ホストと女医は診察室で

星野しずく

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ホストと女医は診察室で.21

「俺だけイッっちゃってごめんね。先生も慣れてきたらきっといけるから。まだ、二回目だもんね」

 聖夜は慶子の髪を優しく撫でてくれた。

「ねえ、本当にもう俺とこういうことしたくない?」

 そう言われると、慶子の決心は激しく揺らぐ。

 しかし、一度決めたことは変えない主義だ。



「ええ、今日で最後にします。なんだか、迷惑ばっかりかけちゃって本当にごめんなさい」

「そんなこと思ってないよ。ただ、残念なだけ…」

 本当に淋しそうな表情を見せられ、慶子の胸は締め付けられた。



「シャワー浴びてきます」

 慶子はそう言うと浴室に向かった。

 これ以上聖夜と一緒にいたら流されてしまいそうだ。

 シャワーを浴びたらすぐに部屋を出よう。

 お金は封筒に入れて用意してきた。

 そまま渡したら多すぎるかもしれないけど、色々迷惑をかけてしまった迷惑料だと思えばそれでいい。

 慶子はしっかりと身なりを整えると聖夜がいるはずの部屋へと戻った。



 しかし、そこに聖夜の姿はなかった。

 代わりに何やら手紙のようなものが置いてある。

『先生、きょうも可愛かったよ。先生のことだからお金を払ったらもうきっと本当に来ないつもりだよね。俺はまた先生と会いたい。だからお金は受け取らない。ホテルの代金はもう払ってあるから、ゆっくり休んでいって。先生、好きだよ。聖夜』

「こ、こんなことして…、私にどうしろって言うの?」

 慶子はポロポロと涙をこぼした。



 自分の仕事は医者だ。
 
 恋に溺れて仕事中にうっかりミスなど許されない。

 だから、こんなことを続けるわけにはいかないのだ。

 お金はお店に行って店長さんに渡そう。

 そして、聖夜とは本当にもう今日限り会わない。

 慶子は涙を拭うと部屋を出た。



 次の日目覚めたのは昼近くだった。

 だるさの残った身体に聖夜の感触を思い出す。

 それ以上思考がそっちに行かないように、テレビをつけ食事の用意をした。

 スマホを見ると着信履歴があった。

 母の澄江からだ。

 何か急用だろうか?

 慶子は澄江に電話をかけた。



「もしもし、お母さん。何かあった」

「ああ、急ぎって訳じゃないんだけど、ちょっと話しがあってね」

「なに?なんかよくない予感しかしないんだけど」

「そ、そんなことないわよ…」

 母も慶子と同じで嘘をつくのが下手だ。

「どうせ見合しろとかそういう話でしょ」

「あら、どうして分かるの?」

 もう、三十過ぎた娘に母親が電話してくるなんて、見合か食事か旅行に行こうかくらいでしょうが…。

 ただ、開業したばかりで忙しい慶子を母が旅行に誘うことは考えにくい。

 食事は時々行っている。

 となると残るのは見合だ。

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