異世界物語

咲夜

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第3話

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赤髪の女の子がドアを開けると、
「おかえり」
と爽やかな声が聞こえた。
女の子の後ろから覗くと、その爽やかな声を発した人はイケメンで、見るからにできる人という印象を受けた。
「アレイアレイ、あーのさ....」
そのイケメン男はアレイと言う名前らしく、赤髪の女の子に返事した。
「お客さん?」
「ううん、拾った」
「拾った!?何言ってんだよ」
女の子の冗談に対し、軽くツッコミを入れながらアレイは俺の方を見た。
「大きいね、身長は182、3くらい??」
「たぶんそのくらいだと思う」
俺とアレイのやり取りに不安を感じたのか赤髪の女の子は、
「待ってアレイ、この人は記憶喪失をしてて自分のことを憶えていないの」
と言った。するとアレイは少し考えてから、俺にいくつかの質問をした。
「名前は?名前は憶えてる?」
「うん....亮介っていう名前だよ」
「職業は?」
「ごめん、職業が何を示すのかもわからない」
「他に、なんでもいいんだ。何か憶えていない??」
「本当にごめん、自分の名前しか憶えていないんだ....」
「親のことも、自分が住んでいた場所も、何も憶えていないんだよ」
俺は、正直話していて辛かった。
それを察したのか、アレイは
「俺こそごめん、辛いことを聞いたね」
本当にアレイはできる人だと思う。
そして、アレイは俺に握手を求め、右手を出した。
「とりあえずさ、お腹も空いてきた時間だと思うし、一緒に夜ご飯を食べよう」
「その時に、りょーすけの今後の話もしよう」
俺はその右手の拍手に応じて、
「ありがとう、親切にしてくれて本当に助かるよ」
と言った。前方に時計があったから、時計を見てみるともう6時を少し過ぎていた。
「じゃあ、私がみんなのことを紹介するね!」
赤髪の女の子が元気に言ってくれた。
そろそろ、この子の名前を聞かないと....
と思い俺は少し苦笑しながら聞いた。
「ね、少し言いづらいんだけど、俺まだ君の名前を知らないんだよね」
「え?あーーー!!そうだった....」
「わ、私の名前はリコ!」
「紹介が遅れてごめんね」
リコは申し訳なさそうにしていた。
「いや、そんな気にしなくていいよ」
と俺は笑って言った。
「もー、リコは時々ボケるからね~」
聞いたことのない声がした。
「はは、ごめんごめん」
リコは笑って謝ると、その少女の紹介をしてくれた。
「この子の名前はユメ!」
「どうもユメでーす!」
リコの元気に対し、ユメはふわふわした感じの少女という印象を受けた。
身長はリコより少し低く、その....胸が大きかった。
「おいユメ!サボってんじゃねーぞ!」
少し怒った声が店の左奥から聞こえてきた。
「えー、ノイッシュは何のためにそんなに筋肉をつけたんだよー」
どうやら食卓に食べ物を運んでいるらしい。
「うっせバカ!戦うために決まってんだろ」
ユメのふわふわした抗議に対し、ノイッシュと呼ばれた男が返事をした。ノイッシュの外見は俺より身長が高く、タンクトップを着ていて、両腕の肩から見える筋肉は本当に凄かった。
まさに戦う男って感じがした。
正直、自分はこーゆうタイプの人は苦手なんだろうなって思った。
「ん?こいつは?」
ノイッシュの疑問に対し、アレイが
「りょーすけ、りょーすけっていう名前だよ」
「詳しいことは話すと長くなるから、ご飯の時にね」
「ふーん、わかった」
アレイの説明に納得がいったのかノイッシュはご飯の準備をしに行った。
そのノイッシュの背中を追うようにユメは食卓の準備について行った。
そしてアレイは俺に、
「もう1人ローディリヒっていうおとなしめの子がいるんだけど、今キッチンにいるだろうから、その子もご飯の時に説明するね」
と言った。それに対し俺は感謝の言葉を述べ、トイレの場所を聞きトイレに向かった。
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