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御曹司のやんごとなき恋愛事情.03
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俊介は、平日勤めているデザイン会社での自由な生活と、この窮屈で退屈な空間の違いを嫌でも比べてしまう。
なれるものなら庶民になりたいとさえ思う。
社長の家に生まれたというだけの理由で、自分の人生は自分のものではなくなってしまった。
それについては、もうとっくにあきらめていたつもりだった。
しかし、父親に外の世界も学んで来いと言われた時、偶然いとこのさゆりが熱を上げていたデザイナー岩崎和馬と何とか付き合いたいという相談を受けた。
俊介は一計を案じて今のデザイン会社に入った。
会社では営業をやっているのだが、余りに居心地が良くて正直辞めたくないくらいだ。
しかし、自分は父親の跡を継ぐという決められた道がある。
俊介には二つ下の弟雅紀がいる。
雅紀は大学生院生で生物学の研究に没頭している。
彼は俊介と違い余り社交的ではなく、高いコミュニケーション能力が求められる社長というポストには向いていないと、随分前から周りも気付いていた。
父はどちらに後を継がせると決めていたわけではないが、そういった性格の違いから俊介が後を継ぐという事に今のところ落ち着いている。
俊介は営業でもトップの成績を修めるくらいだから、社交性は優れていると自分でも思っているが、経営者としてどうなのかは正直やってみないと分からない。
そのための教育係が優子だったんだが・・・。
中学の頃は教育係といっても家庭教師の様なものだった。
それが、高校に入ったころから少しずつ優子との関係性が変わっていった。
俊介の父親は社長として忙しくしていて、家にはほとんどいないのが普通だった。
母親の志都子は、そんな父親を嫌っている訳ではないが、持て余した時間を慈善事業に充てることで自分の存在価値を確かめるような生活を送っていた。
余りに干渉され過ぎるのも困るが、ここまで子供に無関心だと、子供の心はすさんでいくのが普通だ。
しかし、それを救ってくれたのが優子の存在だった。
子どもから大人へと変わる頃、優子はただの教育係ではなく、俊介を大人にする存在になった。
当時、弟の雅紀は全国から優秀な人材を集めた中高一貫に入り寮生活を送っていた。
学校から帰ると、二人以外誰もいない家で、俊介は優子の体を求め続けた。
優子は俊介にとって教師であり、母親であり、恋人でもあった。
もしかしたら、それは今でも変わらないのかもしれない。
だから、俊介は今日の会食に社長令嬢がくっついてくることを知っていて、俊介に何も言わなかったことが許せなかったのだ。
しかし、俊介は自分たちの関係について、はっきりと優子に聞くことは出来ない。
お互いそこには触れてこなかった。
体の関係があっても、お互いの気持ちを口にしたことは一度もなかった。
叶わないことが分かっているから・・・。
それを口にしたとたん、すべてが終わってしまうのが怖かったから。
土曜日の夕方、接待ゴルフを終えて俊介は事務所に顔を出した。
今日は特にやらなければならない仕事はなかったが、優子の顔が見たくてつい来てしまった。
エレベーターで三階にあるオフィスに向かう。
廊下を歩いていると珍しく中から話し声が漏れ聞こえてきた。
人が訪ねて来るなんて珍しいな。
俊介はドアに耳をあてて聞き耳を立てた。
「相変わらず綺麗だね」
「もうすっかりオバサンよ」
「ご謙遜を」
「そういう伊波君も全然変わってないわね」
なれるものなら庶民になりたいとさえ思う。
社長の家に生まれたというだけの理由で、自分の人生は自分のものではなくなってしまった。
それについては、もうとっくにあきらめていたつもりだった。
しかし、父親に外の世界も学んで来いと言われた時、偶然いとこのさゆりが熱を上げていたデザイナー岩崎和馬と何とか付き合いたいという相談を受けた。
俊介は一計を案じて今のデザイン会社に入った。
会社では営業をやっているのだが、余りに居心地が良くて正直辞めたくないくらいだ。
しかし、自分は父親の跡を継ぐという決められた道がある。
俊介には二つ下の弟雅紀がいる。
雅紀は大学生院生で生物学の研究に没頭している。
彼は俊介と違い余り社交的ではなく、高いコミュニケーション能力が求められる社長というポストには向いていないと、随分前から周りも気付いていた。
父はどちらに後を継がせると決めていたわけではないが、そういった性格の違いから俊介が後を継ぐという事に今のところ落ち着いている。
俊介は営業でもトップの成績を修めるくらいだから、社交性は優れていると自分でも思っているが、経営者としてどうなのかは正直やってみないと分からない。
そのための教育係が優子だったんだが・・・。
中学の頃は教育係といっても家庭教師の様なものだった。
それが、高校に入ったころから少しずつ優子との関係性が変わっていった。
俊介の父親は社長として忙しくしていて、家にはほとんどいないのが普通だった。
母親の志都子は、そんな父親を嫌っている訳ではないが、持て余した時間を慈善事業に充てることで自分の存在価値を確かめるような生活を送っていた。
余りに干渉され過ぎるのも困るが、ここまで子供に無関心だと、子供の心はすさんでいくのが普通だ。
しかし、それを救ってくれたのが優子の存在だった。
子どもから大人へと変わる頃、優子はただの教育係ではなく、俊介を大人にする存在になった。
当時、弟の雅紀は全国から優秀な人材を集めた中高一貫に入り寮生活を送っていた。
学校から帰ると、二人以外誰もいない家で、俊介は優子の体を求め続けた。
優子は俊介にとって教師であり、母親であり、恋人でもあった。
もしかしたら、それは今でも変わらないのかもしれない。
だから、俊介は今日の会食に社長令嬢がくっついてくることを知っていて、俊介に何も言わなかったことが許せなかったのだ。
しかし、俊介は自分たちの関係について、はっきりと優子に聞くことは出来ない。
お互いそこには触れてこなかった。
体の関係があっても、お互いの気持ちを口にしたことは一度もなかった。
叶わないことが分かっているから・・・。
それを口にしたとたん、すべてが終わってしまうのが怖かったから。
土曜日の夕方、接待ゴルフを終えて俊介は事務所に顔を出した。
今日は特にやらなければならない仕事はなかったが、優子の顔が見たくてつい来てしまった。
エレベーターで三階にあるオフィスに向かう。
廊下を歩いていると珍しく中から話し声が漏れ聞こえてきた。
人が訪ねて来るなんて珍しいな。
俊介はドアに耳をあてて聞き耳を立てた。
「相変わらず綺麗だね」
「もうすっかりオバサンよ」
「ご謙遜を」
「そういう伊波君も全然変わってないわね」
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