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第5話 発掘合宿に行こう!《後編》
しおりを挟む翌朝、女性陣の強い希望もあって宮川朝市を覗いてみることになった。朝食を食べ終わると作業着のまま朝市に繰り出す。
宮川朝市は、江戸時代から続く歴史の長い朝市だ。宮川沿いの風流な通りに並ぶ店では、野菜や果物だけでなくお土産品も取り扱っている。早朝の爽やかな風を感じながら、青々とした木々の下をひとつひとつの店を見て歩く。ピカピカ輝く夏野菜、しっかり漬かっておいしそうなお漬物、果物や民芸品が並ぶ中、とある店の前でシャムスが足を止めた。
「これ、なに?」
真っ赤な丸い顔と飛騨と書かれた布が特徴的な人形を指差す。思い思いに他の店を見ていたメンバーたちも集まってきて、その視線の先を一緒になって見つめた。
「なんだっけ、この人形」
「ああ!ばあちゃん家とかにあるよな」
青柳と榎田が考え込んでいると、店主の老婆がニカッと笑った。
「さるぼぼだよ」
さるぼぼ?と繰り返しながら、シャムスはそれの前にしゃがみこんでじっと見つめる。
「これは何をするものなの?」
「お守り。おばあちゃんやお母さんが子供や孫の成長を願ってプレゼントするものなんやよ」
「子供の成長を願う、お守り……」
店主の返答に、シャムスはさるぼぼを摘んで手のひらに乗せてみる。思ったよりも立体感があるそれは、手のひらの上でころんと動いた。
「さるはお猿さん、ぼぼは赤ちゃんのことや。赤い色は厄除けにもなる。飛騨高山に伝わる伝統的な人形やわね」
丸い顔の部分を指先でつつく。つるりとしたそこには何も描かれていない。
「赤ちゃんの顔は描かないの?」
「お姉ちゃん、ええとこに気づいたわね!顔がないと誰の顔でも思い浮かべられるし、どんな顔にも見えるんやよ。笑いかけてほしいときは笑っとると思やそう見えるし、いっしょに泣いてほしけりゃ泣いとるように見える」
私の解釈だけどね、と笑いながら手塩にかけて作ったであろうさるぼぼたち一体一体を愛おしげに見つめる。
「顔がなくても、見たい顔を想像すれば見られる人形……」
そう呟いたシャムスの頬が徐々に紅潮していく。バッと勢いよく振り返ると、視線の先にいた三好がびくりと肩を揺らした。
「オッタたちに買ってあげたい!三好!」
大きくて迫力のあるアメジストの双眸に睨まれて三好は後退った。
「えっ、オッタたちって、アルケーにいる戦災孤児たち全員には無理だよ!?」
「お願い」
「いや、ここにある全部を買っても足りないし!ちょ、圧がすごい……!」
言葉だけを聞けば可愛いおねだりのように聞こえるが、それを発しているシャムスはものすごい圧を出している。しゃがんでいるシャムスの方が三好より大きく見えるほどの圧だ。
「買い占めてもらってもかまわんよ?」
店主の老婆は歯を見せていたずらに笑った。
結局、一番大きなさるぼぼを買ってみんなで共有してもらう、という三好の案に落ち着いた。
「どうして子供たちにさるぼぼを買ってあげたいと思ったの?」
大きなさるぼぼを抱えて満足げなシャムスに青柳が訪ねる。
「アルケーで保護している子供たちのほとんどは、親の顔を知らなかったり、ショックで思い出せなかったりするの」
「子供の成長を願うお守りなら、みんなを置いて死んでしまった親たちもきっと安心する。子供たちも、さるぼぼの顔を見て想像したら会いたい人に会えるかもしれないから」
――シャムスは、母親をシークァで亡くしてるんだ。
青柳の脳裏に、以前三好から聞いたシャムスの身の上話が思い出された。愛しげにさるぼぼの顔を正面から見つめるシャムスに青柳の胸が詰まる。
「そろそろ移動しよう。十河さんはもう現場に着いてるみたいだ」
三好の呼びかけに一行は駐車場へ足を向けた。そんな中、青柳ひとりだけ元来た道をこっそり戻る。先ほどの店前で少しやりとりをしたあと、急いでシャムスのもとへ走った。
「これ、シャムスにプレゼント」
差し出された手のひらの上には、紐のついた小さなさるぼぼがふたつ――
「ひとつはわたしのね。シャムスもわたしも子供じゃないけど、わたしがおそろいで持ってたいから」
さるぼぼを見つめていたシャムスの瞳がキラキラと輝き出す。
「親友なんだから、おそろいくらい持ってないとね!」
照れ隠しのつもりで言った言葉がなおさら恥ずかしかったようで、じわじわと青柳の頬が染まっていく。
「陽子、大好きッ!」
そう言うや否や、シャムスはさるぼぼを挟んで青柳に思い切り抱き着いた。そのままグンッと持ち上げてぐるぐると回られる。ギャーッという青柳の叫び声が朝市に響き渡った。
☼ ☼ ☼
「綺麗に半裁できたね~!」
三好の褒め言葉に、青柳の疲れは吹き飛んだ。表情を明るくして胸を張る。
「道具にパレットナイフがあったので、ナッペの要領でやったら綺麗にできました!」
聞き慣れないナッペという単語に三好は首を傾げる。
「ホールのスポンジケーキにクリームを塗ることです」
「あれ、均等に力を入れないと綺麗に塗れないんだよね」
「へえ、すごいなぁ!」
シャムスと三好に拍手されて青柳はますます胸を張った。
「綺麗に掘れたのはいいんですが、三好教授がおっしゃってた木の欠片みたいなものは出てきませんでした」
「ああ、必ず出てくるわけじゃないから、それは大丈夫だよ」
柱跡の穴からは柱として使っていた木の一部が見つかることがあるのだ。
「綺麗な半円だね」
「そうだね。ここの家主さんは、もしかしたらとっても几帳面な人だったのかもしれない」
シャムスがじっと観察している隣で三好も一緒になって穴を見る。すべて掘り上げたとしても綺麗な円になるだろう。
そのやりとりを少し離れたところから榎田が見ていた。
「オレも穴掘りたかったなぁ」
子供のようにいじけて唇を突き出す姿に、茂木が笑みを零す。
「ピットは柱の跡だってわかりやすいから、何をやってるのか目的が明確でいいよね。でも、このあたりは炉の跡とか土器が出てくる可能性があるよ?」
「土器って、教科書に載ってるような飾りゴテゴテついてるやつっすか!?」
途端に目を輝かせて俄然やる気を取り戻す。そのわかりやすさに思わず吹き出しながら茂木は説明を続けた。
「ゴテゴテした部分が出てきたらまさに土器ってわかるんだけど、石と見間違うような小さい欠片になってる可能性もあるから、縄文土器をイメージしすぎないようにね」
はーい!と元気に返事をしたあと、土器を見つける意気込みを鼻息に乗せて、榎田は腰を下ろして掘り始めた。
「あ」
草壁の口から思わず声が漏れた。視線の先にある、明らかに石とは違う赤褐色の薄くて固い欠片をじいっと見つめる。
「草壁くん、どうしたの!?」
ぽろっと零れ出たくらいの声量だったはずなのに、三好がすごい勢いで駆けてきた。気圧されながらもおずおずとそれを指差す。
「初めて見たのによくわかったね!初めての人は固い土を掘る手つきに慣れて、勢いそのままに欠片を割っちゃうんだ。でも草壁くんは壊さなかった。慎重で丁寧な仕事だよ!」
真っ直ぐな褒め言葉に耳が赤くなった草壁を置いて、興奮している三好は欠片に対して、綺麗な表面だね、と話しかけている。
「土器の欠片発見第一号は草壁くんだ。みんな、拍手!」
三好の言葉に茂木と杉崎が温かい表情でパチパチと拍手を始めると、他の皆もそれにつられて拍手する。
「土器の欠片が出てきたからといってそこで発掘は完了、というわけではないんだ」
土器や遺物が出てきたら、その場で取り除くのではなく、遺物を残した状態でそれ以外の地面を掘っていく。なぜ残したままにするのかというと、その遺物がどの高さから発掘されたのか記録する必要があるからだ。周りの地面を掘り進めていくと遺物を頂上に置いた柱のようなものができる。
「きっと残りの欠片も出てくると思うから、今まで通り慎重にね!草壁くんなら大丈夫だと思うから、ここは任せるよ」
自分のやり方が褒められた。貴重な土器が眠る場所を任された――草壁は体が震えるような喜びを覚えて、次にとりかかるまでに少し時間を要したのだった。
「やっぱり、この太さと深さはただの住居跡じゃねえな」
青柳とシャムスが掘っていた柱跡が通常より大きく深いことを見て十河が唸る。キョトンとしている発掘者ふたりそっちのけで、三好もわくわくした表情で十河と話し始めた。
「埋葬用の穴の可能性もあると思って半裁してもらいましたが、並び方を見ると……掘立柱ではないかと」
「フミもそう思うか!」
爛々と光る4つの瞳に気圧されて、青柳が少し後退りながら一応疑問を口にしてみる。
「ほったてばしら?」
「そう!掘立柱建物――倉庫や集会所、祭祀が行われていた場所かもしれないよ!」
「年代的には縄文中期後半から後期だと見て、穀物倉庫だった可能性もあるな」
十河が嬉々として観察を続ける。
発掘現場の端、地層が剝き出しになっているところまで歩いていくと、十河は腰を屈めて地面より少し上の地層の境目を指差した。
「ここは、中期中頃と見てる隣の現場よりも少し年代が新しいんだ。しっかり年代測定をしてみないとはっきりしたことは言えねえが」
隣の現場を覗いてみると、今いる現場よりも少し低い。
「近くで炭化米なんか出てくれたらおもしろいんだがなあ」
「縄文時代後期には、九州の方では稲作が行われていたかもしれないって説がありましたね」
「ああ。このあたりではまだ稲作はしていないが、物々交換でここまで辿り着いた可能性も……」
「うーん……今のところ限りなく低いですけど、でも、仮定するだけはタダですからね!」
「すでに大きな国が形成されていて大規模な貿易がされていた、と考えるとわくわくするな!」
とどまることなく喋り続けるふたりに、皆作業の手を止めて耳を傾ける。三好は仮定と言っているが、どちらかといえば溢れんばかりのロマンの話だ。だんだん十河と三好の性格に慣れてきていたメンバーはいっそ微笑ましく感じていた。
「農具とか米さえ出れば……!」
「農具はないけど、お米は持ってきたわよ。十河ちゃん」
十河の叫びに答える声に一斉に視線が集まる。そこにいたのは宿の女将だった。その後ろから少し遅れて老婆がやってくる。
「昨日浴衣を貸してくれたトキさんが作ってくれた、できたてほやほやのお昼ご飯よ」
女将さんはそう言って後ろの老婆を振り返ってから両手に持った紙袋を掲げて見せた。
「おう!ありがとうな!」
「お仕事があるのに、わざわざありがとうございます」
十河と三好への挨拶もそこそこに、女将は榎田のところに一直線に向かっていった。
「想介ちゃん、来たわよ~!」
「女将さん!お昼持ってきてくれたの!」
榎田が喜びの声を上げると、女将は嬉しそうに目尻を下げた。初対面であろう老婆とも人見知りすることなく和気あいあいと話し出している。
「あいつ人気者だなあ」
「榎田くん、宿でも重いもの運ぶの手伝ったり、積極的にコミュニケーションとってくれてるんですよ」
「発掘は周辺住民の理解がないと難しい。ああいうタイプがいると助かるよな」
本当ですね、としみじみ言う三好の背後から、草壁がじっとりと榎田を見つめていた。
「あ、さるぼぼの」
草壁同様、榎田と女将たちの会話を眺めていたシャムスが指を差す。指の先にいた老婆は、今朝宮川朝市でさるぼぼを売っていた店主だった。
「あら、あんたらが発掘の手伝いにきた子たちやったのかい。じゃあ浴衣着たっていうのも?」
「そうそう!この子たちよ。こちら金森トキさん。自治会長さんなの」
「浴衣貸してくださった方でしたか。ありがとうございました」
杉崎が礼儀正しく頭を下げると青柳とシャムスもお礼を言ってお辞儀をした。急いでスマホを取って戻ってきた榎田が軍手を外しながらその画面をトキさんに向ける。
「これこれ、めっちゃ可愛かったんすよ!」
結局消してなかったのか、と茂木に突っ込まれながら、トキさんに撮った写真を次々に見せていく。トキさんは、うんうんと話を聞きながら、顔をしわくちゃにして楽しそうにしていた。
その明るくて楽しげな空間に、やはり草壁は混じることができなかった。女将たちがくる直前まで見ていた土色帖に視線を戻し、記録を手伝っていた手を再度動かし始めた。
大きなタッパーには、朴葉みそをつけて焼いたおにぎり、お漬物、夏野菜の揚げ煮びたしが入っていた。女将たちが銘々皿に取り分けてくれて食事が始まった。
「ほら、あんたも遠慮せんでしっかり食べな」
草壁が顔を上げるとトキがタッパーを片手に立っていた。他のメンバーに背を向けて座っている草壁が気になったのだろう。見るからにこの場に馴染めていない自分を心配してくれていることはわかっても、草壁はトキと目が合わせるのが精一杯で何も言えなかった。おかわりいるかい?との声がけにも、草壁は無言のまま首を横に振ってすぐに俯いてしまう。
「草壁、トキさんご飯足りないかもって持ってきてくれたんだから、ちゃんと返事くらいしろよな~失礼だろ」
隣にドスンと座った榎田が肘でつつく。榎田は人懐こい笑みを浮かべているが、草壁はそれを一瞥してすぐにその腕を振り払った。その一瞬、榎田の表情に苛立ちが滲んだ。ほんの一瞬だったが、草壁はそれを見逃さなかった。
「無理に仲良くする意味がわからない」
そう呟く頃には、榎田はいつもの笑顔に戻っていた。
「いやいや、オレたちのために時間割いて準備してくれたんだぞ?せっかくのご飯、仲良く食べたらいいじゃん」
草壁の肩を軽く叩いてから、ね、とトキを見上げる。気安く肩に触れてくる体温に、草壁の腹の中が暗く澱んだ。
「そういう、役割だからだろ!」
つい、いつもより大きな声が出た。笑顔がゆっくりと真顔になって、榎田の眉間に皺が寄っていく。
「差し入れしてくれるのが、役割だからなわけないだろ。親切にしてくれてるのにその態度はないっつの!」
時折挟む呼吸から、努めて声を荒げないようにしているのが周囲にいる皆がわかった。投げかけた言葉を拒むように俯いたままの草壁を見つめる。
「合宿始まってからずっと思ってたけど、コミュニケーションとらないの、おかしいって……」
「無理にコミュニケーションをとる必要が?」
「はあ?黙ってたら何も伝わらないだろ。こういうのはチームワークが大事で」
榎田の言葉を遮るように草壁が言う。
「野球と一緒にするな」
その言葉に、ひゅっと喉を鳴らして榎田は黙った。
「エースだったくせに」
榎田が目を見開いたまま固まった。地面の上に置いていた手が、ゆっくりと土を掻いて握り込まれる。
「……は?今なんて言った?」
「無理やりチームワークを求めるな。俺はひとりでもできる」
ぶるぶると震える榎田の右手を盗み見ながら、草壁は静かに吐き捨てた。
「へらへら無理してコミュニケーションとろうとしてるお前と一緒になんかなりたくない」
榎田は愕然として何も言い返せなかった。頭の中にかつての仲間の声が響く。
――お前は今までずっと頑張ってくれてただろ。
――自分のこと責めなくていいって!
――俺たちも、お前のせいだなんて思ってねえから。
――あーあ、想介が怪我しなかったら、今頃甲子園だったよな。
部室の扉の前で聞いた言葉が、榎田の頭の中をぐるぐると巡った。
(みんなを失望させた)
(自分が怪我さえしなければ、甲子園にみんなを連れて行ってやれてたら、チームがバラバラになることはなくて、今もいっしょに野球をやれていたかもしれないのに――!)
頭のてっぺんからサァッと血の気が引いていく。
「喧嘩はだしかんよ!」
榎田の右手が動いた途端、女将が慌てて声を上げた。
「いや、喧嘩したらええ。若者はぶつかって成長するもんよ」
トキが冷静にそう言うと、もうトキさん!と女将が両肩を叩いた。草壁と榎田の方に向き直ると困ったような微笑みを浮かべた。
「防災倉庫を作ってもらうのも町のために大事。でも、ここの歴史を守ってもらうのも同じくらい大事。遠くから来て、お手伝いしてくれるあなたたちのことを支えるのは、この町のもんとして当たり前の役割やわ」
ひとつ頷くと、トキもそれに言葉を続ける。
「役割っていうとさみしいけど、お坊ちゃんが言うことは間違っとらんかもしれんね。想介ちゃんが言うことも間違っとらん。わたしたちは、町のために頑張ってくれとるあんたたちみんなの役に立てるなら嬉しいよ」
しん、とした空気の中、当事者である草壁と榎田は気まずげそうに視線を落とした。心配そうな顔をしているものの、三好も十河もメンバーも、誰も口出しすることはない。これは、草壁と榎田の、人としての在り方を巡る問題だ。皆、何となくそう感じていた。
雰囲気を変えようと、女将が元気よく両手を叩く。
「さあほら食べて!午後も頑張ってもらわなきゃいけないんだから!」
居心地の悪い空気の中で昼食を食べ、午後も地道な発掘作業が続いた。
夕刻、草壁は高山駅に向かう車の中にいた。
もともと明日からのインターンシップに参加するために一日早く帰る予定ではあったが、昼間に榎田と揉めたせいでまるで逃げ帰っているような不愉快な気持ちになっていた。運転席には、事情を聞いて送っていくと申し出た久慈が座っている。もやもやした気持ちを抱えながら窓外の長閑で活気のある街並みを眺めるうちに駅に到着した。
「いやぁ、君たちみたいな若い子が発掘に興味持ってくれて嬉しいよ!また来てくれよ!」
別れ際、久慈が嬉しそうにそう言って元気に手を振った。その真っ直ぐな言葉と笑顔に、草壁はちょっとした罪悪感を抱いていた。
ここの人たちが心から親切なことはわかる。女将もトキも久慈も――役割や仕事だけではない、もっと温かいものが原動力になっていることは、草壁にも理解できている。
それは、榎田だって同じはずだ。
――合宿始まってからずっと思ってたけど、コミュニケーションとらないのおかしいって……
――無理にコミュニケーションをとる必要が?
――はあ?黙ってたら何も伝わらないだろ。こういうのはチームワークが大事で
――野球と一緒にするな。
――エースだったくせに。
昼間の刺々しいやりとりを思い出して胃が痛くなる。じくじくと痛むそこに手を当てながら目を伏せた。
(あの言い方は怒らせた、よな……)
でも、と草壁は唇を噛み締める。
(あれ以上話すわけにはいかなかったし、仕方ない)
榎田の何の悩みもなさそうにけらけらと笑う顔と場を収めようとして無理に笑う顔が脳裏を過ぎる。
(人気者のくせに、人の輪の中心にいるくせに、あいつはどうしてそんなに無理をする必要があるんだ、って……)
(ムカついたんだ)
ぎゅっと閉じた瞼の裏には楽しそうな皆の様子が映る。あの親しげな空気を羨ましいと思う気持ちはあるが、そんなことを考えるんじゃないと否定する自分も存在する。勉強会に入ったことも、この合宿に来たことも、学生生活の思い出作りのためではない――
(外交官になるために、NGO団体での経験はプラスに働くはずだ)
(アルケーとのパイプを作るために、俺は勉強会に入ったんだから)
今回の合宿に参加したことでアルケーの話を聞き出すことができただけでなく、これからは勉強会以外の時間でも三好に話を聞きに行っていいと約束もとりつけられた。目的はある程度達成できたと言っていい。
それでも、草壁の中には心残りのようなものがあった。出てきた土器の破片は、掘りかけの自分の持ち場は、これからどうなるのか――引き継ぎのためにしっかり記録を残してきたとはいえ、最後の最後まで見届けられなかったという思いはある。まるで書きかけのレポートが消えてしまうような、解きかけのテキストをなくしてしまうような、そんな喪失感があった。
疲れるだけだと思っていた発掘に、こんな気持ちにさせられるとは草壁自身も思っていなかった。
(でも、楽しかった……)
胃痛で垂れてきた冷や汗を手首で拭ってから鞄を背負い直す。草壁は改札を抜けてホームへ向かって行った。
☼ ☼ ☼
夕食後、女将がくれた花火を皆でやろうという話になった。最初こそ勢いのある手持ち花火で盛り上がっていたが、残った線香花火に火をつける頃には、発掘の疲れもあってか、どこかしんみりした空気が流れた。
「オレ、本気で野球やってたんすよ」
虫の声だけが響く静けさが訪れると、ふいに榎田が口を開いた。
――野球といっしょにするな。
草壁が言った言葉を思い出して、その場にいた皆は榎田の話に耳を澄ませる。
「リトルでもシニアでも高校でもずっとエースで主将で……大きくなったらプロになるんだって本気で思ってたし、周りもなれるって期待してくれてました」
「でも、三年の春に肘やっちゃって、予選で負けて、チームを甲子園につれていけなかった。罪悪感がすごくて……でも、どこかでホッとしてる自分もいて」
右腕を伸ばして右肘を包むように左手を添える。その手つきは本当に大切な宝物を扱うようだ。軽く曲げたり伸ばしたりしながら榎田は続ける。
「肘は手術で治るって言われてたんすけど、手術も受けないで、そのまま野球やめました」
野球推薦なくなっちゃったんで受験頑張りました、と苦笑する。
「野球、やめたのに、いまだにチームに固執してるの、草壁に指摘されたみたいで……それでオレ、キレちゃったんだと思います。図星だったから」
ずずっと鼻をすする音と、ほんのり染まった鼻の頭を見れば、榎田がどれだけ野球に打ち込んできたのかがわかる。沈黙が続いていることに気づいて、榎田は慌てて笑顔になった。
「夜に花火とかできたらいいよなって話したんすよ!いっしょに花火してたら、もう少し話せてたら、草壁ともちょっとは仲良くなれたかもなあ」
なんちゃって、とおどけてみせる。その苦しげな笑顔に三好が呟いた。
「草壁くんが言うように、へらへら無理して笑わなくていいんじゃないかな?」
草壁の言葉をそのまま引用したにしても、あまりにストレートな物言いに榎田は目を見開く。
「チームをまとめなきゃって思わなくても、榎田くんの根っからの明るさは人を結ぶ懸け橋になると思う」
懸け橋という言葉に、驚きで見開いていた目がきらりと光った。
「だって女将さん、榎田くんにばっかり話しかけにいくじゃないか。引率してるのは僕なのに……」
「三好センセー清潔感ないからじゃない?」
「三好はちょっと、ぼさぼさで話しかけにくい」
「追い打ちやめてよお……!」
思いがけない杉崎とシャムスの追撃に、本気でショックを受けているようで両手で顔を覆い隠す。嘆いている三好を放置して杉崎が榎田に向き直った。
「実際、あんたのおかげで勉強会の雰囲気明るくなってると思うわよ」
「そうだね。知らない人に積極的に話しかけるのも、場を明るくするのも、僕にはできないことだからいつもすごいなって思ってるよ」
こくこくと頷いてから茂木が穏やかに笑う。
「榎田くんって話題なんでも拾ってくれるよね。全カリの友達も榎田くんのファン多いし」
思い出すように視線を宙に投げてから青柳がにひっと笑う。
「明彦は、想介のことすごくよく見てると思う。嫌いだったら、想介のちょっとした変化に気づかない」
「確かに!私たち榎田くんが野球やってたことも知らなかったし、無理してるのも気づいてなかったもんね」
シャムスの言葉に青柳も賛同する。怒涛の誉め言葉と、意外と自分を見てくれていたという事実に、榎田はぽかんと口を開けて呆けた。
「みんなはもうチームになってる、と僕は思う」
「その中で、榎田くんの存在はとっても大きいし重要だ。でも、それは主将の榎田くんだからじゃない。野球ができるからでもない。ありのままの、榎田想介だからこそだ」
「君の寄り添おうとする優しさ、コミュニケーション能力の高さと明るさは、いつかきっと世界中を繋げる」
「僕は、榎田くんと発掘ができて、みんなとチームになれて、すごく嬉しい」
目尻に皺を寄せて三好が優しく笑いかけると、榎田の瞳がくるんと涙の膜で包まれた。
「三好教授~!オレ一生ついていきますう!ひとまず今日はいっしょに寝ましょうよぉ!草壁帰っちゃって布団空いてますよ!」
「それは遠慮するってば……ッ!」
榎田が勢いよく三好に飛びついた。体格のいい榎田にのしかかられては逃げようにも逃げられず、三好はそのまま地面に崩れてしまった。そんなことおかまいなしで抱き着く榎田に、ゴールデンレトリーバーか、と杉崎が蹴りを入れている。
「三好のすごいところは、思ったことを全部口に出すところなの」
火が近くて危ない、と慌てて止めに入る茂木を横目に、シャムスがぽつりと言葉をこぼした。
「普通の人は恥ずかしいと思って言えないような誉め言葉を、飾らないでそのまま相手に言えちゃうの。だから、みんな射抜かれちゃう」
「思ったことしか言えないから、松永教授と揉めたみたいに衝突もする。オブラートに包めない。お世辞とか嘘もへたくそ」
「……三好はね、情けないけど、気が弱いわけじゃないんだよ」
――思ったことしか言えない。
「そうなんだ……」
――情けないけど、気が弱いわけじゃない。
「わかる。三好教授は一本筋が通ってるよね。そういうところも、わたしは素敵だなって思ってるよ」
榎田に圧し潰されて呻いている三好がそれでもキラキラして見えるのは、目の奥に残る花火の光のせいではない、と青柳は思った。
☼ ☼ ☼
最終日の発掘は、移動時間を考慮して午前中までと決まっていた。
今回の発掘合宿での成果は、青柳が掘り上げた掘立柱建物の柱部分と草壁の土器の欠片数点だ。タイムアップとなってしまったため、報告書を作って翌週から戻ってくるボランティアと十河にその先を託すことになった。
「わたしの掘立柱ちゃん……」
自分が掘り出したと思うと愛着がわいてくるらしい。柱跡のそばからなかなか離れない青柳の手をシャムスが引いている。
「オレも何か掘り出したかったな」
青柳を羨ましそうに見つめながら榎田が呟くと、記録をまとめてファイリングしていた三好が苦笑いをした。
「確かに、他の人は見つけられたのに自分は何も見つけられなかったって思うとつまらないよね」
「歴史的な発見をしたって、友達に自慢したかったっす」
あからさまに拗ねて唇を突き出す様子に、吹き出して笑いながら、そうだね、と同意する。
「でもね、発掘って誰が見つけたかは重要じゃないんだ。みんなの頑張りが、いつかの研究で重大な発見に繋がるかもしれない」
「発掘は考古学分野だけに影響があるわけじゃないからね。古地図を書き換えることになって地理学者たちに感謝されることになるかもしれない。歴史学、文化人類学、社会学……あらゆる学問に間接的にでも影響を与える。たくさんの人のわくわくと失望が寄せ集まって今当たり前のように教科書に載っている歴史が完成されている」
「古代の顔も知らない人から渡されたバトンを受け取る努力をしたんだ。もし未来人が僕らのために一生懸命になってくれたとしたら、なんだか嬉しくない?」
「みんなで頑張って作ったこの資料が、考古学人同士のバトンだ。これが何よりの成果!」
そう言って三好は榎田に資料ファイルを渡す。たった2日半の発掘作業の割に厚みのあるそのファイルは、榎田の肌を粟立たせた。三好の指示のまま十河に手渡す。
「バトン、しっかり受け取ったぜ。ありがとう、若人諸君!」
皆の口から自然と、よろしくお願いします!と言葉が出た。自分たちが古代人から受け取ったバトンをこれからの歴史のために生かしてください、という思いが満ちる。最後の作業となるブルーシート掛けをして、いよいよ現場とお別れすることになった。ハイエースに向かって歩きながらも、榎田はもう一度現場を振り返った。
「土器の欠片とかは無理なのわかってるんで、思い出にちょっとだけ土持って帰りたい…」
「甲子園か」
思わず突っ込んでしまった杉崎が、まずい、という顔をして固まる。周りにも少し緊張が走った。それをきょろきょろと見て榎田は目をぱちくりさせた。皆の表情の意味を理解したのか、一瞬納得した顔をしてから吹き出して笑い出した。
「気い使わなくていいっすよ。オレにとって発掘が野球と同じくらい大事になったってことっすから!」
榎田は晴れ晴れした笑顔をしていた。一瞬でも肝を冷やした杉崎が八つ当たりで背中を叩く。痛いと言いながらも榎田は嬉しそうだった。
「本当にありがとうございました」
「礼を言うのは俺の方だ。ありがとうな」
握手を交わして手を離そうとするも、一向に離してくれない十河を三好は不思議そうに見つめた。
「松永先輩は厳しいけど、ちゃんと愛のある人だからへこたれずに頑張れよ」
広いようで狭い世界だ。三好が松永と揉めたことを知っての励ましの言葉だった。――にしても、と三好は引っ掛かった言葉を頭の中で転がす。
「松永教授は有名だし、同じ縄文時代の研究者ですから、十河さんと面識あるだろうとは思いますけど、先輩って……?」
「おう。帝都大学時代の先輩だ!」
「あ、そうでしたね!」
十河の豪放磊落な性格と帝都大学の謹厳実直なイメージが合わず、松永と同じ帝都大学出身者であることをつい忘れていた。
「いくら先輩後輩の関係でもな、松永先輩に俺から何か言ってやったりはできねえぞ?怖いからな」
物怖じしない性格の十河をもってしてもそう言わせてしまうとは、三好は苦笑して頷いた。
「まぁ、あの人も鬼とか悪魔じゃねえからな。それに、お前が頑張ってるところは俺も、お天道様も、ちゃあんと見てる。信じた仮定を証明するために、一生懸命に足掻け!」
バシッと背中を叩かれる。その力強さに苦しくなりつつも、パワーをもらったように感じた。
「はい!」
童心に返ったように無邪気に大きく返事をしてから、十河と飛騨高山に別れを告げた。
「発掘楽しかったな~!三好教授、ベェル・エルに発掘合宿行ったりしないっすか?」
「わあ!ベェル・エル行きたいです!」
「確かに、あたしも海外での発掘って体験ないから興味あるかも」
帰りの車内では、すでに次の発掘をいつにするかの話で盛り上がっていた。青柳がスマホでベェル・エルについて調べ始めると、地理や天候に加えて、おいしい料理や世界遺産、民族衣装体験などのコンテンツを見て、盛り上がりが最高潮になった。
「えっ、ベェル・エル行ってみたい!?」
「行きたいです!」
皆が乗り気なのが嬉しくて、三好も目をキラキラさせてそれに答える。
「いいね!」
次いで、行こう!と言いかけて三好は言葉を飲み込んだ。一呼吸置いてからハンドルを握り直す。先ほどまで輝いていた表情から一変、その表情は曇っていた。
しばらく走っていると合宿の疲れもあって、皆眠ってしまった。社内は静かなものだ。そんな中、茂木はただひとりが眠らずにいた。真剣に運転する三好の横顔を見てから、その視線を車窓の外に向ける。
――――――
茂木の父親はヤクザだった。
それゆえに、小さい頃から怖がって誰も近づいてこなかった。友達もできず、できたとしても身の上がバレると避けられるようになる。いじめられることは絶対になかったが、怖がられるだけの孤独な幼少期だった。
(お父さんはヤクザだけど、僕はヤクザじゃない)
いつもそう心の中で叫んでいた。
(僕は怖くない。怖がらないで――)
いつしか茂木は、にこにこと絶えず笑みを浮かべているようになり、控えめで静かな性格になっていた。怖がられたくない一心だった。
幼少期に友達ができなかったことで、当然のように人見知りになった。同級生たちが楽しく余暇を過ごす間、茂木は本を読むことで時間を潰していた。そこで出会ったのが神話や昔話だった。神話や昔話は教訓を伝えるものであると同時に、主人公が幸せになる話が多い。大金持ちになる。素敵な配偶者と出会う。親の病気が治る。たくさんの仲間を得る――茂木は、自分の人生では得ることができなかった幸せを、文字から得ていた。
(世界にはもっといろんな話があるんだろうな――神話や昔話の研究ができる道に進みたい!)
行きたい大学を見つけて受験勉強に励んでいた、そんなときだった。突然両親が離婚して、母子家庭になった。
なんとか大学に入るも、母親に迷惑をかけまいと奨学金を申請して、人見知りを押してバイトをいくつも掛け持ちして学費を稼いだ。
(今までヤクザの子供として苦労してきたのに、学費のかかる今になって放り出すのか……!)
なぜ離婚したのかわからず、父親への恨みが募るばかりだった。
卒業を控えた4年生のとき、茂木は大学院に進みたい旨を教授に相談した。が、父親がヤクザであることで難色を示されてしまったのだ。学部生ならまだしも、大学の名前を背負うことになるかもしれない院生にするのは、と批判的な意見が出ているのだといわれた。
ただでさえ大学院分の学費も不安に思っていたところに、ヤクザである父親の話――またあの男のせいだ、と目の前が真っ暗になった。
そのときに手を差し伸べたのが三好だった。
茂木の優秀さや今までの研究を教授陣にプレゼンをした。それだけでなく――
「どうして、ここまでしてくれるんですか……?」
ぼろぼろと泣く茂木の手には分厚い封筒が握らされている。祖父母の遺産の一部だというその現金は、大学院の一年分の学費に相当する額だった。
「なんか腹が立っちゃって!茂木くんのお父さんはヤクザかもしれないけど、君はヤクザじゃないでしょう?それなのに親の肩書きで判断されるなんておかしいよ!」
「そもそもヤクザだからって理由も気に食わない。ヤクザってもともとは自警団が始まりっていうじゃないか。正義の味方の側面もあるんだろう?僕は侠客かっこいいって認識なんだけどなあ」
「とにかく、君は反社会的勢力じゃない。僕からしたら、頼もしい学者の卵だ。君にはもっとたくさん学んでもらって、いい研究をして、いい論文を残してもらわないとね」
遠慮も思惑もない。本当に屈託のない笑顔でそう言われて、茂木は生まれて初めて警戒しなくていい、心から信じていい人が現れたのだと思った。
「はい……!頑張ります!」
そのときはじめて、茂木は本当の意味で笑顔になれた。
――――――
今、こうして学び、人と関わり、笑顔を浮かべられるのは三好のおかげだ。心も社会的立場も助けてもらった。恩を返すなら、今だ。
茂木は静かに腹を決めた。
行きと同じく、皆とは辻堂駅で解散することになった。また学校でね、と挨拶をしているメンバーを眺めていた三好に、茂木がそっと近づく。
「ベェル・エルに発掘、行かないんですか?」
「行きたいんだけど……」
言葉を濁す三好を茂木がじっと見つめる。その視線に耐えかねて、小さく唸って悩んでから渋々口を開いた。
「茂木くんにはバレてそうだから言っちゃうけど……今回の合宿みたいに、移動費が僕だけの持ち出しだと金額的に結構難しくて……」
冬休み中にでも行けたらと考えてはいたんだけど、と頭を掻いて苦笑いした。確かに、行き先が海外となると格安航空会社を使うとしても往復15万円以上かかる。それが三好を含めて7人分となると100万円を超えてしまう。
「費用なら心配しなくて大丈夫ですよ」
「え?」
「母もパートで稼げるようになって生活は楽になりましたし、僕もバイト死ぬほどしてるので、結構余裕あるんです」
昼間はデータ入力のバイト、夕方からは塾講師、深夜はコンビニバイトを入れて、月50万円を稼いだこともある。やろうと思ってできないことはないのだ。
「それは、茂木くんのお金じゃないか!そんなのもらえないよ!」
大きな声を出す三好に、茂木は己の口元に指を当てる。静かに、という意味を汲み取って三好は両手で自分の口を押さえた。
「三好教授からいただいたご恩、今返させてください」
ぱちり、と開いた目に見つめられる。いつもにこにこしているため目立たないが、目尻のつりあがった瞳が際立って目力を発揮している。
「お願いします」
茂木の迫力のある笑顔に、三好は口を噤んで頷くしかなかった。
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