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ホストと女医は診察室で.31
思い起こせば聖夜が家を出てからというもの、和希に電話があったことなど一度もない。
どうしたんだろう、何かあったのかな。
和希は不安な気持ちのまま電話に出た。
「もしもし…、兄さん?」
「和希、元気か?」
「元気だけど、どうかしたの?電話なんて初めてじゃない」
「ああ、そうだったか?」
「そうだよ。兄さん家を出て行ってから、ほとんど帰ってこないし、連絡だって全然くれなかったじゃないか」
「男同士なんてそんなもんだろう」
「それが突然電話なんてかかってくるから、何か大変なことでもあったかと思って心配しちゃったよ。でも、元気そうな声が聞けてよかった」
相変わらずのお人好しでいい子ちゃんな和希の口ぶりに聖夜は閉口する。
「今日、見合いだったんだろう?それも、俺のかわりに無理やりだったみたいだから、悪かったなと思ってさ」
「兄さんがそんなふうに言うなんて、本当にどうかしちゃったんじゃないの?家を出ていくときだって当たり前みたいな顔だったのに」
「お前も結構言うね」
「別に僕はかまわないんだけど、家を継ぐのも嫌じゃないし」
「相変わらずだな…。で、見合いはどうだった?」
「それがさ、すごくいい人だったんだ。僕、あの人とだったらずっとうまくやっていけそうな気がするんだよ。だから、早速食事に誘ったら向こうもOKだって。いやあ、お見合いなんてまだ早いし、軽い気持ちで行ったんだけど、あんな人に会えて本当によかったよ」
「へ、へえ、そうか…。そりゃあよかったな」
こういう展開は十分予想できたはずなのに…。
自分から電話して、聞きたくない話を聞いているなんて、俺もバカだな…。
「今度兄さんにも紹介するよ。そうだ、一緒に食事でもしない」
「いや…、それはいい」
「なんでだよ?すごく面白い人だよ」
「俺みたいな仕事してるのが家族にいるとお相手も嫌がるだろうし」
「そう思うんだったらホストなんかやめて家に戻って来てよ。僕と一緒にうちの仕事やろうよ」
「まったくお前は変わってないな」
「兄さん…」
「家のことは頼むよ」
「それは構わないけど、たまには僕とだけでも会ってよ」
「お前、まだそんなこと言ってるのか」
「そんな急に変われないよ。僕ずっと兄さんの後追いかけて、兄さんに追いつきたいって思ってきたんだから。兄さんは僕の憧れなんだよ」
「よくそんなこと恥ずかしげもなく言えるな。そういう意味ではお前も十分面白いやつだよ」
「茶化さないでよ、本気で言ってるのに」
「でも、まあよかったじゃないか。いい相手にめぐり会えたんだろう?」
「それはそうだけど。それと兄さんのことは別だからね。気が向いたらまた電話でもなんでもいいから連絡してきてよ。僕がいくら電話しても兄さん出てくれないんだから」
「気が向いたらな」
「約束だよ」
「ホントに、子どもの頃のまんまだな…」
「兄さん…」
「じゃあな」
「電話待ってるから」
聖夜の返事は無いまま電話は切れた。
どうしたんだろう、何かあったのかな。
和希は不安な気持ちのまま電話に出た。
「もしもし…、兄さん?」
「和希、元気か?」
「元気だけど、どうかしたの?電話なんて初めてじゃない」
「ああ、そうだったか?」
「そうだよ。兄さん家を出て行ってから、ほとんど帰ってこないし、連絡だって全然くれなかったじゃないか」
「男同士なんてそんなもんだろう」
「それが突然電話なんてかかってくるから、何か大変なことでもあったかと思って心配しちゃったよ。でも、元気そうな声が聞けてよかった」
相変わらずのお人好しでいい子ちゃんな和希の口ぶりに聖夜は閉口する。
「今日、見合いだったんだろう?それも、俺のかわりに無理やりだったみたいだから、悪かったなと思ってさ」
「兄さんがそんなふうに言うなんて、本当にどうかしちゃったんじゃないの?家を出ていくときだって当たり前みたいな顔だったのに」
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「別に僕はかまわないんだけど、家を継ぐのも嫌じゃないし」
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「へ、へえ、そうか…。そりゃあよかったな」
こういう展開は十分予想できたはずなのに…。
自分から電話して、聞きたくない話を聞いているなんて、俺もバカだな…。
「今度兄さんにも紹介するよ。そうだ、一緒に食事でもしない」
「いや…、それはいい」
「なんでだよ?すごく面白い人だよ」
「俺みたいな仕事してるのが家族にいるとお相手も嫌がるだろうし」
「そう思うんだったらホストなんかやめて家に戻って来てよ。僕と一緒にうちの仕事やろうよ」
「まったくお前は変わってないな」
「兄さん…」
「家のことは頼むよ」
「それは構わないけど、たまには僕とだけでも会ってよ」
「お前、まだそんなこと言ってるのか」
「そんな急に変われないよ。僕ずっと兄さんの後追いかけて、兄さんに追いつきたいって思ってきたんだから。兄さんは僕の憧れなんだよ」
「よくそんなこと恥ずかしげもなく言えるな。そういう意味ではお前も十分面白いやつだよ」
「茶化さないでよ、本気で言ってるのに」
「でも、まあよかったじゃないか。いい相手にめぐり会えたんだろう?」
「それはそうだけど。それと兄さんのことは別だからね。気が向いたらまた電話でもなんでもいいから連絡してきてよ。僕がいくら電話しても兄さん出てくれないんだから」
「気が向いたらな」
「約束だよ」
「ホントに、子どもの頃のまんまだな…」
「兄さん…」
「じゃあな」
「電話待ってるから」
聖夜の返事は無いまま電話は切れた。
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