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第九話 アホだ
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ブラックドラゴンと聞けば、多くの人間は恐怖するだろう。
俺はブラックドラゴンと戦ったことは無いが、ドラゴン系の魔物の恐ろしさはとてもよく理解している(修行の一環で戦ったことがあるから)。
まず、ドラゴンの体を覆っている鱗はとてつもなく固いのだ。
並の攻撃じゃ歯が立たない。
おまけに攻撃方法が多彩で、威力も高い。
はっきり言おう。
ブラックドラゴンに勝てる気がしない。
今のこのパーティじゃ、実力が段違いなのは自明の理だ。
なのに、アカネはなぜこのクエストを受注してきたのだろう。
ああ!アホなのか!
もうそれしか理由を考えられない。
しかも悲しいことに、一度、クエストを受注して、キャンセルしようとするとキャンセル料金としてそのクエストの報酬の半額が必要らしい。
つまり、金貨100枚の半分の金貨50枚が必要ということだ。
そんな大金なんてねぇよ。
「うわあああ!!!ちょい、どうすんだよ!このクエスト!ブラックドラゴンなんて討伐できる訳ないだろ!!」
「私たちなら大丈夫よ!ブラックドラゴンなんてすぐに討伐できるわ!」
このアホは何を基準に大丈夫とかほざいているのだろうか。
「とにかく!明日の朝には出発するから。それまでには準備を済ますこと。あっ、町の門に集合だから遅れないでね」
アカネはそう言うとギルドから出て行ってしまった。
俺は大きく息を吐き、シオンに尋ねる。
「ふぅ・・・・あれで金は足りるか?」
「うん。十分」
そうか。
それなら、討伐するしかないだろうが。
「よし!んじゃあ、準備するか。水とか食料が必要だからな」
「待って。クソジェイク」
俺が意気揚々と町へ繰り出そうとした時、シオンに袖を掴まれる。
「ん?どした」
「指、血が出てる」
シオンに言われて、よく見ると左手の人さし指から血が出てた。
クエストの紙で指を切ったのだろう。
「ああ。これぐらいほっとけば治るわ」
「ダメ。傷はすぐに治した方が良い」
シオンはブツブツと詠唱していく。
「変態ジェイクの傷を治せ『ヒール』」
詠唱が終わると血が出ていた指が緑色の優しい光に包まれ、切り傷がふさがっていった。
「よし。これでもう大丈夫」
シオンは俺の傷が治るとニコリと微笑みを浮かべた。
その笑顔の破壊力に騒がしかった冒険者ギルドが静かになる。
皆、ぽけーとした表情だ。
俺も思わず、ドキリとさせられた。
「ん?どうしたの、バカバカジェイク?」
「へっ!?あ、い、いや、なんでもない」
あぶねー。
ちょっとの間、思考停止してたわ。
反射的に可愛いとか言っちゃいそうだった。
そんなこと言ったら、シオンに何言われるか分からんからな。
「けど、以外だったな。シオンが『ヒール』を使えたなんて」
「私は回復職だから。それよりも以外ってどういうこと?」
「なんでもないです」
シオンがキッと睨んできたので、そっぽを向いて返事をする。
俺が必死にシオンの睨みをスルーしていると冒険者の男がズカズカと俺とシオンの間に入ってきた。
「おいおい。可愛い女だな。こんな男より、俺と一緒に冒険しようぜ」
なんと!その冒険者の男はシオンを口説き始めたではないか!
マジでか。
この男は勇者だよ!
シオン相手にナンパとか魔王を相手にするようなものだ。
さてさて、シオンはなんて言うのかな?
俺が内心ニヨニヨしていると、シオンが俺を指差した。
「ごめんなさい。私はあそこのノッペリとした男と将来を誓い合った仲だから・・・」
ん?
今、なんて?
将来を誓い合った仲だ・・・と・・・・
「はああああああああ!?」
あの獣人女は何を考えてやがんだ!?
将来を誓い合うとか!!
身に覚えがねぇよ!?
「ケッ!ムカつくわー。ちょっとお前、ツラ貸せや」
俺は冒険者の男に肩を掴まれ、ギルドの外へ連れて行かれる。
あかん。
シオンの爆弾発言で今度こそ、思考がフリーズした。
俺は連れ出される前にシオンと目が合った。
「期待した?バーカ」
そう言って、シオンは妖艶に笑った。
「ちっくしょうが!!!」
天に向かって叫んだ俺は路地裏へ連れて行かれた。
ちなみに冒険者の男はその後、顎に上段蹴りを喰らわして脳震盪を起こさせ、路地裏に捨ててきた。
色々あって疲れた俺は、今度こそ水と食料を買うべく町へと歩き始めたのだった。
あーー、なんか疲れた。
俺はブラックドラゴンと戦ったことは無いが、ドラゴン系の魔物の恐ろしさはとてもよく理解している(修行の一環で戦ったことがあるから)。
まず、ドラゴンの体を覆っている鱗はとてつもなく固いのだ。
並の攻撃じゃ歯が立たない。
おまけに攻撃方法が多彩で、威力も高い。
はっきり言おう。
ブラックドラゴンに勝てる気がしない。
今のこのパーティじゃ、実力が段違いなのは自明の理だ。
なのに、アカネはなぜこのクエストを受注してきたのだろう。
ああ!アホなのか!
もうそれしか理由を考えられない。
しかも悲しいことに、一度、クエストを受注して、キャンセルしようとするとキャンセル料金としてそのクエストの報酬の半額が必要らしい。
つまり、金貨100枚の半分の金貨50枚が必要ということだ。
そんな大金なんてねぇよ。
「うわあああ!!!ちょい、どうすんだよ!このクエスト!ブラックドラゴンなんて討伐できる訳ないだろ!!」
「私たちなら大丈夫よ!ブラックドラゴンなんてすぐに討伐できるわ!」
このアホは何を基準に大丈夫とかほざいているのだろうか。
「とにかく!明日の朝には出発するから。それまでには準備を済ますこと。あっ、町の門に集合だから遅れないでね」
アカネはそう言うとギルドから出て行ってしまった。
俺は大きく息を吐き、シオンに尋ねる。
「ふぅ・・・・あれで金は足りるか?」
「うん。十分」
そうか。
それなら、討伐するしかないだろうが。
「よし!んじゃあ、準備するか。水とか食料が必要だからな」
「待って。クソジェイク」
俺が意気揚々と町へ繰り出そうとした時、シオンに袖を掴まれる。
「ん?どした」
「指、血が出てる」
シオンに言われて、よく見ると左手の人さし指から血が出てた。
クエストの紙で指を切ったのだろう。
「ああ。これぐらいほっとけば治るわ」
「ダメ。傷はすぐに治した方が良い」
シオンはブツブツと詠唱していく。
「変態ジェイクの傷を治せ『ヒール』」
詠唱が終わると血が出ていた指が緑色の優しい光に包まれ、切り傷がふさがっていった。
「よし。これでもう大丈夫」
シオンは俺の傷が治るとニコリと微笑みを浮かべた。
その笑顔の破壊力に騒がしかった冒険者ギルドが静かになる。
皆、ぽけーとした表情だ。
俺も思わず、ドキリとさせられた。
「ん?どうしたの、バカバカジェイク?」
「へっ!?あ、い、いや、なんでもない」
あぶねー。
ちょっとの間、思考停止してたわ。
反射的に可愛いとか言っちゃいそうだった。
そんなこと言ったら、シオンに何言われるか分からんからな。
「けど、以外だったな。シオンが『ヒール』を使えたなんて」
「私は回復職だから。それよりも以外ってどういうこと?」
「なんでもないです」
シオンがキッと睨んできたので、そっぽを向いて返事をする。
俺が必死にシオンの睨みをスルーしていると冒険者の男がズカズカと俺とシオンの間に入ってきた。
「おいおい。可愛い女だな。こんな男より、俺と一緒に冒険しようぜ」
なんと!その冒険者の男はシオンを口説き始めたではないか!
マジでか。
この男は勇者だよ!
シオン相手にナンパとか魔王を相手にするようなものだ。
さてさて、シオンはなんて言うのかな?
俺が内心ニヨニヨしていると、シオンが俺を指差した。
「ごめんなさい。私はあそこのノッペリとした男と将来を誓い合った仲だから・・・」
ん?
今、なんて?
将来を誓い合った仲だ・・・と・・・・
「はああああああああ!?」
あの獣人女は何を考えてやがんだ!?
将来を誓い合うとか!!
身に覚えがねぇよ!?
「ケッ!ムカつくわー。ちょっとお前、ツラ貸せや」
俺は冒険者の男に肩を掴まれ、ギルドの外へ連れて行かれる。
あかん。
シオンの爆弾発言で今度こそ、思考がフリーズした。
俺は連れ出される前にシオンと目が合った。
「期待した?バーカ」
そう言って、シオンは妖艶に笑った。
「ちっくしょうが!!!」
天に向かって叫んだ俺は路地裏へ連れて行かれた。
ちなみに冒険者の男はその後、顎に上段蹴りを喰らわして脳震盪を起こさせ、路地裏に捨ててきた。
色々あって疲れた俺は、今度こそ水と食料を買うべく町へと歩き始めたのだった。
あーー、なんか疲れた。
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