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Lovers -side Shingo-

愛が止まらない。【6】 #4

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「イっちゃうの、やだ。先にひとりだけは、やだっ」

 だから、わがままを言った。このままだと、俺、ひとりで華々しく弾け飛んじゃうもん。そんなの、やだ。

「一度達しておいたほうがお前のためなのに。やはり、お前は困ったヤツだ」

 でも、愛撫の手を止めた恋人が短い嘆息を見せるから、途端に慌ててしまうのも俺だ。困らせるつもりはなかったんだよ。

「ごめん。俺……」

「本当に困ったヤツだ。だが、恋人としては満点だな」

「ぁ、っ」

 苦笑とともにチュッと軽いキスが降り、直後、埋められていた指が引き抜かれた。

「ん、んんっ」

 二本ぶんの圧迫が一気に消えて、俺の口からは、はしたなくも熱の名残を惜しむ声が出てしまった。言葉と態度に一貫性が無さすぎて恥ずかしい。恥ずかしすぎるっ。

「今の反応も満点。体勢、変えるぞ」

「ぁ……それ、いい。すごく気持ちいい、よ?」

 わがままをあっさりと叶えてくれた恋人の重みを受けながら、快楽に蕩けてることを素直に告げる。素直に、包み隠さず、ありのまま赤裸々に応えろ、と言われたから、気持ちいいってちゃんと言葉にするんだ。



 やっと繋がれた。俺ばっか悦楽を与えられて達するんじゃなく、ふたりで一緒に気持ち良くなれるの、すげぇ嬉しい。

「お前の好きなところ、もっと抉る?」

 休むことなく穿たれる。

 俺が「気持ちいい」って言ったところを集中的に狙ってくれるのも土岐の愛情だ。

「……っぁ、はんっ……うん、もっとっ」

 奥まで届いた灼熱がくれる快感をよろこんでねだる。

 下腹の皮膚がべコンっとうねるくらい激しく揺らされて感じる官能を、ふたりで拾いたい。

「あ、ああ、ぁっ」

 躊躇いなく注がれる情欲は、どうしてこんなに気持ちいいのかな。

「ふぅ……ふぁ、っ」

 ふと思いついて、身を起こしつつ差し出した舌を当然のように迎えに来てくれる恋人の吐息は、どうしてこんなに熱く甘いのかな。

「ん、ふっ……お前のキス、好き。大好き。もっと、したい」

 絡めた舌を何度も擦れ合わせ、互いの口内に誘い込んでしゃぶる。

 唾液の音がすごくすごくいやらしく響くキスが、どうしてこんなに俺は好きなのかな。

「俺も、お前とするキスが好きだ。ただ唇を合わせるだけの行為と思っていた過去の自分に、これがくれる高揚がどれほど豊かなのか、教えてやりたい」

「うん、俺も。俺もそう思うよ」

 心の中だけで、短く笑った。

 感情が読み取りにくい淡々とした口調で、でもとても淫らで熱いキスを仕掛けてくる恋人が俺と同じことを考えてると知ったからだ。

 このキスが好きなのは、お前のことが好きだから。

 大好きなお前との熱の交換だから、圧迫感と苦しさがそこに付随されてても行為にのめり込めるんだ。


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