ホストと女医は診察室で

星野しずく

文字の大きさ
26 / 67

ホストと女医は診察室で.26

「やっぱり知り合いなの?」

「い、いやそういう訳じゃないけど…。なんで先生がこの写真持ってるのか聞いていい?」

「なんか答えになってないけど…。私、今度この人とお見合いすることになったんだけど、どう見ても聖夜さんにしか見えなくて。だけど、聖夜さんの本名知らないから確かめようがなくて…」



 慶子は聖夜の顔をじっと見つめた。

 聖夜はサッと目を逸らす。

 見合だって、聞いてないぞ…。

 ああ、そう言えばこの間母さんから電話があったな。

 あれはもしかして見合いの話だったのか…。

 俺が拒否したらか、和希にっていうことか。



「う~ん、まいったな…」

 余程話しづらい内容なのか、聖夜は言葉が続かない。

「聖夜さんからは言いにくいなら別にいいわ。どうせ来月には和希さん本人に会うんだから」

「ま、待って。分かったよ。そいつは俺の弟だ。だけど、見合いするなんて知らなかったから…、驚いてるだけ」

「え、聖夜さんの弟さん!ってことは、聖夜さんのご実家って、三上コンサルティングなの?」

「まあそういうことだ。ただ、俺は家を出た人間だから、実家の仕事とは一切関係ない」



「ねえ、立ち入ったこと聞いていい?聖夜さんはどうしてお家を継がないでこの業界を選んだの?」

「最初からホストを仕事にしようと思ってたわけじゃないよ。俺も物心ついた頃から家業を継ぐもんだと思ってたし、そういう風に教育もされた。だけど、大学に入って誘われてホストのバイトやったんだ。そしたらこれが妙に自分に合ってたっていうか、なんかやってて楽しいんだよね。そんとき思ったんだ、俺これを仕事にしようってね」



 慶子は、以前真也が言っていた言葉を思い出していた。
 
 聖夜が慶子のクリニックを指定したのだと。

 その時はその理由がなぜなのか分からなかったけれど、父親同士が以前から知り合いであることで、その理由の見当がついた。

 恐らく聖夜は父親の仕事を引き継ぐために、直接顧客の資料を見たりすることもあっただろう。

 そう考えれば、慶子の所属している愛誠会の名前を目にしていたのかもしれない。

 慶子の中でずっと引っ掛かっていた謎がやっと解けた。



「ご両親に反対されなかったの?」

「もちろん大反対。っていうか、未だに反対されてる最中。だけど俺もう決めてるんだ。近いうちに自分の店を出すって」

「そ、そうなの?」

「そんなに驚くことないじゃん。先生だって自分でクリニック経営してるでしょ」

「そ、それはそうだけど。私なんて親に世話になりっぱなしだから、聖夜さんとは全然違うわ」

「まったく、先生は自己評価が低いな。そんなに綺麗で頭も良くても性格が歪んでないんだからもっと自信持ちなよ」

「は、はい…」

 聖夜は自分より年下のはずなのに、完全に言い負かされている。



「ねえ先生…、見合いのことだけど、会うだけなんて本気で思ってる?」

「え、だって親が勝手に決めて、会うだけでいいっていうからOKしたんだけど…。まだ、クリニック始めたばかりだし…、結婚とか考えられない」

「だからなんじゃない?経営って大変でしょ。先生のご両親もその辺のことを心配してコネクションを作ろうとしてくれたんじゃないかな」

「そ、そうなのかな…」

 どこまで行っても親は子どもの事が心配だということは慶子も身をもって感じている。

 それがこういう形でやってくるとは思っていなかったけれど。

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった

くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。 血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。 夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。 「……涼介くん」 薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。 逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。 夜、来て。 その一言が——涼介の、全部を壊した。 甘くて、苦しくて、止まれない。 これは、ある夏の、秘密の話。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

『床下に札束を隠す金髪悪女は、毎朝赤いマットの上で黒の下着姿で股を開く』〜ストレッチが、私の金脈〜

まさき
恋愛
毎朝六時。 黒の下着姿で、赤いヨガマットの上に脚を開く。 それが橘麗奈、二十八歳の朝の儀式。 ストレッチが終わったら、絨毯をめくる。 床下収納を開けて、封筒の束を確認する。 まだある。今日も、負けていない。 儚く見える目と、計算された貧しさで男の「守りたい」を引き出し、感情を売らずに金だけを回収してきた。 愛は演技。体は商売道具。金は成果。 ブリーチで傷んだ金髪も、柔らかく整えた体も、全部武器だ。 完璧だったはずの計算が、同じマンションに住む地味な男——青木奏の登場で、狂い始める。 奢らない。 触れない。 欲しがらない。 それでも、去らない。 武器が全部外れる相手に、麗奈は初めて「演じない自分」を見られてしまう。 赤いマットの上で、もう脚を開けなくなる朝が来るまでの話。

【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。

東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」 ──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。 購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。 それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、 いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!? 否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。 気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。 ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ! 最後は笑って、ちょっと泣ける。 #誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

《完結》悪女と噂されたわたくしのざまぁ

ヴァンドール
恋愛
悪女と噂のわたくしとの結婚なら、どれほど軽んじても問題はないと思っていた旦那様。 ところが……。