キャバ嬢、異世界へ〜死にたくないから魔王様を全力で魅了します!〜

ミィタソ

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二十四話 優しさに溺れる

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「……んんっ」

 私はぼんやりと目を開けた。
 心地よい暖かさに包まれていて、なんだかすごく安心する。柔らかくて、だけどしっかりとした感触。

「……?」

 視界に映るのは、纏わりつくことをしらないサラサラの銀髪。

「……あれ?」

 ゆっくりと状況を整理する。
 私は、魔王様の膝枕で寝ていて……。
 まだ膝枕のままじゃん!

「!!!」

 驚いて飛び起きようとした瞬間――

「動くな」

 低く静かな声が耳元で響いた。

「ひゃっ……!」

「暴れるな。落ちるぞ」

 言われて気づいた。
 私、いつの間にかヴァルゼスの腕の中にいる!?

「えっ、えっ!? ど、どういうことですか!?」

「貴様が寝返りを打ったせいだ。落ちそうになったから支えただけだ」

「そ、そうですか……」

 そう言われても、状況がすごすぎて頭が追いつかない。
 ヴァルゼスの腕はしっかりと私を支えていて、動けばもっと密着してしまいそうで……。

「……っ!」

 意識したら、急に心臓がドキドキしてきた。

「お前、顔が赤いぞ」

「う、うるさいです!」

「……?」

 魔王様は不思議そうに私を見つめる。そのルビーみたいな瞳があまりにも綺麗で、私は思わず目を逸らした。
 ダメだ、これ、絶対おかしい。

「も、もういいです! 私、ちゃんと座りますから!」

「勝手にしろ」

 私は慌ててヴァルゼスの腕から抜け出し、少し距離を取った。

「……」

「……」

 沈黙が訪れる。
 なんか、めっちゃ気まずい。
 でも、チラッと横目でヴァルゼスを見ると、彼はどこか考え込むような表情をしていた。

「……どうしました?」

「……いや」

 ヴァルゼスは少しだけ視線を逸らした。

「余は、なぜ貴様にこうも気を許しているのかと思ってな」

「えっ?」

「他の者に対しては、こんなことはしない」

 静かにそう言うヴァルゼスの横顔は、いつもの冷たい雰囲気とは少し違って見えた。

「……」

「……」

 再び訪れた沈黙。
 え、これってつまり……私、特別ってことだよね?
 あれだけ口に出すのを避けていた彼がついに。
 胸の奥がじんわりと熱くなる。

「……魔王様」

 思わず呼んでしまった。ヴァルゼスがこちらを見る。

「……何だ?」

「……なんでもないです」

 私は笑ってごまかした。
 でも、そのあともしばらく、ヴァルゼスの腕の感触が忘れられなかった。
 穏やかな日常。幸せな時間。
 もう日本に帰らなくてもいいかな……なんて、少しだけ考えてしまった。
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