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ケダモノのように愛して.54
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咲那はその話を聞きたいのだけれど、聞いてしまったら物凄く後悔しそうで、思わず耳を塞ぎたくなった。
「実はさ…、子どもが出来ちゃったみたいなんだ」
「えっ…」
子供って…、嘘でしょ…。
なんで…。
嫌だ、そんなの…絶対に嫌…。
桔平が誰かのものになるなんて許せない…。
ほら、やっぱり聞かなければよかった…。
桔平が女性にだらしないのは分かっていたのに。
だから、いつかこんな日が来るかもしれないと思わないではなかった。
でも、実際にそういう日が来てしまうと、やっぱり信じたくなかった。
「いやあ、びっくりしたよ。昨日急に佳乃から連絡があってさ…。しばらく会ってなかったから、俺全然知らなくて。今三ヶ月に入ったばかりらしい」
「そ、そうなんだ…」
こんな話を聞かされて、いったい何と言えばいいのだろう。
これ以上ここにいたら泣いてしまう…。
姪である自分が桔平の交際相手の妊娠を聞かされて泣くなんて、どう考えてもおかしいことだ。
「わ、私帰る…」
咲那は踵を返すと全力で駆け出した。
「さ、咲那!」
後ろから桔平の声が追いかけて来たけれど、咲那は振り向くことなく階段を駆け下りて自転車に乗った。
そこから先のことはあまり覚えていない…。
気がつくと家のリビングのソファで眠っていた。
スマホが鳴っている。
画面を見ると「桔平」の文字が浮かび上がっていた。
咲那はその音が消えてしまうのが怖くて、ソファから飛び起きるとスマホを手に取った。
「もしもし…」
眠っていたせいで声が掠れてしまう。
「咲那…、さっきは、その…びっくりさせてごめん」
「…うん」
どんな辛い内容であっても桔平の声が聞けるだけで自分は嬉しいんだと咲那は思った。
バカだな…、他の女の人のこと妊娠させちゃったのに…、まだ好きな気持ちは全然変わらない。
「佳乃はもう帰ったからさ、今から来れないか?」
ああ、もう…。
行ったら、つらいだけなのに…。
それでも行かずにはいられない…。
桔平に会える喜びは何よりも大きいから。
何度会っても変わらない。
だって、大好きなんだもん…。
「…行く」
「そっか、何度も悪いな。じゃあ、待ってるから」
咲那はスマホを胸にギュッと抱きしめた。
桔平にはもうこんな風に抱きしめてもらえないかもしれない。
そんな悲しいことは考えたくないけれど、きっとそういう話をこれからしなければならないのだろう。
咲那はそれが分かっていて、のこのこと出かけていく自分はバカだなと思う。
でも、一度でも多く桔平に会いたい。
会って声が聞きたい。
桔平のことを見ていたい。
そのくらい咲那は桔平を欲していた。
「実はさ…、子どもが出来ちゃったみたいなんだ」
「えっ…」
子供って…、嘘でしょ…。
なんで…。
嫌だ、そんなの…絶対に嫌…。
桔平が誰かのものになるなんて許せない…。
ほら、やっぱり聞かなければよかった…。
桔平が女性にだらしないのは分かっていたのに。
だから、いつかこんな日が来るかもしれないと思わないではなかった。
でも、実際にそういう日が来てしまうと、やっぱり信じたくなかった。
「いやあ、びっくりしたよ。昨日急に佳乃から連絡があってさ…。しばらく会ってなかったから、俺全然知らなくて。今三ヶ月に入ったばかりらしい」
「そ、そうなんだ…」
こんな話を聞かされて、いったい何と言えばいいのだろう。
これ以上ここにいたら泣いてしまう…。
姪である自分が桔平の交際相手の妊娠を聞かされて泣くなんて、どう考えてもおかしいことだ。
「わ、私帰る…」
咲那は踵を返すと全力で駆け出した。
「さ、咲那!」
後ろから桔平の声が追いかけて来たけれど、咲那は振り向くことなく階段を駆け下りて自転車に乗った。
そこから先のことはあまり覚えていない…。
気がつくと家のリビングのソファで眠っていた。
スマホが鳴っている。
画面を見ると「桔平」の文字が浮かび上がっていた。
咲那はその音が消えてしまうのが怖くて、ソファから飛び起きるとスマホを手に取った。
「もしもし…」
眠っていたせいで声が掠れてしまう。
「咲那…、さっきは、その…びっくりさせてごめん」
「…うん」
どんな辛い内容であっても桔平の声が聞けるだけで自分は嬉しいんだと咲那は思った。
バカだな…、他の女の人のこと妊娠させちゃったのに…、まだ好きな気持ちは全然変わらない。
「佳乃はもう帰ったからさ、今から来れないか?」
ああ、もう…。
行ったら、つらいだけなのに…。
それでも行かずにはいられない…。
桔平に会える喜びは何よりも大きいから。
何度会っても変わらない。
だって、大好きなんだもん…。
「…行く」
「そっか、何度も悪いな。じゃあ、待ってるから」
咲那はスマホを胸にギュッと抱きしめた。
桔平にはもうこんな風に抱きしめてもらえないかもしれない。
そんな悲しいことは考えたくないけれど、きっとそういう話をこれからしなければならないのだろう。
咲那はそれが分かっていて、のこのこと出かけていく自分はバカだなと思う。
でも、一度でも多く桔平に会いたい。
会って声が聞きたい。
桔平のことを見ていたい。
そのくらい咲那は桔平を欲していた。
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