96 / 175
Allied Forces
舞踏会
しおりを挟む
王が、貴族から選ばれた婦人と踊って舞踏会が始まった。
位の高い貴族がひと通り踊るのが先のようである。
その間に続々と参加者が増えてきた。
見知った都の顔が廊下から入ってくる。
グラントはボールルームになっているその部屋の天井を見上げた。
一つだけで蝋燭何百本消費しそうな大きなシャンデリアが、幾つもぶら下がっている。
アッシャーが作ったと言っていたっけ。
きらきらしていて眩しい。
白色透明な石がゆらめく炎をあちこちに拡散させる。
「……鉱石」
石がそそり立ち、飛んできたのを思い出した。
透明な石も多かった。
アッシャーはあの時祖父たちの敵で、人間の世界に馴染みがあった彼は、いち早くここに来た。
おそらく宝石を献上して貴族の身分を認めてもらった。
先王に。シェリーの曽祖父に。
都を襲撃されたばかりのシュッツフォルトには必要な戦力だったのだろう。
グラントの祖父はやはり、強かったのだ。
こんなに力のある魔物が恐れて逃げ出すほどに強かったのだ。
みんなで踊る曲になったとき、リゼットがシェリーを誘いに来た。
「四人で踊りましょう。殿下、気にせず私に掴まるんですよ。
今日のこのためにケイレブと鍛えましたので」
細い腕を張りながらリゼットが言う。
「ケイレブとも幼馴染でいらっしゃるのですか、リゼット様」
グラントが尋ねると、彼女はその鼻先に人差し指を差し向けた。
「リゼットと。ラグラス公」
その迫力に、きっといくつか年が上だと悟る。
「同じ学校でした。幼い頃は私の方がケイレブより背が高かったんですよ。
そんな頃からの付き合いなのに」
リゼットはふくれ面を廊下に向けた。
きっとそちらにケイレブがいるのだろう。
「私は冬に出遅れたことを根に持っています。
この何日も、ケイレブにどんな冒険をしたのか白状してもらいました。
心底羨ましい。シェリー殿下。わたしも一緒に事に当たりたかった」
レイに恐る恐る、彼女は人間だよね? と確認した。
ケイレブから話を聞いているうちにずっと前から友達だったみたいな感覚になっているそう。
うん。そういう人間をひとり知っている。
ケイレブとは彼女を介して知り合ったと教えてくれた。
四人で組んで踊る曲は、リゼットがシェリーを渡す役をしてくれたのでうまくいった。
この婦人は本当に明快な性格で、強くて優しいのだろう。
初めはかたく小さかったシェリーの動きが、リゼットに支えられて軽くなった。
レイは戦力じゃないと言ったが。
ここで彼女は一番勇ましい。
幸いにも意地悪はされなかったワルツの後で、休憩室へ入った。
「殿下は何がお好き?」
砂糖菓子の前にシェリーを据えて、リゼットは希望をとる。
シェリーが食べてみたいという菓子を皿にいくつかとって渡した。
シェリーのこれまでのことには大いに同情してくれた。
フォール家は裕福な貴族ではない。
だから資金の援助はできないが、手助けは惜しまないと請け負った。
レイがそんな事情はいらないと制止する。
「リゼット、そんな濁流のように喋っていたら、シェリー殿下の耳が落ちる」
ケイレブの軽口が飛び込んできた。
「シェリー殿下、彼女が息継ぎする時に黙れと挟むと止まりますよ」
長身の男子に囲まれて、それでもリゼットは怯まない。
「あなたたちが私に秘密を作るからいけないのです。
短い時間で取り返すには一気に話さないとならないでしょう」
「今取り返さなくたっていいだろうが。
殿下はリゼットと喋るためにいらしたんじゃないぞ」
「ケイレブより親しくなってから帰りたいのです」
「まぁた勝ち負けの話にする……」
呆れてため息をつくその顔は、なんだか楽しそうだった。
「私はもう、ケイレブよりもリゼットのことを多く知っています」
シェリーの言葉にリゼットは勝ち誇ったような笑みを乗せる。
グラントはじっとレイを見ていた。
勝者から気前よく菓子が配られる。ケイレブは軽口を言いながら受け取っていた。
レイを手招きして、グラントがこっそり質問する。
「ねえ、どうしてちゃんと結婚しないの?
赤子の時から一緒なら、いつでも結婚できたよね?」
「する気がないからだ」
やはりこそこそと返事が来る。
シェリーが頭の上の会話にきょろきょろした。
「仲は悪くないし、親同士が乗り気なのに?」
「最初にややこしくしたのはケイレブだ。
騎士になった時にリゼットの親から話をされて、引いたんだ」
自分と一緒になったら、リゼットはきっと苦労する。
余裕のある家ではないからだ。
世襲貴族ではないし、家業だって細々としたもの。
リゼットの家は子孫に引き継がせる伯爵位がある。
それなら彼女は相応しい家に嫁ぐべきだ。
ケイレブはそう考えていると伝えた。
フォール家では安心してユーリー家に縁談を持ち込んだ。
納得していない娘の反乱にあったのはそこからだ。
「リゼットが条件を出した。私が自力で伯爵位以上を賜ったら結婚する」
「伯爵以上……」
それは、何か特別な出来事がない限り、何年先になるかわからない。
国家に寄与するような大きな事業を成功させるとか。
莫大な資源を発見するとか。
戦争でも起こって自国の勝利を決定づけるとか。
リゼットと同じ年頃の婦人たちはとっくにどこかへ嫁いでいる。
もう裕福ではない家の事情を分かっていて、そんな条件を曲げない。
「もともとは私自身の目標だった。父から継承する前に、自分の力で。
それをリゼットに結婚を先延ばす理由に使われた」
「レイの親は、もしかしてフォール家でなくともいいの?
経済面から、全く恩恵はないね。爵位だって同じ」
「そうだ。どちらかというと、離したくないのはリゼットの父上だ。
ひとり娘を余裕のある家へと嫁がせたい。
ちょうど関係の良好な仲間の家の筆頭がうちだった。それだけだ」
「……」
グラントは言い合いの終わらないケイレブとリゼットを見た。
言葉自体は口喧嘩なのだが、なんだか楽しそう。
「ええ……」
グラントの口からややヒいた声が漏れた。
レイが偶然発見したシェリーを助けると決めた理由。
最初からケイレブは一緒だった。
シェリーの祖母の前でもまだ何か考えていて。
リケだって、レイ一人でも平気だったに違いない。
騎士団では500人を任せてもらえる資格を持っている。
なのにケイレブを伴った。
それは彼を早く出世させたかったからか。
ぐるぐると今までのことが頭を巡った。
リゼットの親はできれば世襲貴族に嫁がせたいのだ。
孫子の代まで身分の安泰したような。
そして、事業に成功している家がいい。
娘のことも大事だが、何割かは老いた自分たちのためだ。
レイはケイレブを早く彼らの理想の境遇に仕立てたいのでは。
「シェリーを助けたり、バレットに協力したり。
ねえ、レイの行動の理由はあの二人のため……?」
言葉に詰まるレイを見るのは、存外に気分が良い。
すぐ不機嫌になる顔が、今は全然怖くなかった。
友だちの、口に出せない恋路を叶えるためにチャンスを待っていた。
若い時分の貴重な何年かをかけてでも、叶えてあげたかった。
子どもの時から続く関係を断ち切りたくないから。
「ああ、納得した」
真面目な顔でグラントは頷く。
シェリーに視線をやると、赤い顔でこちらを見上げていた。
これは隠しておけなさそう。
「今の話を聞いたこと、内緒だよ?」
巻き込んでおいてグラントはそんな約束を取り付けようとした。
仏頂面が得意な騎士の方は心配いらない。
挙動の怪しいシェリーを隠すように、グラントは廊下に連れていった。
ちょうどポーターがナタリオと話していたので近くに行く。
「グラント、シェリー殿下、ちょうどいい。
確認を取りたい話がありました」
ぎょろ目の家令は何やら書付帳を手に生き生きした空気を纏っていた。
こんなところで商談が進んでいくのに呆気に取られる。
舞踏会の予定は明け方まで。
隠れている暇はありませんよ、と、講師に言われたような気がした。
エルネストやトーニャに一生懸命何か聞いているケリーに声をかけた。
アリアを抱いた彼女は小走りに寄ってくる。
「眠くない? 疲れてない?」
「全く元気いっぱいです」
夏の日が暮れかけていた。
ホールの照明の蝋燭が取り替えられていく。
「シェリーについていて」
「はい」
複数用意された楽団の一つが出てきた。
休憩に行くのだろう。楽器を持つ集団と行き違いにシェリーはホールへ入った。
ラグラスの従者を連れて、グラントもすぐ後をいく。
目付係がシェリーに貴族の男性を紹介していた。
踊っても構わない素性の人らしい。
ちょっとはらはらしながら見送った。
装具は格段に軽くなったが、どうなのか。
呼吸三つ分ももたずによろけている。
グラントがシェリーを受け取って回った。
貴族の方はケリーが回収する。
丁寧に頭を下げて帰す様子は、やはりマーシャに似ていた。
そんなことを何度か繰り返す。
シェリーはやがて休憩室に誘われるようになった。
ケリーや家人と共にホールを出る。
入れ違いにヘイゼルが話しかけてきた。
「グラント、ちょっと休んで話さないかい?」
ヘイゼルがそう言って誘ったのは小部屋で、今日のために雇った侍女におやつと飲み物を運ばせる。
空いていれば自由に使っていいのだそうだ。
エルネストとトーニャは扉の前に立つ。
テーブルと椅子のある部屋だった。
「さっき話した、ラグラスに荷を置きたいって件なんだけど」
椅子に座って飲食しながらヘイゼルは言う。
目の前に座ってグラントは頷いた。
「私の扱う油井は西の山の方なんだ。王都からは遠い。
資材を運ぶのも費用がかかって、結局百樽入る倉庫しかない。
西の辺境領に援助を頼んだこともあるけど承諾してくれなくてね。
まずグラントに整備を頼める?」
「まず」
頼みはいくつかある?
ヘイゼルの目も生き生きしている。
商人とはそういう生き物だった。
「油井の周りに倉庫を作れたら、次はラグラスへの道を整備できる?
グラントは城壁からシェリー殿下の屋敷までの舗装路をものの数日で作ったろう?
あれほど広く立派でなくてもいいんだ。どう?」
愛想のいいヘイゼルの顔を、見つめるグラントはうっそりしている。
あれは二徹仕事明けからの丸太の寝台というサイクルを何度か繰り返した。
倒れ込んでは石畳を敷く物音に起こされたのである。
「ラグラスの港まで行けたら、そこにも倉庫がほしい。
その先は海路だ。
この国の海は、北の方は氷に閉ざされるが、南なら航海に出られるというわけでもなくてね」
「……魔物の力が要るのですか?」
新人辺境伯の言葉にヘイゼルは手を打った。
「当たり。そうなんだ。
人の力では越えられないほど冬の海は荒れる。
海の魔物の力を借りれば貿易に出ることができるんじゃないのかな。
冬季は毎年、油井から油が染み出すのをもったいないと見ていた。
冬、貯蔵庫に余裕があれば。さらに航路が確保できれば」
ヘイゼルは夢をたたえた瞳でグラントを見る。
「ねえ、どうかな?」
「……」
彼のどうかなは、やろうという意味だ。
「前例がないことは博打だって、割り切ってお話し下さってます?」
石のついた耳に触れながらグラントは反問する。
石油商は柔らかそうな頬を揺らして頷いた。
「もちろんだよ。最初は店の余剰資金の範囲でできることから。
従業員を路頭に迷わせないことが第一だ。
国に税金を納め続けなくてはならないしね。
無茶は決してしないよ」
夢に燃えているのは嘘ではない。
ヘイゼルの話を受ければ、整備の報酬だけは確実に入った。
将来的な手数料についてはグラントはまだ決められない。
「ヘイゼルさんのお話は、いつもおもしろいですね」
そうは見えない真顔でグラントは言った。
扉の外のエルネストとトーニャを招く。
少し離れたところを歩いているポーターも呼んだ。
ヘイゼルの話を受けようとしているがいいか確認する。
ポーターの目がぎんとなった。
「海の護衛はダルコ次第だが。
取引に行く島は遠いのか?」
エルネストが問うのに、ヘイゼルは海図を見せようと一度部屋を出る。
「グラント」
思ったより大きい声で呼ばれて一歩後ずさった。
グラントが座っていた席を取り上げ、書付にびっしり記入し続けるポーターをうかがう。
「いいですよ。このお話がうまくいけば、夏の宿題は完了です」
「そうなの?」
肩から立ち上る気迫が、楽しそうだ。
「油井の整備。森の中なんだから材木の調達は容易でしょう。
今までは都から人足を派遣するから費用がかさんだのです。
ラグラスは頼もしい」
そして、と兵団の長を振り向く。
「倉庫の使用料というのは、馬鹿にできない利益を生みます。
加えて冬の航路の確保まで成功させたら。
石油が枯れない限り永年利益を生み続けるでしょう。
グラント、この話が決まれば宿題の評価は満点ですよ」
ありがとうございます、と言う長の頬はかたかった。
トーニャがそんな人間の営みを面白そうに笑って見ている。
エルネストは淡々とポーターに必要な人員について聞いていた。
ヘイゼルから海図を示されたエルネストは前向きな返答をした。
豪商は満足そうにポーターと話を進め始めた。
シェリーを探して廊下に出てみる。
アッシャー侯爵が彼女と踊っているのが見えて、ホールに入った。
「閣下はグラントに恩を売ってるのかしら」
それを見るなりトーニャが呟く。
「埋め合わせだとおっしゃっていたよ」
グラントが言うと、エルネストがちょっと笑った。
「埋め合わせ……。
あの魔物は溶岩と二度敵対している。
その埋め合わせが済んでしまえばまた敵になるぞ」
魔物は驚くほどあっさりと執着を消し去ることがある。
それはグラントも知っていた。
「そうだね。けれどアッシャー侯爵は、わたしの人生を手伝いたいと言った。
魔物がそれを言った時は、信じてもいいかなと思ってるんだ」
「信用しすぎるな」
「それもわかってるつもり」
アッシャーはシェリーと上手に踊っている。
魔物の力なんか使わなくたって人間より強い。
世俗に馴染む様子を見せながら、そう言われてもいるようだ。
ジョニール公の親子が見えて、グラントはキアを誘いに行く。
クラルスは娘を褒めちぎりながらグラントに渡した。
白いドレスには大きな花の飾りがたくさんついている。
纏っている絹も白く、初々しかった。
「たくさん踊られましたか」
流れに入ったところで尋ねる。
「はい。父が誰にも彼にも踊れと言って回ったので」
キアは苦笑していた。
「領地はあれからお変わりありませんか?」
「兄がいなくなったので平和です。
そうそう。扉を直していただいてすぐ、ヘラジカのオスがぶつかったのです。
びくともしませんでした。一度折っていただいて良かったと話していました」
「それは、……幸いです」
アッシャーは曲が終わるとまっすぐにグラントのところへやってくる。
シェリーがほとんど地に足を着けていなかった。
トーニャが彼女を受け取って侯爵を睨む。
「ご婦人はもっと丁重に扱ってくださる? 閣下」
ケリーを探したら、エムリンとふざけて踊っていた。
コーマックは誰かと話しながら時々その様子を見ている。
ジェロディの姿がなかった。
「テラスに行ってみない?」
侯爵はにこやかに提案する。
「前庭も燭台に火が灯っていてきれいだよ。
殿下もいかがです? 外の空気は心地いいですよ」
必要以上に細長い窓と、数多いテラス。
庭園を眺めるためだったのかと納得した。
大人三人分ありそうな高さのガラスを見上げる。
カーテンのロッドが見えないほど高い。
夏の終わりの宵闇。
空気はもはや秋の冷たさだ。
踊り終えたばかりの人にとっては確かに心地いい。
疲れてない? 帰りたくなったら言って、とシェリーに話しかけながら風に当たった。
迷路みたいな生垣を辿っていたら、ちょっと先に会いたくない人間を見つけてしまう。
グイドだ。
誰か人について護衛している。
主人の様子を見ているはずのその視線が、つっと流れてきた。
「……」
さっそく意地悪く笑われて一気に胸が重くなる。
なんとなくシェリーを背中に隠した。
悪意に晒したくない。
位の高い貴族がひと通り踊るのが先のようである。
その間に続々と参加者が増えてきた。
見知った都の顔が廊下から入ってくる。
グラントはボールルームになっているその部屋の天井を見上げた。
一つだけで蝋燭何百本消費しそうな大きなシャンデリアが、幾つもぶら下がっている。
アッシャーが作ったと言っていたっけ。
きらきらしていて眩しい。
白色透明な石がゆらめく炎をあちこちに拡散させる。
「……鉱石」
石がそそり立ち、飛んできたのを思い出した。
透明な石も多かった。
アッシャーはあの時祖父たちの敵で、人間の世界に馴染みがあった彼は、いち早くここに来た。
おそらく宝石を献上して貴族の身分を認めてもらった。
先王に。シェリーの曽祖父に。
都を襲撃されたばかりのシュッツフォルトには必要な戦力だったのだろう。
グラントの祖父はやはり、強かったのだ。
こんなに力のある魔物が恐れて逃げ出すほどに強かったのだ。
みんなで踊る曲になったとき、リゼットがシェリーを誘いに来た。
「四人で踊りましょう。殿下、気にせず私に掴まるんですよ。
今日のこのためにケイレブと鍛えましたので」
細い腕を張りながらリゼットが言う。
「ケイレブとも幼馴染でいらっしゃるのですか、リゼット様」
グラントが尋ねると、彼女はその鼻先に人差し指を差し向けた。
「リゼットと。ラグラス公」
その迫力に、きっといくつか年が上だと悟る。
「同じ学校でした。幼い頃は私の方がケイレブより背が高かったんですよ。
そんな頃からの付き合いなのに」
リゼットはふくれ面を廊下に向けた。
きっとそちらにケイレブがいるのだろう。
「私は冬に出遅れたことを根に持っています。
この何日も、ケイレブにどんな冒険をしたのか白状してもらいました。
心底羨ましい。シェリー殿下。わたしも一緒に事に当たりたかった」
レイに恐る恐る、彼女は人間だよね? と確認した。
ケイレブから話を聞いているうちにずっと前から友達だったみたいな感覚になっているそう。
うん。そういう人間をひとり知っている。
ケイレブとは彼女を介して知り合ったと教えてくれた。
四人で組んで踊る曲は、リゼットがシェリーを渡す役をしてくれたのでうまくいった。
この婦人は本当に明快な性格で、強くて優しいのだろう。
初めはかたく小さかったシェリーの動きが、リゼットに支えられて軽くなった。
レイは戦力じゃないと言ったが。
ここで彼女は一番勇ましい。
幸いにも意地悪はされなかったワルツの後で、休憩室へ入った。
「殿下は何がお好き?」
砂糖菓子の前にシェリーを据えて、リゼットは希望をとる。
シェリーが食べてみたいという菓子を皿にいくつかとって渡した。
シェリーのこれまでのことには大いに同情してくれた。
フォール家は裕福な貴族ではない。
だから資金の援助はできないが、手助けは惜しまないと請け負った。
レイがそんな事情はいらないと制止する。
「リゼット、そんな濁流のように喋っていたら、シェリー殿下の耳が落ちる」
ケイレブの軽口が飛び込んできた。
「シェリー殿下、彼女が息継ぎする時に黙れと挟むと止まりますよ」
長身の男子に囲まれて、それでもリゼットは怯まない。
「あなたたちが私に秘密を作るからいけないのです。
短い時間で取り返すには一気に話さないとならないでしょう」
「今取り返さなくたっていいだろうが。
殿下はリゼットと喋るためにいらしたんじゃないぞ」
「ケイレブより親しくなってから帰りたいのです」
「まぁた勝ち負けの話にする……」
呆れてため息をつくその顔は、なんだか楽しそうだった。
「私はもう、ケイレブよりもリゼットのことを多く知っています」
シェリーの言葉にリゼットは勝ち誇ったような笑みを乗せる。
グラントはじっとレイを見ていた。
勝者から気前よく菓子が配られる。ケイレブは軽口を言いながら受け取っていた。
レイを手招きして、グラントがこっそり質問する。
「ねえ、どうしてちゃんと結婚しないの?
赤子の時から一緒なら、いつでも結婚できたよね?」
「する気がないからだ」
やはりこそこそと返事が来る。
シェリーが頭の上の会話にきょろきょろした。
「仲は悪くないし、親同士が乗り気なのに?」
「最初にややこしくしたのはケイレブだ。
騎士になった時にリゼットの親から話をされて、引いたんだ」
自分と一緒になったら、リゼットはきっと苦労する。
余裕のある家ではないからだ。
世襲貴族ではないし、家業だって細々としたもの。
リゼットの家は子孫に引き継がせる伯爵位がある。
それなら彼女は相応しい家に嫁ぐべきだ。
ケイレブはそう考えていると伝えた。
フォール家では安心してユーリー家に縁談を持ち込んだ。
納得していない娘の反乱にあったのはそこからだ。
「リゼットが条件を出した。私が自力で伯爵位以上を賜ったら結婚する」
「伯爵以上……」
それは、何か特別な出来事がない限り、何年先になるかわからない。
国家に寄与するような大きな事業を成功させるとか。
莫大な資源を発見するとか。
戦争でも起こって自国の勝利を決定づけるとか。
リゼットと同じ年頃の婦人たちはとっくにどこかへ嫁いでいる。
もう裕福ではない家の事情を分かっていて、そんな条件を曲げない。
「もともとは私自身の目標だった。父から継承する前に、自分の力で。
それをリゼットに結婚を先延ばす理由に使われた」
「レイの親は、もしかしてフォール家でなくともいいの?
経済面から、全く恩恵はないね。爵位だって同じ」
「そうだ。どちらかというと、離したくないのはリゼットの父上だ。
ひとり娘を余裕のある家へと嫁がせたい。
ちょうど関係の良好な仲間の家の筆頭がうちだった。それだけだ」
「……」
グラントは言い合いの終わらないケイレブとリゼットを見た。
言葉自体は口喧嘩なのだが、なんだか楽しそう。
「ええ……」
グラントの口からややヒいた声が漏れた。
レイが偶然発見したシェリーを助けると決めた理由。
最初からケイレブは一緒だった。
シェリーの祖母の前でもまだ何か考えていて。
リケだって、レイ一人でも平気だったに違いない。
騎士団では500人を任せてもらえる資格を持っている。
なのにケイレブを伴った。
それは彼を早く出世させたかったからか。
ぐるぐると今までのことが頭を巡った。
リゼットの親はできれば世襲貴族に嫁がせたいのだ。
孫子の代まで身分の安泰したような。
そして、事業に成功している家がいい。
娘のことも大事だが、何割かは老いた自分たちのためだ。
レイはケイレブを早く彼らの理想の境遇に仕立てたいのでは。
「シェリーを助けたり、バレットに協力したり。
ねえ、レイの行動の理由はあの二人のため……?」
言葉に詰まるレイを見るのは、存外に気分が良い。
すぐ不機嫌になる顔が、今は全然怖くなかった。
友だちの、口に出せない恋路を叶えるためにチャンスを待っていた。
若い時分の貴重な何年かをかけてでも、叶えてあげたかった。
子どもの時から続く関係を断ち切りたくないから。
「ああ、納得した」
真面目な顔でグラントは頷く。
シェリーに視線をやると、赤い顔でこちらを見上げていた。
これは隠しておけなさそう。
「今の話を聞いたこと、内緒だよ?」
巻き込んでおいてグラントはそんな約束を取り付けようとした。
仏頂面が得意な騎士の方は心配いらない。
挙動の怪しいシェリーを隠すように、グラントは廊下に連れていった。
ちょうどポーターがナタリオと話していたので近くに行く。
「グラント、シェリー殿下、ちょうどいい。
確認を取りたい話がありました」
ぎょろ目の家令は何やら書付帳を手に生き生きした空気を纏っていた。
こんなところで商談が進んでいくのに呆気に取られる。
舞踏会の予定は明け方まで。
隠れている暇はありませんよ、と、講師に言われたような気がした。
エルネストやトーニャに一生懸命何か聞いているケリーに声をかけた。
アリアを抱いた彼女は小走りに寄ってくる。
「眠くない? 疲れてない?」
「全く元気いっぱいです」
夏の日が暮れかけていた。
ホールの照明の蝋燭が取り替えられていく。
「シェリーについていて」
「はい」
複数用意された楽団の一つが出てきた。
休憩に行くのだろう。楽器を持つ集団と行き違いにシェリーはホールへ入った。
ラグラスの従者を連れて、グラントもすぐ後をいく。
目付係がシェリーに貴族の男性を紹介していた。
踊っても構わない素性の人らしい。
ちょっとはらはらしながら見送った。
装具は格段に軽くなったが、どうなのか。
呼吸三つ分ももたずによろけている。
グラントがシェリーを受け取って回った。
貴族の方はケリーが回収する。
丁寧に頭を下げて帰す様子は、やはりマーシャに似ていた。
そんなことを何度か繰り返す。
シェリーはやがて休憩室に誘われるようになった。
ケリーや家人と共にホールを出る。
入れ違いにヘイゼルが話しかけてきた。
「グラント、ちょっと休んで話さないかい?」
ヘイゼルがそう言って誘ったのは小部屋で、今日のために雇った侍女におやつと飲み物を運ばせる。
空いていれば自由に使っていいのだそうだ。
エルネストとトーニャは扉の前に立つ。
テーブルと椅子のある部屋だった。
「さっき話した、ラグラスに荷を置きたいって件なんだけど」
椅子に座って飲食しながらヘイゼルは言う。
目の前に座ってグラントは頷いた。
「私の扱う油井は西の山の方なんだ。王都からは遠い。
資材を運ぶのも費用がかかって、結局百樽入る倉庫しかない。
西の辺境領に援助を頼んだこともあるけど承諾してくれなくてね。
まずグラントに整備を頼める?」
「まず」
頼みはいくつかある?
ヘイゼルの目も生き生きしている。
商人とはそういう生き物だった。
「油井の周りに倉庫を作れたら、次はラグラスへの道を整備できる?
グラントは城壁からシェリー殿下の屋敷までの舗装路をものの数日で作ったろう?
あれほど広く立派でなくてもいいんだ。どう?」
愛想のいいヘイゼルの顔を、見つめるグラントはうっそりしている。
あれは二徹仕事明けからの丸太の寝台というサイクルを何度か繰り返した。
倒れ込んでは石畳を敷く物音に起こされたのである。
「ラグラスの港まで行けたら、そこにも倉庫がほしい。
その先は海路だ。
この国の海は、北の方は氷に閉ざされるが、南なら航海に出られるというわけでもなくてね」
「……魔物の力が要るのですか?」
新人辺境伯の言葉にヘイゼルは手を打った。
「当たり。そうなんだ。
人の力では越えられないほど冬の海は荒れる。
海の魔物の力を借りれば貿易に出ることができるんじゃないのかな。
冬季は毎年、油井から油が染み出すのをもったいないと見ていた。
冬、貯蔵庫に余裕があれば。さらに航路が確保できれば」
ヘイゼルは夢をたたえた瞳でグラントを見る。
「ねえ、どうかな?」
「……」
彼のどうかなは、やろうという意味だ。
「前例がないことは博打だって、割り切ってお話し下さってます?」
石のついた耳に触れながらグラントは反問する。
石油商は柔らかそうな頬を揺らして頷いた。
「もちろんだよ。最初は店の余剰資金の範囲でできることから。
従業員を路頭に迷わせないことが第一だ。
国に税金を納め続けなくてはならないしね。
無茶は決してしないよ」
夢に燃えているのは嘘ではない。
ヘイゼルの話を受ければ、整備の報酬だけは確実に入った。
将来的な手数料についてはグラントはまだ決められない。
「ヘイゼルさんのお話は、いつもおもしろいですね」
そうは見えない真顔でグラントは言った。
扉の外のエルネストとトーニャを招く。
少し離れたところを歩いているポーターも呼んだ。
ヘイゼルの話を受けようとしているがいいか確認する。
ポーターの目がぎんとなった。
「海の護衛はダルコ次第だが。
取引に行く島は遠いのか?」
エルネストが問うのに、ヘイゼルは海図を見せようと一度部屋を出る。
「グラント」
思ったより大きい声で呼ばれて一歩後ずさった。
グラントが座っていた席を取り上げ、書付にびっしり記入し続けるポーターをうかがう。
「いいですよ。このお話がうまくいけば、夏の宿題は完了です」
「そうなの?」
肩から立ち上る気迫が、楽しそうだ。
「油井の整備。森の中なんだから材木の調達は容易でしょう。
今までは都から人足を派遣するから費用がかさんだのです。
ラグラスは頼もしい」
そして、と兵団の長を振り向く。
「倉庫の使用料というのは、馬鹿にできない利益を生みます。
加えて冬の航路の確保まで成功させたら。
石油が枯れない限り永年利益を生み続けるでしょう。
グラント、この話が決まれば宿題の評価は満点ですよ」
ありがとうございます、と言う長の頬はかたかった。
トーニャがそんな人間の営みを面白そうに笑って見ている。
エルネストは淡々とポーターに必要な人員について聞いていた。
ヘイゼルから海図を示されたエルネストは前向きな返答をした。
豪商は満足そうにポーターと話を進め始めた。
シェリーを探して廊下に出てみる。
アッシャー侯爵が彼女と踊っているのが見えて、ホールに入った。
「閣下はグラントに恩を売ってるのかしら」
それを見るなりトーニャが呟く。
「埋め合わせだとおっしゃっていたよ」
グラントが言うと、エルネストがちょっと笑った。
「埋め合わせ……。
あの魔物は溶岩と二度敵対している。
その埋め合わせが済んでしまえばまた敵になるぞ」
魔物は驚くほどあっさりと執着を消し去ることがある。
それはグラントも知っていた。
「そうだね。けれどアッシャー侯爵は、わたしの人生を手伝いたいと言った。
魔物がそれを言った時は、信じてもいいかなと思ってるんだ」
「信用しすぎるな」
「それもわかってるつもり」
アッシャーはシェリーと上手に踊っている。
魔物の力なんか使わなくたって人間より強い。
世俗に馴染む様子を見せながら、そう言われてもいるようだ。
ジョニール公の親子が見えて、グラントはキアを誘いに行く。
クラルスは娘を褒めちぎりながらグラントに渡した。
白いドレスには大きな花の飾りがたくさんついている。
纏っている絹も白く、初々しかった。
「たくさん踊られましたか」
流れに入ったところで尋ねる。
「はい。父が誰にも彼にも踊れと言って回ったので」
キアは苦笑していた。
「領地はあれからお変わりありませんか?」
「兄がいなくなったので平和です。
そうそう。扉を直していただいてすぐ、ヘラジカのオスがぶつかったのです。
びくともしませんでした。一度折っていただいて良かったと話していました」
「それは、……幸いです」
アッシャーは曲が終わるとまっすぐにグラントのところへやってくる。
シェリーがほとんど地に足を着けていなかった。
トーニャが彼女を受け取って侯爵を睨む。
「ご婦人はもっと丁重に扱ってくださる? 閣下」
ケリーを探したら、エムリンとふざけて踊っていた。
コーマックは誰かと話しながら時々その様子を見ている。
ジェロディの姿がなかった。
「テラスに行ってみない?」
侯爵はにこやかに提案する。
「前庭も燭台に火が灯っていてきれいだよ。
殿下もいかがです? 外の空気は心地いいですよ」
必要以上に細長い窓と、数多いテラス。
庭園を眺めるためだったのかと納得した。
大人三人分ありそうな高さのガラスを見上げる。
カーテンのロッドが見えないほど高い。
夏の終わりの宵闇。
空気はもはや秋の冷たさだ。
踊り終えたばかりの人にとっては確かに心地いい。
疲れてない? 帰りたくなったら言って、とシェリーに話しかけながら風に当たった。
迷路みたいな生垣を辿っていたら、ちょっと先に会いたくない人間を見つけてしまう。
グイドだ。
誰か人について護衛している。
主人の様子を見ているはずのその視線が、つっと流れてきた。
「……」
さっそく意地悪く笑われて一気に胸が重くなる。
なんとなくシェリーを背中に隠した。
悪意に晒したくない。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
『王都の神童』と呼ばれた俺、職業選定でまさかの【遊び人】三連発で追放される。……が、実は「全職業のスキル」を合算して重ねがけできる唯一のバグ
よっしぃ
ファンタジー
王都で「神童」の名をほしいままにしていた少年、ディラン・アークライト(17歳)。
剣を握れば騎士団長を唸らせ、魔法を学べば賢者を凌駕する。誰もが彼を「次代の勇者」と信じて疑わなかった。
しかし、運命の職業選定で彼が得たのは――【遊び人】。
それも、三つの職業スロットすべてが【遊び人】で埋まるという、前代未聞の怪現象だった。
「期待外れだ」
「国の恥晒しめ」
掌を返した周囲によって、ディランは着の身着のままで街を追放される。 だが、かつて神童と呼ばれた彼の「分析力」は死んでいなかった。
『……Lv1なのに、ステータスが異常に高い? それに経験値が分散せず、すべて加算されている……?』
彼だけが気づいた真実。
それは【遊び人】という名に偽装された、この世界の管理者権限(Free-Hander)であり、全職業のスキルを制限なく使用・強化できるバグ技(デバッグモード)への入り口だったのだ。
これは、理不尽に捨てられた元・神童が、その頭脳とバグ能力で世界を「攻略」し、同じく不遇な扱いを受けていた美少女騎士(中身は脳筋)と共に、誰よりも自由に成り上がる物語。
【著者プロフィール】アルファポリスより『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』を出版、オリコンライトノベル部門18位を記録。本作は2月に2巻刊行予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる