宇宙漂流記

夜神颯冶

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タイムクライム

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またコローニー内は地球の約2分の1ほどの
重力が確保かくほされているので、
宇宙飛行士のように、
生徒達が飛び回っているといった事もない。

始めに支給されたブーツには磁力があり、
金属の床にほどよくり付いているし、
コロニーは回転する事によって遠心力で
重力をつくっている。

バケツに水を入れ勢いきおいよく回転させても、
さかさになった時に水がこぼれないのと
原理は同じである。

つまりは壁沿かべぞいに生徒は飛ばされ、
り付いているのである。

実際じっさいには立っているが、
遠心力=《イコール》重力となって|、
壁沿かべぞいに立っているのである。

生徒達にはブーツのほかにも、
バイタルチェッカーと呼ばれる、
モニターつきの腕輪がくばられていた。

スマホの画面のようなものに、
色々な情報が表示され、
操作出来るようになっている。

この腕輪は認識表にんしきひょうにもなっていて、
まあ生徒手帳のようなものでもある。

たとえば図書館で本を借りれば、
自動的に誰がどの本を借りたか、
メモリアルされる。

また生徒しか利用できない施しせつなどに入る時も
、この自動認識機能じどうにんしききのうを持つ腕輪が必要である。

それはさておき、
いきなり自由時間をあたえられた生徒一同は、
早くも同じ国出身の生徒を見つけ、
固まり始めていた。

この時代、世界共通語の
アグリット語と言うものが出来ており、
(世界主要都市30ヶ国の標準語をベースに
 た発音や言い回し言語を統一し出来た、
  世界共通言語 )
そしてこの時代、
それをしゃべれない生徒はいなかったが、
それでも同じ文化を共にした仲間と固まるのは
ある意味心理であり、真理だろう。

そう言った意味では、
このとき派閥はばつがはっきり|目に見えて、
認識にんしきできた瞬間でもあった。

入学式の学生一覧表では、
たしか日本人は三人だった。

不和ふわ 和真かずまに、
彩切あやぎり 音羽おとは

ハーフという意味では双子のアマテラス兄妹も
半分は日本人とも言えるのだが、
声をかけるには奥手の日本人としては、
あまりに敷居しきいが高い。

それにもう1つ、
すでに血縁けつえんのアメリカ人にかこまれていた。
 
 
 
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