サラの真っ白な地図

雪猫

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北の大地の娘

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ゲオルグは耐えきれずに吹き出した。

「さ、三ヶ月……っ」
笑いと混ざって激しく咳こんでいる。

「わ、私はあくまでもユリウスの代わりに…っ」
「学ぶのはあくまでもユリウス、と…?」
カールハインツの問いにサラは迷う事なく頷く。
「ユリウスもきっと入学を楽しみにしてたと思うので…」
倒れるまで入学準備に勤しんでいたに違いない、とサラはベッドに眠るユリウスを見つめた。
ゲオルグとカールハインツが顔を見合わせた事にサラは気づかない。

「他のどの選択肢も後悔がついてきそうで…」

無理する、諦める、奪う、後悔する…どれも嫌だ。

三ヶ月だけ、私も外の世界を見てみたい。

その意思を表すようにサラの瞳が強さを増した。


「ものすごい賭けだな」
ゲオルグが笑う。
「最小限にして最大の野望だね」
カールハインツも微笑む。
「や、野望というか…」
たじろぐサラに大人たちが歩み寄る。
「ユリウスの代わりに三ヶ月間サラが通うという事で、間違いないかい?」
素直に頷くサラに。
「儂が全力で支援してやるよ」
「困ったらすぐに帰っておいで」

凄みを含ませた二人の笑顔を前に、サラはただ頷くしかなかった。












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