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ケダモノのように愛して.48
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「でもさ~、長い人生で挫折することなんて何度でもあるわけじゃん。その度に自暴自棄になって誰かを巻き添えにしてたらやっぱまずいんじゃない?」
桔平はどうしても黙っていることが出来ないタチらしい。
「そ、それは…。彼はまだ若いから、そういう経験がなかったからだ。今回のことで学んだはずだ」
銀次は痛いところを突かれてしどろもどろになる。
「そうかな~、痛い思いもしてないのに、学習できるのかな~」
完全に嫌味なオジサンだ。
「水谷くんなら分かってるはずだ」
銀次はあくまで水谷くんの肩を持つ。
「俺、警察に出頭します」
水谷くんは縄で縛られたままの不自由なからだのまま立ち上がると、覚悟を決めた表情で言い放った。
「ちょ、ちょっと待って。こいつの言うことなんか気にすることないから」
銀次はアタフタたとするばかりだ。
しかし次の瞬間、バシッという音が銀次の店内に響き渡った。
水谷くんの頬は見事に張り倒され、その体は床に転がった。
「甘えてんじゃないわよ!」
水谷くんを張り倒したのは咲那だった。
「あんたね、みんながどんな思いで集まってあんたのこと助けようとしたと思ってんの?」
水谷は呆気にとられたまま咲那のことを見上げていた。
「みんなはね、銀次さんほどあんたのことは知らない。でも、銀次さんの人柄は知ってる。そんな銀次さんが守ってやりたいっていう男だったら協力しようって集まってくれてるんだよ」
水谷は気まずそうに目線を逸らした。
「もしあんたがこれから何か辛いことに遭遇して、その時また同じように誰かを巻き添えにして苦しみから逃れようとしたら、こうやってあんたのことを信じた人たちの気持ちを全部踏みにじることになるんだよ」
水谷はうつむいたまま震えている。
「あんたさっき警察に出頭するってい言ったけど、それって銀次さんやみんながあんたのことを必死で守ろうとしたことを台無しにするってこと分かってる?」
水谷はまたシクシクと泣き始めた。
「泣いてんじゃないわよ!分かってると思うけど、ここに来てくれてる人たちはみんな社会に出て働いてる。だから経歴に傷がつくことの意味をよく知ってる。だからこそ本当だったら関わりたくないような面倒なことにも仕事の工面をつけて協力してくれたんだよ。その苦労に対してあんたは報いるどころか、台無しにしようとしたんだよ、分かってる!」
咲那はなぜこうなってしまったのか分からないけれど、いつのまにか水谷くんを説教していた。
「よっ!咲那、かっこいいぞ」
桔平のチャチャが入って、咲那はハッと我に返る。
「ご、ゴメンなさい、銀次さん。私、生意気なこと言っちゃった」
「い、いや、いいんだ。本当は俺がそのくらいビシッと言わなくちゃいけないんだが。どうも、昔っからそういうのが苦手で…」
銀次さんは面倒見はいいものの、いざという時に厳しい態度を取ることが苦手らしい。
「水谷くん、君がみんなに出来る恩返しは、今まで以上に必死に勉強して、そして社会に出たら、ちゃんと人の役に立つ人間になることだ。それ以上なんて誰も望んじゃいないよ、な、そうだろ?」
桔平の言葉にそこにいたみんなが無言でうなずいた。
「あ、ありがとうございます、ありがとうございます。僕、必死で頑張ります。辛いことがあっても逃げたりしません。夢は絶対に諦めません」
水谷くんは目に涙を溜めながらも必死でみんなに訴えた。
桔平はどうしても黙っていることが出来ないタチらしい。
「そ、それは…。彼はまだ若いから、そういう経験がなかったからだ。今回のことで学んだはずだ」
銀次は痛いところを突かれてしどろもどろになる。
「そうかな~、痛い思いもしてないのに、学習できるのかな~」
完全に嫌味なオジサンだ。
「水谷くんなら分かってるはずだ」
銀次はあくまで水谷くんの肩を持つ。
「俺、警察に出頭します」
水谷くんは縄で縛られたままの不自由なからだのまま立ち上がると、覚悟を決めた表情で言い放った。
「ちょ、ちょっと待って。こいつの言うことなんか気にすることないから」
銀次はアタフタたとするばかりだ。
しかし次の瞬間、バシッという音が銀次の店内に響き渡った。
水谷くんの頬は見事に張り倒され、その体は床に転がった。
「甘えてんじゃないわよ!」
水谷くんを張り倒したのは咲那だった。
「あんたね、みんながどんな思いで集まってあんたのこと助けようとしたと思ってんの?」
水谷は呆気にとられたまま咲那のことを見上げていた。
「みんなはね、銀次さんほどあんたのことは知らない。でも、銀次さんの人柄は知ってる。そんな銀次さんが守ってやりたいっていう男だったら協力しようって集まってくれてるんだよ」
水谷は気まずそうに目線を逸らした。
「もしあんたがこれから何か辛いことに遭遇して、その時また同じように誰かを巻き添えにして苦しみから逃れようとしたら、こうやってあんたのことを信じた人たちの気持ちを全部踏みにじることになるんだよ」
水谷はうつむいたまま震えている。
「あんたさっき警察に出頭するってい言ったけど、それって銀次さんやみんながあんたのことを必死で守ろうとしたことを台無しにするってこと分かってる?」
水谷はまたシクシクと泣き始めた。
「泣いてんじゃないわよ!分かってると思うけど、ここに来てくれてる人たちはみんな社会に出て働いてる。だから経歴に傷がつくことの意味をよく知ってる。だからこそ本当だったら関わりたくないような面倒なことにも仕事の工面をつけて協力してくれたんだよ。その苦労に対してあんたは報いるどころか、台無しにしようとしたんだよ、分かってる!」
咲那はなぜこうなってしまったのか分からないけれど、いつのまにか水谷くんを説教していた。
「よっ!咲那、かっこいいぞ」
桔平のチャチャが入って、咲那はハッと我に返る。
「ご、ゴメンなさい、銀次さん。私、生意気なこと言っちゃった」
「い、いや、いいんだ。本当は俺がそのくらいビシッと言わなくちゃいけないんだが。どうも、昔っからそういうのが苦手で…」
銀次さんは面倒見はいいものの、いざという時に厳しい態度を取ることが苦手らしい。
「水谷くん、君がみんなに出来る恩返しは、今まで以上に必死に勉強して、そして社会に出たら、ちゃんと人の役に立つ人間になることだ。それ以上なんて誰も望んじゃいないよ、な、そうだろ?」
桔平の言葉にそこにいたみんなが無言でうなずいた。
「あ、ありがとうございます、ありがとうございます。僕、必死で頑張ります。辛いことがあっても逃げたりしません。夢は絶対に諦めません」
水谷くんは目に涙を溜めながらも必死でみんなに訴えた。
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