3 / 8
第二章
プレゼント【2】
しおりを挟む「カレカ……聞き間違い?」
「じゃねーわっ!」
「え?」
「どこまでボケてんだよ。事実だろ。とっくに知ってることだろ!」
虚無から脱した後輩は、いつもの調子を取り戻した。それは良かったけど、新たな問題が私の上に降りかかってる。
カレカノ……が、事実? それを、とっくに知ってる?
〝誰〟が?
「……私たち?」
質問を間違えなかった。
正直、『誰のこと?』と聞きそうになった。でも、それを口にするのは駄目だ。その質問は違うと、もうひとりの私が止めてきた。
「ふん、間違えずに聞けたな」
掻きむしったせいでボサボサ頭のままドヤ顔を決めてる生意気な後輩が向けてきてた視線が、とても雄弁だったから。
私よりも長い睫毛を持つ大きな瞳が、真摯で熱い想いをそこに乗せていたから。
「いつから?」
でも、これは聞いてもいいと思う。むしろ、今、聞いておかないと。
「褒めた途端にそれかよ!」
「だって、全然、思い当たらない」
褒められてないのに『褒めた途端』って、おかしな言い草だ。そんなことを思いながら首を傾げる。私たち、いつから交際してることになってた?
「……部活のメッセージグループとは別に、個別に連絡取り合ってる」
「緊急連絡のために必要だからって無理やり交換した、あれのこと?」
「毎日、一緒に帰ってるだろ!」
「そうだけど。でもそれは、宇佐美くんが私の鞄を勝手に持って、家に着くまで返してくれないから」
「学校以外に、プライベートでも一緒に出かけてる!」
「あぁ、買い物よね? あれは、バスケ部の備品が足りなくなった時で。それも、女子マネと行く段取りをしてたら、いつも宇佐美くんが割り込んできて」
「今年は夏祭りも行っただろ! ふたりきりで!」
「あの時は、ひかると行く予定だったのが、あの子が急性虫垂炎になって。中止にしたのをなぜか宇佐美くんが知ってて無理やり連れ出された経緯だったような」
「正月に初詣も行った! そんで、亡くなった親友のお墓参りに、俺のこと誘ってくれたじゃん!」
あ……。
「そん時、『一番、仲良くしてる男の子なの』って、俺のこと紹介してくれた!」
した。宇佐美くんのこと、歌鈴に紹介した。けど、それは……。
「お墓参りの後。俺、告白したけど。あんたに」
「……っ」
「ちゃんと『好き』っつったけど。あんた、そのこと、無かったことにしてんの?」
「宇佐美くん……」
「あんた、俺が告った後、『ありがとう』って言ったじゃん。自分も同じ気持ちだって。あん時から、俺ら、カレカノじゃねぇの?」
「あの、あれは……」
「バレンタインだって、部員の中で俺だけに手作りチョコくれた! チョコを手作りしたの初めてだって言ってたの、あれ、嘘かっ? 俺だけが馬鹿みたいに浮かれてたのかよ。やっと想いが通じたって!」
哀しい叫びが迸った瞬間、私たちの間を風が吹き抜けていった。
0
あなたにおすすめの小説
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
再会した幼馴染は××オタクになっていました。
星空永遠
恋愛
小さい頃から幼なじみの黒炎(こくえん)くんのことが好きな朱里(あかり)。そんな彼は引っ越してしまい、気持ちは伝えられず。しかし、高校で再会することができ、それを喜ぶ朱里だったが、彼は以前とは変わっていて……。
だけど、黒炎くんのお家にお泊りしたり、遊園地では朱里にとっては驚くハプニングが!?二人の距離はどんどん近づいて……。イケメンの幼なじみにドキドキが止まらない!じれったい二人の恋の行方は……?
この恋は本気なんです……!
表紙絵=友人作。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
12年目の恋物語
真矢すみれ
恋愛
生まれつき心臓の悪い少女陽菜(はるな)と、12年間同じクラス、隣の家に住む幼なじみの男の子叶太(かなた)は学校公認カップルと呼ばれるほどに仲が良く、同じ時間を過ごしていた。
だけど、陽菜はある日、叶太が自分の身体に責任を感じて、ずっと一緒にいてくれるのだと知り、叶太から離れることを決意をする。
すれ違う想い。陽菜を好きな先輩の出現。二人を見守り、何とか想いが通じるようにと奔走する友人たち。
2人が結ばれるまでの物語。
第一部「12年目の恋物語」完結
第二部「13年目のやさしい願い」完結
第三部「14年目の永遠の誓い」←順次公開中
※ベリーズカフェと小説家になろうにも公開しています。
美味しいコーヒーの愉しみ方 Acidity and Bitterness
碧井夢夏
ライト文芸
<第五回ライト文芸大賞 最終選考・奨励賞>
住宅街とオフィスビルが共存するとある下町にある定食屋「まなべ」。
看板娘の利津(りつ)は毎日忙しくお店を手伝っている。
最近隣にできたコーヒーショップ「The Coffee Stand Natsu」。
どうやら、店長は有名なクリエイティブ・ディレクターで、脱サラして始めたお店らしく……?
神の舌を持つ定食屋の娘×クリエイティブ界の神と呼ばれた男 2人の出会いはやがて下町を変えていく――?
定食屋とコーヒーショップ、時々美容室、を中心に繰り広げられる出会いと挫折の物語。
過激表現はありませんが、重めの過去が出ることがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる