キャバ嬢、異世界へ〜死にたくないから魔王様を全力で魅了します!〜

ミィタソ

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三十五話 食卓に招かれて

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「それじゃあ、次は市場を見てみましょうか!」

 私は張り切ってそう言った。

「市場か……確かに、魔族の食文化には興味があるな」

 勇者も頷き、ヴァルゼスは「案内しよう」と前を歩き出した。

***

 魔族の市場は、私が想像していたよりもずっと活気があった。
 色とりどりの果物、見たことのない形の野菜、香ばしい匂いを放つ焼き菓子やパン……人間の市場と変わらないどころか、むしろ華やかにすら見える。

「え、ちょっと待って、あの肉めちゃくちゃ美味しそうなんですけど!」

 私は屋台で焼かれている分厚い肉の串を指差した。
 香ばしい匂いが鼻をくすぐり、思わずお腹が鳴りそうになる。

「これは『ルガルの肉』だ。魔界に生息する大型獣の一種で、ジューシーな味わいが特徴だ」

 ヴァルゼスが説明する。

「へぇ……食べてみても?」

「もちろんだ。おい、これを一本頼む」

 ヴァルゼスが店主に声をかけると、すぐに熱々の肉串が手渡された。

「やった! じゃあ、いただきまーす!」

 私はガブッと大きくかじる。

「……んっ!?」

 口の中に広がる肉汁の甘みと、しっかりした歯ごたえ。スパイスの効いた味付けが絶妙で、思わず目を見開いた。

「おいしい!! これ、人間の世界でも売れるんじゃない!?」

「そうか。貴様が言うならそうなのかもしれぬ」

 ヴァルゼスが誇らしげに笑う。

「……俺も一本もらおう」

 勇者も興味を持ったのか、同じものを頼んで食べ始めた。

「……うまい」

「でしょでしょ!?」

 私と勇者が肉の美味しさに夢中になっていると、市場の店主が嬉しそうに声をかけてきた。

「お嬢さん、人間の世界ではどんな料理が人気なんだい?」

「えっ? そうですね……甘いものだと『シュークリーム』とか?」

「シュークリーム?」

 ヴァルゼスが首をかしげる。

「うん、サクッとした生地の中に甘いクリームが入ってるお菓子!」

「ほう……それは面白いな」

 市場の菓子職人らしき魔族が興味津々にメモを取り始めた。

「試しに作ってみるか……!」

「えっ、作れるんですか!?」

「この市場にいる限り、どんな料理も再現してみせるさ!」

 どうやらこの辺の魔族の食文化のレベルのは高いらしい。私はただただ驚くばかりだった。

***

 こうして市場での交流を終えた後、私たちは村の広場で食事に招かれた。
 魔族たちが持ち寄った料理を囲み、人間と魔族が同じ食卓を囲む。

「……こういうの、すごくいいですね」

 私はほっとしたように呟いた。

「そうだな。敵同士ではなく、共に生きる者として……悪くない」

 勇者も静かに頷いた。
 ヴァルゼスは何も言わなかったが、満足そうに食事をしていた。
 こうして、魔族との距離はまた少し縮まったのだった。
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