囚われの亡者

月夜

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Bloody hood A

あの子と自分

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僕はただの村人でしかない。
それ以上でもそれ以下でもない。
呪い子と呼ばれ蔑まれた過去を持つ今は人気者で王子の勇者とは違う。
王族である僕なんて、ただの夢のような、そんな存在なのです。
だから、その僕と今の僕は無関係なのです。
だって、別の世界線なのですから。
彼のことは夢で知っていますし、まるで自分が体験したかのような、そんな感覚に襲われることもありますがそれだけです。
たまにあるでしょう?
夢のはずなのに変に現実味を帯びている夢を見ること。
あれと一緒です。
夢の中でどんな目に遭おうとも僕には無関係なのです。
彼の物語は僕にとっては昔話のようで、彼にとってはきっと僕の物語なんて童話のようなものなんだろうな、なんて思います。
僕らは互いに決して混ざり合うことなんてないはずで、互いの存在を時々認識するのみなのです。
彼の愛する人と僕の愛する人も、名前が一緒なだけの別人なのでしょう。そうじゃなければいけません。
だって僕らも別々なのに、先輩だけ別々じゃなかったら、僕は彼と殺し合わなければいけなくなる。
彼は強い。
それも恐ろしいほどに。
多分目の前に立っていたら恐怖で震えが止まらなくなってしまうくらい。
そのくらい彼は狂気と強さを秘めているのです。
攻撃方法はなんとなくわかりますが、回避なんてきっと不可能でしょう。
鎖を操って僕と先輩の中を引き裂き、僕を縛り付けてそのまま圧死させて、何食わぬ顔で先輩に愛を囁くのでしょう。
僕は先輩を諦める気なんて微塵もありません。
そんなことしたくないのです。
何があっても嫌なのです。
子供の我儘だろうが、それだけは絶対に譲れないのです。
でも、それは向こうもきっと同じだろうから。
最後は血に濡れた手で愛しいあの人の手を握るのでしょう。
それは僕と彼のどちらなのでしょうか?
あなたの隣で笑顔で立っているのは僕ですか?
彼ですか?
あなたはどっちを選びますか?
そんな疑問に答えてくれる人物なんていないなんてわかっています。
果たしてその手はどちらのものなのでしょうか。
どちらだろうと、それで先輩が笑ってくれるなら...
そんなこと思っていたら、どこからか笑い声が聞こえて来ました。
「あなたは本当にそれで満足するのですか?だとしたら相当無欲なんですねぇ。尊敬しますよ。僕だったら耐えられませんから凪ごと連れて死んでしまいますよ。ねぇ、その程度で本当に満足してしまうのであれば、今ここで消えてしまうことをおすすめしますよ?」
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