囚われの亡者

月夜

文字の大きさ
77 / 83
Bloody hood A

信仰心

しおりを挟む
初めからそうだったのかもしれないが、これは流石にやばい。
そう感じたから、その旨を言ってやろうとしただけなのに。
なのに颯太の目はこちらを向かず、熱に浮かされたように喋り始めた。
「だってあの状況は仕方なかったんですよ、僕だって先輩を殺めたくなかったのに、だけど仕方なかったんです。殺すしかなかったんです。そしたら返り血でロープが染まって、何しても落ちなくて。だから先輩も僕が好きなんですよ」
タガが外れたように話す姿は異常としか言えなくて。
まるで純粋な信徒のようだ。
だけど信徒とは違う。
「颯太は凪に何して欲しいんですか?」
「抱きしめて欲しいキスして欲しい僕を汚して欲しい。逆に汚してしまいたい。先輩の全てを僕で見たしてしまいたい。壊してしまいたい。僕だけのものになって欲しい」
ほらやっぱり。
こいつのこれは信仰心なんかじゃない。
汚れた恋心だ、歪んだ愛だ。
この歪んだ愛を振り翳して颯太は生きている。
欲望だけで満ちている。
もし仮に人形があったら迷わず汚すのだろうか。
きっと汚すのだろう。
たっぷり味わうのだろう。
それがわかるから、怖かった。
加えて凪を殺した。
状況的に仕方なかったとしても、オリジナルには死体を愛でる趣味はない。
あったとしても時と場合によるだろう。
それでも、殺さずに生かしておくはずだ。
そうじゃないなら一体何があったというのだろう。
ただただ理解できないことが立て続けに起こっていることくらいしか僕は理解できなかった。
颯太は人形見たくニコリと笑っていった。
「だからアテネは殺しません。先輩のこともありますが何よりあなたの血が先輩の血と混ざり合って欲しくないからです」
凪の血。
不老不死の呪いがかかり気が遠くなるほどの年月を繰り返し続けた者の血。
その血は飲めばとても甘美で、虜になってしまうらしい。
その肉はこの世のものとは思えないほど美味しいらしい。
その臓器は患者の体に入れればたちまちその患者の臓器へと細胞が変化し、どんな病も治すらしい。
そして何より、凪の血は強化薬として有名だった。
人間に飲ませれば、ドーピング以上の効果を発揮する。
輸血にも使用できるから。
だから根こそぎ奪われた。
その血を纏ったその頭巾は、持ち主に危険が迫ればたちまち襲い掛かることだろう。
だって凪なら颯太を守ろうとするはずだから。
凪の血は、その持ち主と同じように、守ろうとして強くするのだから。
生かすためだけに強化するのだから。
だから、もし僕が颯太に攻撃したら。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

意味がわかると怖い話

邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き 基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。 ※完結としますが、追加次第随時更新※ YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*) お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕 https://youtube.com/@yuachanRio

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

村長奇譚 ~夏祭りの惨劇と少女の亡霊~

水無月礼人
ミステリー
 子供達は独立し、長年連れ添った妻は病で死去した。  故郷の田舎町で余生を過ごそうと帰省した主人公(60代・男)は、住民の同調圧力で強引に自治会長(村長)に選ばれてしまう。  嫌々ながらも最大のイベント・夏祭りの準備を始める主人公であるが、彼は様々な怪奇に遭遇することになる。  不運な村長とお気楽青年のバディが事件を華麗に解決!……するかも。 ※表紙イラストはフリー素材を組み合わせて作りました。  【アルファポリス】でも公開しています。

処理中です...