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「うん、うん、うん。…う~ん、うん?うーん、、」
屋敷に帰ってきた私は、父ミハエルに卒業パーティーでの出来事を全て話した。
「ねえ、ハリエット。お父様、うんうんしか言わなくなってしまったのだけど」
「娘がめでたい卒業パーティー中に、この国の次期王から婚約破棄されたとなれば、誰しもこうなってしまうのは致し方ないかと。お気持ち察します」
「それはそうよね。ごめんなさいお父様」
お父様はチラッと私を見た。
「はぁ…。何となく、なんとなーくそう簡単に事は進まないとは思っていたのだよ」
いつも穏やかで優しいお父様…。3年前にお母様が病で亡くなってからは、私が支えていこうと心に決めていたのに。
私のせいで…。
婚約破棄は嬉しかったけど、お父様を悲しませているのは辛い。
「にしてもあの王子やってくれたな。人の可愛い娘に随っ分と恥をかかせてくれたものだ。
あれがこの国の次期王?笑わせる!そもそもあんな薄っぺらいヤツに、私のイヴリンを嫁になぞやりたくなかったんだ!
婚約破棄だと?まあそれはそれでめでたいな!ハリエット今日は宴だ!」
ハーハッハッハ!と血走った目を見開き笑うお父様。
いつも穏やかで優しいお父様が壊れてしまった。
その横で、はい旦那さまと冷静に従うハリエット。強い!
「だがしかし、罪を一度も否定しなかったのは少し問題があるかもしれないな。
魅了が解けても、イヴリンがティティトリティス家の娘を苛めていないという証拠なんてない。王子が魅了魔法にかけられていた、なんて恥さらしな話を国民の前で認めるとも思わない…」
我を取り戻したお父様が、気落ちしたように言った。
「そうですね。なんだかんだと第一王子は魅了以前に、イヴリン様よりマイラ様の方がタイプのようでした。
愛らしい顔で健気な性格を演じてらっしゃいましたから。魅了の証拠もありませんし、そのままマイラさまとご結婚されてもおかしくはありませんね」
ジト目でハリエットを見た。ごめんなさいね。愛らしくもなければ健気でもなくて!
でも確かに婚約破棄された事が嬉しすぎて、いじめの事が否定できなかったのよね。
今思えば、かるーく否定しておけば良かった。
あの状況じゃ誰も信じないだろうけど、虐めていない証拠もなければ、虐めた証拠もないのだから、国外追放は免れたかしれない。
でもね、
「お父様、もし私が国外追放となったのならば、それならそれで受け入れます」
「イヴリン!なぜだ!」
「公爵家の娘として、私は幼い頃から殿下の婚約者として生きてまいりました。
やりたいこと、興味のある事、そう言ったものとも縁のない生活。
ですからこれが最後のチャンスとして、外の世界を見てみるのも悪くないと、少しばかり考えてはいたのです」
「イヴリン…。そう言われてしまうと何も言い返せないよ。
おまえの母ローラもよく外の世界が見てみたい、色々な所を旅してみたいと言いながら、気付けば病に倒れてしまった。
公爵家というだけで、好きでもない男と結婚させようとした私を許しておくれ」
「何をおっしゃるの!お父様!私はお父様とお母様の娘に産まれてきてどれだけ幸せで、感謝をしているか分かりませんの?」
「うぅっ!そうだな…イヴリンは私とローラの天使だ!
だが愛する娘がここからいなくなるなんて…寂しくて涙が止まらないよ!」
「もうっお父様!離れたって私の心は、いつもお父様のお側にありますわ。そして私が新しく暮らす場所に、たまには遊びに来てくださいな」
「ああ!絶対に行くよ!おまえの好物をたくさん持っていこう!」
本当?絶対ですよっ☆とお父様ときゃっきゃうふふしていた隣でハリエットが呟いた。
「いやコレそういったストーリーじゃないですから。国外追放なんてさせてもらえる訳ないでしょうが」
なーんも聞こえていませんでした。
屋敷に帰ってきた私は、父ミハエルに卒業パーティーでの出来事を全て話した。
「ねえ、ハリエット。お父様、うんうんしか言わなくなってしまったのだけど」
「娘がめでたい卒業パーティー中に、この国の次期王から婚約破棄されたとなれば、誰しもこうなってしまうのは致し方ないかと。お気持ち察します」
「それはそうよね。ごめんなさいお父様」
お父様はチラッと私を見た。
「はぁ…。何となく、なんとなーくそう簡単に事は進まないとは思っていたのだよ」
いつも穏やかで優しいお父様…。3年前にお母様が病で亡くなってからは、私が支えていこうと心に決めていたのに。
私のせいで…。
婚約破棄は嬉しかったけど、お父様を悲しませているのは辛い。
「にしてもあの王子やってくれたな。人の可愛い娘に随っ分と恥をかかせてくれたものだ。
あれがこの国の次期王?笑わせる!そもそもあんな薄っぺらいヤツに、私のイヴリンを嫁になぞやりたくなかったんだ!
婚約破棄だと?まあそれはそれでめでたいな!ハリエット今日は宴だ!」
ハーハッハッハ!と血走った目を見開き笑うお父様。
いつも穏やかで優しいお父様が壊れてしまった。
その横で、はい旦那さまと冷静に従うハリエット。強い!
「だがしかし、罪を一度も否定しなかったのは少し問題があるかもしれないな。
魅了が解けても、イヴリンがティティトリティス家の娘を苛めていないという証拠なんてない。王子が魅了魔法にかけられていた、なんて恥さらしな話を国民の前で認めるとも思わない…」
我を取り戻したお父様が、気落ちしたように言った。
「そうですね。なんだかんだと第一王子は魅了以前に、イヴリン様よりマイラ様の方がタイプのようでした。
愛らしい顔で健気な性格を演じてらっしゃいましたから。魅了の証拠もありませんし、そのままマイラさまとご結婚されてもおかしくはありませんね」
ジト目でハリエットを見た。ごめんなさいね。愛らしくもなければ健気でもなくて!
でも確かに婚約破棄された事が嬉しすぎて、いじめの事が否定できなかったのよね。
今思えば、かるーく否定しておけば良かった。
あの状況じゃ誰も信じないだろうけど、虐めていない証拠もなければ、虐めた証拠もないのだから、国外追放は免れたかしれない。
でもね、
「お父様、もし私が国外追放となったのならば、それならそれで受け入れます」
「イヴリン!なぜだ!」
「公爵家の娘として、私は幼い頃から殿下の婚約者として生きてまいりました。
やりたいこと、興味のある事、そう言ったものとも縁のない生活。
ですからこれが最後のチャンスとして、外の世界を見てみるのも悪くないと、少しばかり考えてはいたのです」
「イヴリン…。そう言われてしまうと何も言い返せないよ。
おまえの母ローラもよく外の世界が見てみたい、色々な所を旅してみたいと言いながら、気付けば病に倒れてしまった。
公爵家というだけで、好きでもない男と結婚させようとした私を許しておくれ」
「何をおっしゃるの!お父様!私はお父様とお母様の娘に産まれてきてどれだけ幸せで、感謝をしているか分かりませんの?」
「うぅっ!そうだな…イヴリンは私とローラの天使だ!
だが愛する娘がここからいなくなるなんて…寂しくて涙が止まらないよ!」
「もうっお父様!離れたって私の心は、いつもお父様のお側にありますわ。そして私が新しく暮らす場所に、たまには遊びに来てくださいな」
「ああ!絶対に行くよ!おまえの好物をたくさん持っていこう!」
本当?絶対ですよっ☆とお父様ときゃっきゃうふふしていた隣でハリエットが呟いた。
「いやコレそういったストーリーじゃないですから。国外追放なんてさせてもらえる訳ないでしょうが」
なーんも聞こえていませんでした。
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