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ニーナ様
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「よしよし、大丈夫ですよ。ココは怖いところではないので安心して下さい」
「姉様 姉様ぁ…」
とりあえず事情を手短にハナちゃんに話して、ニーナを落ち着かせてもらっている。ナツはその間に朝食の準備に向かう。やっと泣き止んだ所で、三人で食卓へ。
「えーと、ニーナちゃんは元にいた世界では何をしていたの?」
と私が質問してみたが、睨まれるだけで答えてくれない。どうやら相当人間が嫌いな様だ。なので代わりにハナちゃんに質問してもらう。
「ニーナさん、元にいた世界では何をしていたのですか?」
「姉様、本当に何も覚えていないのですか?」
「ごめんなさい、何も覚えていなくて…」
「私と姉様は…人間に殺されました」
やはりそうか、あの傷は人間にやられたものだったのか。
「姉様は私を庇って斬り殺されて…私はその後、なんとか王宮から逃げる事ができたのですが。結局見つかって殺されました…」
「そんな酷い事が…」
「でも今こうして生きているのは、母様から頂いた魔法石のおかげだと思います。姉様が斬られた直後に魔法石が光を放ち、姉様が転送されて消えて行くのを見ました」
その転送先が私のベッドと言う訳か。
「ちなみに私は王宮で何をしていたのですか?」
「何って、姉様はフィーンド王国のリティア姫ではありませんか、それすらも覚えていないのですね…」
王国?姫?ハナちゃんは元の世界ではかなり高貴な人だったんだな。そんなハナちゃんを抱き枕にして寝ていただなんて、とてもじゃないがニーナちゃんには言えない。
「私が…王国の…姫…」
「はい姉様!思い出してくれましたか?」
「いいえ、ごめんなさい…」
ここで私が恐る恐る手を挙げて話す。
「あのーよろしいですか?」
「何よ人間!?」
「ゴハンが冷めちゃうので、そろそろ食べませんか?」
「はぁ?人間が用意した物など誰が手をつけるとでも…」
このかなり険悪なムードを打開してくれたのは、ハナちゃんのお腹だった。いつものようにクーッと言う可愛らしいお腹の音が鳴る。
「姉様…お腹が空いているのですか?」
「すいません、また恥ずかしい音を立ててしまって。ニーナさんも朝食を食べましょう、とても美味しいんですよ」
「でも人間が作ったのですよ…そんなもの…」
「いただきます!」
ハナちゃんが勢いよく朝食を食べ始める、いつもの様に美味しそうに。私とナツもいただきますをして食べ始める。その様子をジッと見つめるニーナちゃん、やがて恐る恐る食べ始める。すると美味しい事に気がついたのか、食べるペースが一気に上がっていく。ハナちゃんもニーナちゃんもそろって完食。
「お口にあったみたいだね!よかった、おかわりいるぅ?」
「はい!お願いします!」
「ちょっ、姉様…うう…私もお願いするわ…」
「はいはい!ちょっとまっててねぇ~」
やはり食事は偉大だ、どんなにいがみ合っていても、共に食卓を囲めば何とかなるものだ。私も思い切って質問してみる。
「えーっと、ニーナちゃんはさ…」
「ちょっと!人間が私の名を慣れ慣れしく呼ばないでよ!せめてニーナ様と呼びなさい、でなければ口をきいてやらないんだから」
はぁ?様付けで呼べと?ここは私の家だし、食事も出してあげているのに。その高飛車な態度にカチンと来た私は言い返そうとしたが、ナツがおかわりを持って戻って来た。
「はい!おかわり持って来たよ!いっぱい食べてね。ちょっとお姉ちゃん顔怖いよ、いいじゃん呼び方なんて、そんな事で丸く治るなら楽なもんだよ」
「ナツは本当に、そういうのこだわらないよね」
「辛くて悲惨な思いをして、やっとここまで辿り着いたんだからさ、今は付き合ってあげよ」
ハナちゃんとニーナちゃ…じゃなくてニーナ様は、おかわりを無我夢中で食べる。姉妹揃って気持ち良い食べっぷりだなぁ。
「ごちそうさまでした!」
「ふん…まぁまぁの味だったんじゃないの?」
まったくあんだけ食べてよく言ったもんだ、でもここは我慢我慢。ナツは何だか嬉しそうに食器を片付けている。ハナちゃんも手伝おうとするが、ニーナ様に手を引かれて、リビングのソファーで何やら話し込んでいる。代わりに私が手伝いに入る。
「ナツ、なんかすごい嬉しそうだね」
「うん!なんかまた突然家族が増えたからね」
「家族?ニーナ様が?まぁ…そうなっちゃうか」
「それに向こうも姉妹、こっちも姉妹、何か面白くなりそうじゃない?」
面白くなるかどうかは別として、これからどうなってしまうのか、まったく皆目見当もつかない。
「姉様 姉様ぁ…」
とりあえず事情を手短にハナちゃんに話して、ニーナを落ち着かせてもらっている。ナツはその間に朝食の準備に向かう。やっと泣き止んだ所で、三人で食卓へ。
「えーと、ニーナちゃんは元にいた世界では何をしていたの?」
と私が質問してみたが、睨まれるだけで答えてくれない。どうやら相当人間が嫌いな様だ。なので代わりにハナちゃんに質問してもらう。
「ニーナさん、元にいた世界では何をしていたのですか?」
「姉様、本当に何も覚えていないのですか?」
「ごめんなさい、何も覚えていなくて…」
「私と姉様は…人間に殺されました」
やはりそうか、あの傷は人間にやられたものだったのか。
「姉様は私を庇って斬り殺されて…私はその後、なんとか王宮から逃げる事ができたのですが。結局見つかって殺されました…」
「そんな酷い事が…」
「でも今こうして生きているのは、母様から頂いた魔法石のおかげだと思います。姉様が斬られた直後に魔法石が光を放ち、姉様が転送されて消えて行くのを見ました」
その転送先が私のベッドと言う訳か。
「ちなみに私は王宮で何をしていたのですか?」
「何って、姉様はフィーンド王国のリティア姫ではありませんか、それすらも覚えていないのですね…」
王国?姫?ハナちゃんは元の世界ではかなり高貴な人だったんだな。そんなハナちゃんを抱き枕にして寝ていただなんて、とてもじゃないがニーナちゃんには言えない。
「私が…王国の…姫…」
「はい姉様!思い出してくれましたか?」
「いいえ、ごめんなさい…」
ここで私が恐る恐る手を挙げて話す。
「あのーよろしいですか?」
「何よ人間!?」
「ゴハンが冷めちゃうので、そろそろ食べませんか?」
「はぁ?人間が用意した物など誰が手をつけるとでも…」
このかなり険悪なムードを打開してくれたのは、ハナちゃんのお腹だった。いつものようにクーッと言う可愛らしいお腹の音が鳴る。
「姉様…お腹が空いているのですか?」
「すいません、また恥ずかしい音を立ててしまって。ニーナさんも朝食を食べましょう、とても美味しいんですよ」
「でも人間が作ったのですよ…そんなもの…」
「いただきます!」
ハナちゃんが勢いよく朝食を食べ始める、いつもの様に美味しそうに。私とナツもいただきますをして食べ始める。その様子をジッと見つめるニーナちゃん、やがて恐る恐る食べ始める。すると美味しい事に気がついたのか、食べるペースが一気に上がっていく。ハナちゃんもニーナちゃんもそろって完食。
「お口にあったみたいだね!よかった、おかわりいるぅ?」
「はい!お願いします!」
「ちょっ、姉様…うう…私もお願いするわ…」
「はいはい!ちょっとまっててねぇ~」
やはり食事は偉大だ、どんなにいがみ合っていても、共に食卓を囲めば何とかなるものだ。私も思い切って質問してみる。
「えーっと、ニーナちゃんはさ…」
「ちょっと!人間が私の名を慣れ慣れしく呼ばないでよ!せめてニーナ様と呼びなさい、でなければ口をきいてやらないんだから」
はぁ?様付けで呼べと?ここは私の家だし、食事も出してあげているのに。その高飛車な態度にカチンと来た私は言い返そうとしたが、ナツがおかわりを持って戻って来た。
「はい!おかわり持って来たよ!いっぱい食べてね。ちょっとお姉ちゃん顔怖いよ、いいじゃん呼び方なんて、そんな事で丸く治るなら楽なもんだよ」
「ナツは本当に、そういうのこだわらないよね」
「辛くて悲惨な思いをして、やっとここまで辿り着いたんだからさ、今は付き合ってあげよ」
ハナちゃんとニーナちゃ…じゃなくてニーナ様は、おかわりを無我夢中で食べる。姉妹揃って気持ち良い食べっぷりだなぁ。
「ごちそうさまでした!」
「ふん…まぁまぁの味だったんじゃないの?」
まったくあんだけ食べてよく言ったもんだ、でもここは我慢我慢。ナツは何だか嬉しそうに食器を片付けている。ハナちゃんも手伝おうとするが、ニーナ様に手を引かれて、リビングのソファーで何やら話し込んでいる。代わりに私が手伝いに入る。
「ナツ、なんかすごい嬉しそうだね」
「うん!なんかまた突然家族が増えたからね」
「家族?ニーナ様が?まぁ…そうなっちゃうか」
「それに向こうも姉妹、こっちも姉妹、何か面白くなりそうじゃない?」
面白くなるかどうかは別として、これからどうなってしまうのか、まったく皆目見当もつかない。
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