悪魔の少年と半端な少女

月夜

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互いに望んだこと

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雫っ、こっちにおいで?

懐かしい声が聞こえる。

遥か遠くにいってしまった人。

そんなの気のせいだと、自分に言い聞かせる。

遠くに行ったわけじゃない。

もとから僕らの距離が遠かっただけだ。

懐かしい過去も、今も、何一つとして変わることがない。

彼女が覚えていない。

ただ、それだけの事実が残るだけ。

原因は分からない。

いつも部分的に覚えていて、最後にすべて思い出す。

そして思い出す前には必ず僕に会うんだ。

蓮だって覚えてない。

颯太は多分……覚えている。

現実から逃げられたらどんなに楽だろう?

いっそ彼女との思い出をすべて消せたら……

「なんて、出来るわけないか。」

そこまで想像してから僕は眠った。

…………………………………………………

…………………………………

………

目を覚ませば、いつもと全然違う風景。

なんでだろう?

疑問を持った後、昨日、寮に住むことになったことを思い出す。

隣で眠るのは、蓮じゃない男の子。

私と同じ性格の男の子。

雫。

雫の髪をそっと撫でる。

起こさないように。

「ん…………どうしたの?」

「あ、起こしちゃったかな?」

「どうしたの?」

「何でもないけど?」

「ふぅん。」

そういってまた、眠り始める。

雫について、私の記憶を漁る。

でてきた記憶は、

・雫は私と同い年。

・雫は別に私の事を好きな訳じゃない。

・雫は海を誰よりも嫌っている。

と言うことだった。

私の事を好きじゃない。

そこをつつけば上手くいくかもしれない。


朝。

「ねぇ、雫。」

全然起きない。

仕方ない。

氷の魔法で氷漬けにしてそれから……

「さすがに死ぬからやめてぇぇえ!!!」

そうだよねぇ。

「ねぇ、雫。」

「なぁに?」

「雫ってさ、私の事、嫌いなんでしょ?」

「…なんで?」

「私の記憶ではね、雫は私の事が嫌いだった。そうなってるの。」

「そう、なんだ……じゃあ、月。」

「なに?」

「月からみたらさ、僕ってどう見える?君を嫌ってるように見える?それとも好きに見える?記憶に頼らないで、答えて見せてよ。」

記憶に頼らないで?

ねぇ、雫。

私にはあなたは寂しそうにしか、見えない。

無理やり、明るく演じてるようにしか、見えないの。

だから、あなたの望む答えはきっと言えないと思うけど、それでも言おうかな。

「私には、雫は寂しそうに見える。それと、私とそっくりに。」

そういったら、雫は嬉しそうな顔をした。

「そっか。そうなんだ。」

「何が嬉しいの?」

「僕の事、真面目に考えてくれたからだよ。」

雫は本当はどんな子なんだろう?

私はそんなことを思った。
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