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旦那様、私をそんな目で見ないでください!04
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食事を終え、響介は少し片づけておきたい仕事があった。
「静音さん、僕、少し書斎で仕事をしてきますので、片付けが終わったらあがってください」
「わかりました」
「え~、ひな、もう少し静音さんと遊びた~い」
「雛、わがまま言っちゃいけないよ」
こんなにも雛がなついているのなら、残業代を払うのなんて惜しくもなんともない。しかし、初日から残業では、静音さんに悪い印象を与えてしまうかもしれない。やっと見つけた雛のお気に入りの存在を失うことだけは避けたい。
「じゃあ、食器を洗ったら絵本を読んであげますね」
「わ~い」
「そんな、悪いですよ」
「私、絵本も大好きなんです。雛ちゃん、一冊好きなの選んでおいてね」
「は~い」
もう、雛はすっかりその気になっている。
「すみません。残業代はちゃんと支払いますので」
「絵本一冊なんて10分もかかりませんから。お気遣いなく」
「でも、それじゃあ悪いですよ」
「雛ちゃんがよろこんでくれるなら、私はかまいません」
どうしてそこまで…。響介はいくら仕事とはいえ、他人である自分たちになぜそこまでしてくれるのか不思議でならなかった。
「そうですか。それではお言葉に甘えて少しだけお願いします。ただ、お金の方はきちんとお支払いさせていただきますので」
響介はそういう部分がなあなあになると、後々揉めることになりかねないと思っている。しかし、それを静音は頭の固い他人行儀な男と受け取ったかもしれない。少し苦笑いながら「わかりました」と答えた。
「さあ、洗い物早く終わらせなくちゃ。雛ちゃん少し待っててね」
「はあい」
そう答えると、雛は絵本のある本棚へとかけていった。
響介は「それじゃあ、今日はお疲れ様でした」と挨拶をして書斎へと向かった。静音は軽く頭を下げてそれに答えると、キッチンへ戻っていった。
雛が気持ちよさそうに寝息を立てている。あれから、響介が仕事を済ませてリビングに戻ると、雛は一人で絵本を広げていた。すっかりご機嫌で、いつもは嫌がるお風呂もすんなり入ってくれた。
正直、こんなにスムーズに一日が終えられる日が来るなんて考えてもいなかった。
まだ若い彼女がいつまでこの仕事を続けてくれるのか分からないが、雛が高校生になるくらいまで続けてもらえたらな、などと随分先のことまで考えてしまう。
何しろ、女の子の思春期なんて響介には全く想像できない恐ろしいものだ。それを自分だけで乗り切る自信が無い。
ふと、凛太朗の言葉が頭によぎる。
「雛ちゃんのためにも新しいママが必要だろう?」確かにそうだ。だけどな~、元々女性に自分からアプローチしたりするのは得意ではないのだ。妻の鈴とは同じ大学で同じゼミで、しかも彼女の方から告白されて付き合うことになっただけで、それ以外の女性と付き合ったことはない。
下手に年だけ取った子持ちの男を相手にする女性などいるだろうか?恋愛音痴の響介には全く想像することが出来ないのだった。
「静音さん、僕、少し書斎で仕事をしてきますので、片付けが終わったらあがってください」
「わかりました」
「え~、ひな、もう少し静音さんと遊びた~い」
「雛、わがまま言っちゃいけないよ」
こんなにも雛がなついているのなら、残業代を払うのなんて惜しくもなんともない。しかし、初日から残業では、静音さんに悪い印象を与えてしまうかもしれない。やっと見つけた雛のお気に入りの存在を失うことだけは避けたい。
「じゃあ、食器を洗ったら絵本を読んであげますね」
「わ~い」
「そんな、悪いですよ」
「私、絵本も大好きなんです。雛ちゃん、一冊好きなの選んでおいてね」
「は~い」
もう、雛はすっかりその気になっている。
「すみません。残業代はちゃんと支払いますので」
「絵本一冊なんて10分もかかりませんから。お気遣いなく」
「でも、それじゃあ悪いですよ」
「雛ちゃんがよろこんでくれるなら、私はかまいません」
どうしてそこまで…。響介はいくら仕事とはいえ、他人である自分たちになぜそこまでしてくれるのか不思議でならなかった。
「そうですか。それではお言葉に甘えて少しだけお願いします。ただ、お金の方はきちんとお支払いさせていただきますので」
響介はそういう部分がなあなあになると、後々揉めることになりかねないと思っている。しかし、それを静音は頭の固い他人行儀な男と受け取ったかもしれない。少し苦笑いながら「わかりました」と答えた。
「さあ、洗い物早く終わらせなくちゃ。雛ちゃん少し待っててね」
「はあい」
そう答えると、雛は絵本のある本棚へとかけていった。
響介は「それじゃあ、今日はお疲れ様でした」と挨拶をして書斎へと向かった。静音は軽く頭を下げてそれに答えると、キッチンへ戻っていった。
雛が気持ちよさそうに寝息を立てている。あれから、響介が仕事を済ませてリビングに戻ると、雛は一人で絵本を広げていた。すっかりご機嫌で、いつもは嫌がるお風呂もすんなり入ってくれた。
正直、こんなにスムーズに一日が終えられる日が来るなんて考えてもいなかった。
まだ若い彼女がいつまでこの仕事を続けてくれるのか分からないが、雛が高校生になるくらいまで続けてもらえたらな、などと随分先のことまで考えてしまう。
何しろ、女の子の思春期なんて響介には全く想像できない恐ろしいものだ。それを自分だけで乗り切る自信が無い。
ふと、凛太朗の言葉が頭によぎる。
「雛ちゃんのためにも新しいママが必要だろう?」確かにそうだ。だけどな~、元々女性に自分からアプローチしたりするのは得意ではないのだ。妻の鈴とは同じ大学で同じゼミで、しかも彼女の方から告白されて付き合うことになっただけで、それ以外の女性と付き合ったことはない。
下手に年だけ取った子持ちの男を相手にする女性などいるだろうか?恋愛音痴の響介には全く想像することが出来ないのだった。
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