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御曹司のやんごとなき恋愛事情.08
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一方的に上司風を吹かせても、ピシャリと叱られることもしばしばだ。
まだまだ優子からしてみれば、一人前には程遠いのだろう。
しかし、俊介はそんなことさえ利用してでも、優子のことを抱きたいのだから困ったものだ。
そして、いざ抱いてしまえば、優子の反応はその言葉とは裏腹で感じまくっているのだから始末が悪い。
「まったく、ここはオフィスなんですよ。こんな・・・ぬ、濡れてしまって・・・、一体どうしてくれるんです?」
優子は結局最後は完全に受け入れてしまうものの、やはり不本意のようだ。
それでも、感じまくった手前、その顔は少し気まずそうでもある。
「じゃあ、今度からは俺の部屋でしようよ」
「・・・まったく、呆れてものが言えません」
「何でだよ。その方がシャワーもあるから清潔だぜ」
「そういうことを言ってるんじゃありません!」
優子はピシャリと言い放つと、部屋から出て行ってしまった。
俊介が大学を出て社会人になってからというもの、こんなことを繰り返していた。
俊介の方はビジネスの駒にされることからは逃れられないという無言の圧は勿論感じている。
しかし、未だに何とかして優子と結ばれる方法はないかとか、愛人にするというような非現実的なことを本気で考えたりしている。
一方の優子はもう少し現実的だった。
そして、そのための準備を俊介に隠れて始めていた。
「優子の方から誘ってくれるなんて感激だな」
「そんなに驚くこと?」
平日の七時過ぎ、優子と伊波はレストランで夕食を楽しんでいた。
「だって、俺たちつきあってる時だって優子から誘ってくれたことなんてなかったじゃないか」
伊波はからかうように言った。
「そんなことよく覚えてるわね」
優子は呆れたように言った。
「あ、誤魔化した」
「そう言う訳じゃないけど・・・。もう、女々しいこと言わないでよね」
「はいはい。俺が一方的に惚れてたんだから、仕方ないよな」
「そんな・・・」
否定してはみるものの、実際そのとおりだったのだから仕方がない。
伊波と優子は商社の同期だった。
優子が俊介の父行成にヘッドハンティングされ、その後伊波は海外に転勤になり、二人の関係は自然消滅した。
しかし、言ってみればそれを乗り越えるだけの関係が築けていなかったとも言える。
その二人がこうして十年の時を経て楽しくテーブルを囲むことなど、当時からすれば全く想像できなかったことだ。
しかも、さっき伊波が言った通り、当時の二人の関係は圧倒的に伊波が優子に惚れているというものだった。
告白したのも伊波、デートに誘うのも、旅行に誘うのも、何から何まで伊波が優子を誘うというのが二人の中での普通だった。
たとえ優子が気まぐれで自分から誘いたいと思ったとしても、その前に伊波が誘うから、結局優子の出る幕はなくなるというパターンだ。
そんな状況だったということは、当然伊波は優子と別れるつもりなどなかったのだが、さすがに海外に飛ばされては手の出しようがなくなった。
それに、優子の教育係という仕事は不規則だったため、最初の頃こそ必死で連絡を試みた伊波も、時差と距離に阻まれ、泣く泣く諦めたという過去があるのだ。
そんな伊波だから、こうして優子と再会し、優子がまだ結婚していないと知った時は飛び上がる程嬉しかった。
まだまだ優子からしてみれば、一人前には程遠いのだろう。
しかし、俊介はそんなことさえ利用してでも、優子のことを抱きたいのだから困ったものだ。
そして、いざ抱いてしまえば、優子の反応はその言葉とは裏腹で感じまくっているのだから始末が悪い。
「まったく、ここはオフィスなんですよ。こんな・・・ぬ、濡れてしまって・・・、一体どうしてくれるんです?」
優子は結局最後は完全に受け入れてしまうものの、やはり不本意のようだ。
それでも、感じまくった手前、その顔は少し気まずそうでもある。
「じゃあ、今度からは俺の部屋でしようよ」
「・・・まったく、呆れてものが言えません」
「何でだよ。その方がシャワーもあるから清潔だぜ」
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優子はピシャリと言い放つと、部屋から出て行ってしまった。
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しかし、未だに何とかして優子と結ばれる方法はないかとか、愛人にするというような非現実的なことを本気で考えたりしている。
一方の優子はもう少し現実的だった。
そして、そのための準備を俊介に隠れて始めていた。
「優子の方から誘ってくれるなんて感激だな」
「そんなに驚くこと?」
平日の七時過ぎ、優子と伊波はレストランで夕食を楽しんでいた。
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伊波はからかうように言った。
「そんなことよく覚えてるわね」
優子は呆れたように言った。
「あ、誤魔化した」
「そう言う訳じゃないけど・・・。もう、女々しいこと言わないでよね」
「はいはい。俺が一方的に惚れてたんだから、仕方ないよな」
「そんな・・・」
否定してはみるものの、実際そのとおりだったのだから仕方がない。
伊波と優子は商社の同期だった。
優子が俊介の父行成にヘッドハンティングされ、その後伊波は海外に転勤になり、二人の関係は自然消滅した。
しかし、言ってみればそれを乗り越えるだけの関係が築けていなかったとも言える。
その二人がこうして十年の時を経て楽しくテーブルを囲むことなど、当時からすれば全く想像できなかったことだ。
しかも、さっき伊波が言った通り、当時の二人の関係は圧倒的に伊波が優子に惚れているというものだった。
告白したのも伊波、デートに誘うのも、旅行に誘うのも、何から何まで伊波が優子を誘うというのが二人の中での普通だった。
たとえ優子が気まぐれで自分から誘いたいと思ったとしても、その前に伊波が誘うから、結局優子の出る幕はなくなるというパターンだ。
そんな状況だったということは、当然伊波は優子と別れるつもりなどなかったのだが、さすがに海外に飛ばされては手の出しようがなくなった。
それに、優子の教育係という仕事は不規則だったため、最初の頃こそ必死で連絡を試みた伊波も、時差と距離に阻まれ、泣く泣く諦めたという過去があるのだ。
そんな伊波だから、こうして優子と再会し、優子がまだ結婚していないと知った時は飛び上がる程嬉しかった。
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