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壱
星祭り
しおりを挟む空に近い神社の境内
短冊片手に くいっと首を反らす
見上げた夜の色は 深く濃い紺青
散らばり煌めく一面の白い明滅に 今年もうっとりと目を細める
「天の川、見える?」
それだけのはずだった
突然耳元に降ってきた あなたの声さえなければ
「年に一度の祭りだし、皆で楽しもうよ」
近い 近いです
声も顔もどっちも近いです 困ります 私
「朝顔の浴衣、似合ってるね。可愛い」
初めて会った男の子にこんなこと言われて すごくすごく困ってます
なんて返事したらいいの?
何をどう話したらいいの?
なんにもわからない
〝夏織は、ほんとにおとなしいね〟
〝その引っ込み思案、なんとかしないと彼氏もできないよー〟
女子の友だちですら あんまりいない私なのに
もう逃げ帰っていいですか?
「帰らないで。俺、君にひとめ惚れしたんだ」
嘘
嘘でしょう?
こんな地味な私に そんなこと有り得ない
「君が、いいんだよ」
「大丈夫。ありのままの君を、俺が見てる。ずっとだ」
降る星明かりのもと あなたがくれた言葉が私の身と心を震わせた
ほんとに? ほんとに大丈夫?
嬉しい言葉を
本当はずっと欲しかった言葉をくれたあなたに
心を開いても
『わたしの心』を見せても 大丈夫ですか?
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