ケダモノのように愛して

星野しずく

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ケダモノのように愛して.19

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 自分でもバカだなと思う。

 どうして我慢できなかったんだろう。

 軽率な行動のせいで来週まで桔平に会えなくなってしまった…。

 いや、来週会うにしても気まずい雰囲気になることは免れないだろう。

 まあ、自分がそう思ってるだけで桔平は平気なんだろうけど…。



「あ~あ、もう!」

 咲那は桔平とセックスをして以来、やり場のない怒りというもの増えた気がしてならない。



 桔平にとってはたくさんいる女性のうちの一人に過ぎない自分…。

 だけど自分にとっては桔平はただ一人の想い人なのだ。

 そんなの最初から釣り合いが取れるはずがないのに…。



「バカだな…」



 きっと今は何をしても気が紛れることなんてない。

 咲那はシャワーを浴びると早々にベッドに潜り込んだ。

 早く眠れば早く朝が来る。

 とりあえず明日はみんなの写真を見ることが出来る。

 それは咲那にとっても、それはささやかな楽しみだったから…。




「おはよう」

 翌朝キッチンに下りていくとまりあが忙しそうに朝食の用意をしていた。

「おはよう、咲那。昨日はごめんね」

「ううん、いいよ別に。急ぎだったんでしょ」

「それはそうなんだけど。お父さんから連絡があってね…、来週急に帰国することになったんだって」



 洋平はいつもそうだ…。

 あちらではそう決まっていることでも、それをこちらに連絡してくるのはいつも直前だ。

 その度に、母まりあは少なからず仕事の調整をしなければならなくなる。



「またなの~。何でもっと早く連絡してこないんだろうね」

 こういう会話も、まりあとの間で何度交わしたことか分からない。

 もう慣れたと言いたいところだが、普段と違う生活になる、つまり洋平中心の生活に慣れるには、やはり毎回それなりに時間がかかる。

 そしてようやく慣れた頃にまた出かけてしまうのだからたちが悪い。

 だけどそれでも一応父親なのだから咲那もまりあも我慢するしかないのだけれど…。



「まあ、もう、年も年だし…、今さら変わらないでしょ。さあ、朝ごはん食べて」

 まりあに促され朝食を済ますと、咲那は学校に出かけた。



 写真部の部員たちにとって今日の授業はとても落ち着いて受けられる状況ではなかった。

 皆一刻も早く写真が見たくて仕方がなくて、ただただ時間が過ぎるのを耐えた一日だった。

 ホームルームが終わると咲那は一目散に部室に向かった。



 もうすでに何人もの部員がやってきていて、自分の作品を写真甲子園用のフォルダに入れていた。

 全員が揃い、一通りみんなの写真を大きなモニターで観賞した。



 お祭りの日は天気も良く、空気も澄んでいたこともあり、神輿や法被の色やその背景の街並みや空の色も鮮やかで、観賞会は大いに盛り上がった。

 しかし、この中から写真甲子園で勝てる写真を選ばなければならないのだ。

 もちろん、学校単位で申し込むことにはなるのだが、自分の撮った作品が選ばれることを望まない人はいないだろう。

 菊池先生から写真甲子園に作品を提出するまでの説明を受けたあと解散となった。
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