婚約破棄!?なんですって??その後ろでほくそ笑む女をナデてやりたい位には感謝してる!

まと

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「アダム…」

弟のような親友。
姉のような親友。

「いつから…」

いつから私を好きだった?

「そんなの分からないよ。一番信じられる人から、愛する人に変わるタイミングなんて」

柔らかい風がアダムの髪を揺らす。
ぼーっとそれを見つめる。

「イヴリンが兄さんの婚約者と決まった時は、頭がおかしくなりそうだった」

「そんな…ふうには見えなかった」

「見せる訳ないよ。弱くて小さな自分には何もできなかった。
罪悪感でオレに接する父上を脅す頭も、あの頃のオレにはなかったし、君の側にいるには"弟で親友のアダム"でしかいれなかった」

あれ、わりとシリアスなシーンで不穏な言葉出てこなかった?陛下を脅す??え?

「兄さんはイヴリンがいながらも色んな女を見ていた。それが許せなかった。そこで現れたのがマイラだ」

「さっきも言っていたけど、マイラはあなたに魅了をかけようとしたのよね?」

「そうマイラは野心家だ。王族の、オレ達兄弟ならどちらでも良かったんだろう。だから魅了を使おうとするマイラに言った。
兄上ならその魔法を間違いなくかけれるだろうと」

「エスメを紹介したのもあなた?」

「確実にミスをしない魔女が必要だった。まさかその魔女が君の配下だとは思わなかったけどね」

正確にはお祖母様の配下だけどね。

「…それからまんまと兄さんは、君との婚約を破棄してくれた。
その後で、本当に嫌がらせを受けていたのはマイラではなく、イヴリンだったと皆の前で告発するはずだった。それだけの証拠はたんまりあるからね」

たんまりあるんだ…下手くそなのよね。マイラあなたに悪事は向いていない。

「だが君は否定もしないし、あわよくば国を出ようとした。婚約者として立候補する間もなく。だからオレは母の名前を出し父上を脅し、君との婚約を手に入れた」


「…だけど、殿下とマイラはどうなるの?」

「さあ、分からないし、興味ない」

「殿下はマイラの事は本気のようだけど」

「どうかな?発狂したマイラに少し引いていたみたいだけど。君との婚約破棄も破棄しようと考えていたみたいだ」

はあぁっ?!!何言っちゃってんのっ????あのクソ殿下!
こちらは婚約破棄を破棄する事を破棄します!!!

握られていた手を引っ張られ、気付けばアダムの腕の中にいた。

「今の君の婚約者はオレだ」

「…アダム」

「兄上もマイラもオレもみんな不誠実だ。だから君にしか謝らない。ごめん…イヴリン。

君を皆の前で恥をかかせた。マイラの嫌がらせを知りながらも黙っていた」

少し鼻をすする音が聞こえた。
バカね。アダム…。それだって結局は全部私の為になっている。

「それでも!…これからは、何があっても君を守るから。今はオレを好きじゃなくたっていい。側にいてほしいんだ」

「オレの…この想いを受けとって…」


最後は震える声だった。
あの時を思い出す。初めてアダムの声を聞いたあの日。
ぎゅっと私にしがみつき、大声で泣きわめく可愛い少年を。

いつの間にか、皆の憧れになり、立派な男性になった。

私だって何度も何度も思ったじゃないか。
小さな頃に、勝手に決まっていた私の婚約者。

それがアダムだったら良かったのにと…。

これが愛だとか恋だとかは分からない。
だって"弟で親友"のように、ずっと過ごしてきた。

それでも…

「私、ほんの少し魔女の血が流れてるけどいいの?」

知ってると思うけど。


「君が魔女だろうが魔王だろうがなんだっていい」

魔王って…。




「そっか…それなら私を、"姉で親友で婚約者"にしてくれるかしら」

そう言うと、バッと顔を上げたアダムが泣き笑いで言った。



「喜んで」





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