ただ、その後は牙島の方が固厳首相に振り回される始末。SPとして常に傍にいるもんだから、そのとんでも行動力に難儀しているらしい。
 今日だって固厳首相に流されるまま流され、いつもの調子はどこ吹く風だ。

 ――そもそも、固厳首相にSPって必要かな? あの人、普通に一人で戦えるし。

「ダハハハ。テメェらのことはオレも心から祝いてェからなァ。それに、先の一件での話も少しだけしておきてェ。脱獄した大凍亜連合の捕縛は、完全とはいかなかったからなァ。そこについては引き続き、オレが責任もって対処するぜェ」
「それはありがとね。まあ、連中もこの一ヶ月でさえ何も動いてないんだし、今日はお祝いムードでお願いするよ」
「どうせこの結婚式が終わったら、ワイも駆り出されるんやろな。まあ、古巣の後始末ぐらいはやったるか」

 天鐘がこの街を人質にとろうとした際、大凍亜連合を脱獄させた件はまだ完全に収束していない。
 流石に数が多いし、天鐘や大凍亜連合も国の目を盗んで計画立ててたからね。そう簡単には捕まらないか。
 首謀者の天鐘も今はウォリアールで檻の中だし、足取りもくらまされている。
 とはいえ、今日ばかりはそんなことも置いておこう。出てくる気配もないし、問題ないならそれでいい。

「さあ、隼。式場に入るぞ」
「いよいよだね。バージンロードも用意してもらったし、他の人達も席についてるね」
「それだけじゃなく、あの人も一番奥でお出迎えだ。わざわざ隼の要望を聞き入れてくれたんだな」

 何せ結婚式なんて一世一代の大イベントだ。タケゾーと腕を組みながら寄り添い、ついに式場への扉が開かれる。
 そこまで大きな教会じゃないけど、お祝いに来てくれた人達で中は華やかなムードだ。

 ナンパチャラ男コンビに甲子園優勝投手おじいちゃん。計算眼鏡君にムキムキタンクトップに保育園の園長先生。
 見知った顔が席に着き、静かにアタシ達を笑顔で祝福してくれる。
 こんなにたくさんの人が来てくれるなんて、アタシ達夫婦は本当に幸せだ。



 ――でも、式場の中にいる人の中では、あの人が一番特別かな。



「お二方とも、準備はよろしいようですね。……それにしても、わざわざ自分を牧師役に指名しますか?」
「いいじゃん、いいじゃん、ラルカさん。そっちの修道服もよく似合ってるよ」
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