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ホストと女医は診察室で.28
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「慶子さんは開業なさってるんですよね」
「ええ、小さなクリニックですけど」
「いやあ、立派ですよ。男性でも中々独立開業には踏み切る勇気がないのが普通です」
聖夜とは違い会話の内容は至って真面目だ。
「世間知らずなだけですよ。他にこれと言って取柄もないですし」
「いやあ、それだけじゃやっぱり出来ませんよ。これでも経営の勉強は専門ですから、その大変さは分かってますから」
「はあ…」
「すみません、堅い話ばかりしか出来なくて…。実は僕には兄がいるんです。兄は僕と違って社交的でもっと女性を楽しませる話も得意なんですけど、僕はからっきしで」
「そ、そうなんですか」
知ってますとも言えず、慶子は少し顔をひきつらせた。
「慶子さんは皮膚科が専門なんですよね」
「はい。一応美容皮膚科クリニックです」
「だからやっぱり院長として美には気をつかってらっしゃるんですね。写真で拝見して綺麗な方だなとは思ってましたけど、今日実際にお会いしてお肌がすごく綺麗なのでびっくりしました」
「いえ、和希さんこそすごく素敵ですから、おモテになるんじゃないですか?」
こんな褒め合いみたいな会話は気持ち悪い。
腹の探り合いの様な上っ面だけの話なんて面白くもなんともない。
慶子は早くも帰りたくなってきた。
慶子は思っていることが顔に出やすい。
さすがに仕事中は極力気をつけているけれど、プライベートになるとボロが出てしまいがちだ。
「慶子さん、やっぱり僕の話なんてつまらないですよね」
「え、いいえ、そんなことは…」
「いいんです、僕、女性と話してても堅い話ばかりしてしまって、よく相手をしらけさせてしまうんです」
和希はそう言うと悲しそうな表情を浮かべた。
「そ、それは私も一緒ですよ。もうずっと仕事一筋でこの年まで生きてきちゃったもんですから、気の利いた話とか全然できなくて。だから、正直男性とお話しするのは苦手なんです」
「そうだったんですか。よかった…、て言うのは失礼か。もう、本当にダメですね」
和希はそう言うと頭をポリポリと掻いた。
二人の間にやっと笑いが起きた。
「もう少し本音で話していいですか?遅かれ早かれボロがでると思いますから」
慶子は思い切って切り出した。
「いいですよ!僕もその方が助かります」
「よかった。実は、世間話とか本当に苦手で、さっきからもう早く帰ることしか考えてなかったんです。ごめんなさい」
「僕も似たようなもんです。仕事だと違うスイッチが入るんですけど、普段は本当にダメダメです」
「私、本当のこと言うと、今日のお見合い最初からお断りするつもりで来たんです。正直、クリニックを始めてまだ一年も経ってなくて、結婚とか全然考えられないんです。誤解しないでくださいね、和希さんがどうこうって訳じゃないですからね」
慶子はとても受け入れてもらえるとは思えなかったけれど、もうこれ以上茶番を続けることはできなかった。
「慶子さんって本当に嘘がつけないんですね。普通、こういう時ってそう思ってても取りあえず話を合わせて、後日断るもんでしょ?」
そう言うわりには、和希は全く怒っている様子はない。
「ごめんなさい」
だって仕方ないじゃん。
本当にそういうの苦手なんだもん。
「ええ、小さなクリニックですけど」
「いやあ、立派ですよ。男性でも中々独立開業には踏み切る勇気がないのが普通です」
聖夜とは違い会話の内容は至って真面目だ。
「世間知らずなだけですよ。他にこれと言って取柄もないですし」
「いやあ、それだけじゃやっぱり出来ませんよ。これでも経営の勉強は専門ですから、その大変さは分かってますから」
「はあ…」
「すみません、堅い話ばかりしか出来なくて…。実は僕には兄がいるんです。兄は僕と違って社交的でもっと女性を楽しませる話も得意なんですけど、僕はからっきしで」
「そ、そうなんですか」
知ってますとも言えず、慶子は少し顔をひきつらせた。
「慶子さんは皮膚科が専門なんですよね」
「はい。一応美容皮膚科クリニックです」
「だからやっぱり院長として美には気をつかってらっしゃるんですね。写真で拝見して綺麗な方だなとは思ってましたけど、今日実際にお会いしてお肌がすごく綺麗なのでびっくりしました」
「いえ、和希さんこそすごく素敵ですから、おモテになるんじゃないですか?」
こんな褒め合いみたいな会話は気持ち悪い。
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「慶子さん、やっぱり僕の話なんてつまらないですよね」
「え、いいえ、そんなことは…」
「いいんです、僕、女性と話してても堅い話ばかりしてしまって、よく相手をしらけさせてしまうんです」
和希はそう言うと悲しそうな表情を浮かべた。
「そ、それは私も一緒ですよ。もうずっと仕事一筋でこの年まで生きてきちゃったもんですから、気の利いた話とか全然できなくて。だから、正直男性とお話しするのは苦手なんです」
「そうだったんですか。よかった…、て言うのは失礼か。もう、本当にダメですね」
和希はそう言うと頭をポリポリと掻いた。
二人の間にやっと笑いが起きた。
「もう少し本音で話していいですか?遅かれ早かれボロがでると思いますから」
慶子は思い切って切り出した。
「いいですよ!僕もその方が助かります」
「よかった。実は、世間話とか本当に苦手で、さっきからもう早く帰ることしか考えてなかったんです。ごめんなさい」
「僕も似たようなもんです。仕事だと違うスイッチが入るんですけど、普段は本当にダメダメです」
「私、本当のこと言うと、今日のお見合い最初からお断りするつもりで来たんです。正直、クリニックを始めてまだ一年も経ってなくて、結婚とか全然考えられないんです。誤解しないでくださいね、和希さんがどうこうって訳じゃないですからね」
慶子はとても受け入れてもらえるとは思えなかったけれど、もうこれ以上茶番を続けることはできなかった。
「慶子さんって本当に嘘がつけないんですね。普通、こういう時ってそう思ってても取りあえず話を合わせて、後日断るもんでしょ?」
そう言うわりには、和希は全く怒っている様子はない。
「ごめんなさい」
だって仕方ないじゃん。
本当にそういうの苦手なんだもん。
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