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1章
4話
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目の前の怪物がぴくりと動いた時
殺される
と思った。
でも身構えても攻撃は来なかった。
目を開けると
目の前には五年前の彼がいた。
異形を両脇につけて私の目の前で笑っていた。
「久しぶり。僕のこと覚えてる?」なんて言いながらこの地獄のような場所で笑った。あの綺麗な顔で
「覚えてる...よ。でも、なんで私の所に来たの?」
彼はニッコリと笑って言ったのだ。
「君に一番会いたかったんだ。
僕はこの世界が好きじゃない。戦争も何もかも嫌いだ。それでも、君に会えるから今までずっと準備してきたんだ。
戦場で拾った死体でこのバケモノを作った。元の名前はわからないからアダムとイヴにしたよ。
どう?この二人になかなか似合ってるだろう?」
どんどん私の話を聞かずに話を進めていく彼を見て怖くなった。
「わ、私に会うために戦場に来たの?死ぬかもしれないのに...?」
何でこんな話をしているんだろう。みんなを助けに行かなくちゃ...。なにより...彼から逃げたい
「うん。君に会うためだけに僕は戦場にいるんだよ。...僕から逃げたいって顔してるね?」
ば、バレた...?でも私は戦闘員の中でもトップスピードを誇る1番隊に居たんだから...このまま逃げてもきっと逃げ切れる...!しかもあの二人は袋のせいで前が見えない...
「わ、私もう行かなくちゃ...。みんなを助けなきゃいけないの...!!」
「んー?無駄だと思うけどなぁ。周りを見てご覧?誰も今僕達以外に立ってる者はいないよ。なんでここが無事なのかというとここにも一応魔法陣貼ってるからだよ。」
説明口調でどーも...。彼にそう言われて改めて周りを見渡してみる。が、彼の言う通り誰も立っていない。...リリス...。リリスなら生きてるはず
「リリス!!何処にいるの!!」
そう言って走り出すアリス
しかし
「...あーあ。逃げられちゃった。アダム...は駄目か。結構足遅いもんね。イヴ、あの子を捕まえてきて。無傷でね。怪我させたら殺すよ。」
少年が言った途端走り出すイヴ。死体を容赦なく踏みつけながらアリスの元に走っていく。
しかし、片手が使えない上に鎖に繋がれながらどうやってアリスを捕まえようとしているのか...。
イヴは一分もしない内にアリスと背後につき、袋の中で口を開け噛み付いた。
傷つけるなと言われていたから勿論服の上から。
「きゃっ!や、やだ!!離して!!やめて!う、撃つよ!!」
アリスはイヴに銃口を突きつけた。そして胸に二、三発玉を放った。
が、イヴは全く動じなかった。
「な、なんで!!退魔の弾丸なのに!どうして...。こうなったら」
そういうとアリスは滅茶苦茶に暴れ始めた
「い、いくら異形でも流石に顎の力まで暴れる人間ひとりを抱えきれるほど強いってわけじゃないでしょ...!」
アリスの狙い通りイヴは口からアリスを落とした。
「痛っ...!で、でも良かった。ばいばい!!」
しかし、アリスは異形の力を甘く見ていた。
イヴは鎖で繋がれているだけで右手は残っていたのだから。
殺される
と思った。
でも身構えても攻撃は来なかった。
目を開けると
目の前には五年前の彼がいた。
異形を両脇につけて私の目の前で笑っていた。
「久しぶり。僕のこと覚えてる?」なんて言いながらこの地獄のような場所で笑った。あの綺麗な顔で
「覚えてる...よ。でも、なんで私の所に来たの?」
彼はニッコリと笑って言ったのだ。
「君に一番会いたかったんだ。
僕はこの世界が好きじゃない。戦争も何もかも嫌いだ。それでも、君に会えるから今までずっと準備してきたんだ。
戦場で拾った死体でこのバケモノを作った。元の名前はわからないからアダムとイヴにしたよ。
どう?この二人になかなか似合ってるだろう?」
どんどん私の話を聞かずに話を進めていく彼を見て怖くなった。
「わ、私に会うために戦場に来たの?死ぬかもしれないのに...?」
何でこんな話をしているんだろう。みんなを助けに行かなくちゃ...。なにより...彼から逃げたい
「うん。君に会うためだけに僕は戦場にいるんだよ。...僕から逃げたいって顔してるね?」
ば、バレた...?でも私は戦闘員の中でもトップスピードを誇る1番隊に居たんだから...このまま逃げてもきっと逃げ切れる...!しかもあの二人は袋のせいで前が見えない...
「わ、私もう行かなくちゃ...。みんなを助けなきゃいけないの...!!」
「んー?無駄だと思うけどなぁ。周りを見てご覧?誰も今僕達以外に立ってる者はいないよ。なんでここが無事なのかというとここにも一応魔法陣貼ってるからだよ。」
説明口調でどーも...。彼にそう言われて改めて周りを見渡してみる。が、彼の言う通り誰も立っていない。...リリス...。リリスなら生きてるはず
「リリス!!何処にいるの!!」
そう言って走り出すアリス
しかし
「...あーあ。逃げられちゃった。アダム...は駄目か。結構足遅いもんね。イヴ、あの子を捕まえてきて。無傷でね。怪我させたら殺すよ。」
少年が言った途端走り出すイヴ。死体を容赦なく踏みつけながらアリスの元に走っていく。
しかし、片手が使えない上に鎖に繋がれながらどうやってアリスを捕まえようとしているのか...。
イヴは一分もしない内にアリスと背後につき、袋の中で口を開け噛み付いた。
傷つけるなと言われていたから勿論服の上から。
「きゃっ!や、やだ!!離して!!やめて!う、撃つよ!!」
アリスはイヴに銃口を突きつけた。そして胸に二、三発玉を放った。
が、イヴは全く動じなかった。
「な、なんで!!退魔の弾丸なのに!どうして...。こうなったら」
そういうとアリスは滅茶苦茶に暴れ始めた
「い、いくら異形でも流石に顎の力まで暴れる人間ひとりを抱えきれるほど強いってわけじゃないでしょ...!」
アリスの狙い通りイヴは口からアリスを落とした。
「痛っ...!で、でも良かった。ばいばい!!」
しかし、アリスは異形の力を甘く見ていた。
イヴは鎖で繋がれているだけで右手は残っていたのだから。
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