同居人は王子様。

mnkn

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でこぼこ同居生活。

#16

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自分がまさかこんなに家事にハマるなんて思わなかった!

あいつも驚いているようだが、俺自身が一番驚いている。

ただこの間、喜ぶかと思ってローストビーフを作ってやったら節約しろと注意された。

庶民が好きな飯って何だ?

スマホを使って調べてみたところ、「カレー」という料理がヒットした。

うちの国では見たことのない料理だな!

あ、ちなみにこのスマホは自分自身のものだ。別にあの女に買わせたとかではない。

....あ、でも通信料とかはどうなってるんだ?城で支払ってくれてるんだろうか。

まあ、そんなことはどうでもいい。

必要な具材をメモして、近所のスーパーに出かける。

あおいと行ったことはあるが、1人で行くのは初めてだった。

ツカツカと革靴でスーパーを目指して歩いて行く。

この辺にあったはずだが.....
きょろきょろ道を見渡していた時だった。

.....?!


レオンの視線の先に、あり得ないものが映った。

「.....いや、気のせいだよな」

そう呟いて、スマホの地図アプリに目を落とした。





その頃、あおいはデスクに座ってホッと一息をついていた。

「ねーねー!牧瀬ちゃん!」

後ろからトントンと肩を叩かれて、振り返ると居たのは蓮井の姐さんだった。

「今晩、空いてるよね?歓迎会!覚えてる?隣の部署と合同ですることになったんだけど」

そう言われて、あおいは飛び上がった。

....やばい。忘れていた。
今日、晩御飯いらないってレオンに伝えなきゃ!!

そう思ってスマホを開こうとした時だった。

レオンから、メッセージが送信されてきた。

"今から晩御飯つくってる"

"何時に帰ってくるんだ?"

通知が表示された液晶画面を慌てて隠す。

が、しかし姐さんが素早くあおいのスマホを取り上げた。

「ちょっと!これってあの時のイケメン彼氏?同棲してるの?しかも料理?!」

厄介なものが見つかってしまった。

慌ててあおいはスマホを奪い返す。

「ち、違います!彼氏じゃないです!弟が、実家から遊びに来てて...結構、家庭的なタイプで!料理とか、好きなんです!」

騙せたかな?そう思って蓮井の姐さんのほうを見ると、驚いた顔をしていた。

「.....なぁんだ。そっかそっか。ごめんね、弟さん来てるのにつき合わせちゃって」

うん、嘘だって気づいてない。よかった。

そう思ってもう一度パソコンに向き合おうとしたが、姐さんのマシンガントークはまだ終わらない。

「てかね、まだ会ったことないと思うんだけど、隣の部署にすんごーいモテる私の同期がいるのよ!でもそいつずっと彼女いなくてさ。牧瀬ちゃんお似合いだと思ってたんだけど、そういえばあのイケメン彼氏がいること忘れてたよー....って、あ!」

姐さんが何かを発見したのか、すごいスピードで私の後ろから消えた。

....と、思いきや、

「ちょうど今外回りから帰ってきた!こいつ、同期のモテ男!」

姐さんが腕を引っ張って連れてきた人。

私、この人知ってる。

「....あおいちゃん?!」

「....目黒さん.....!」

こんなところでまさか、再会するなんて、思ってもみなかった。
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