婚約破棄!?なんですって??その後ろでほくそ笑む女をナデてやりたい位には感謝してる!

まと

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アダムのババロアと兄上は今

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「ここにいたのか」

「兄上」

久々にまともに話すような気がするな。我が弟アダムと。
ぱっと顔を上げたアダムの頬に、白いクリームがついている。そんな顔まで可愛いのだなお前は。

ここは城の厨房だ。今はアダムしかいないみたいだが。

「こんな所で何をしている?」

「イヴリンにババロアを作っているのです」

カシャカシャと手を止めず、完璧な状態の生クリームを目指しかき混ぜているのだな、お前は。

「イヴリンを愛してるいるのだな」

「兄上とイヴリンの婚約が決まった時、失礼にも兄上を殺してやりたいと思った位には」

カシャンカシャンッと音が激しくなる。やめなさい。クリームが固くなりすぎてしまう。

「そうか」

ピタリと手を止めこちらを見るアダム。

「悪い事をしたとは思っていません。兄上はイヴリンを蔑ろにしていたから」

イヴリンには申し訳ない事をしましたが…と眉を下げる。

その通りだ。私はイヴリンを大切に出来なかった。
イヴリンもそんな私を好いてはいなかった。いつもどこか見透かした目で、私を見ていた気がする。
自信がなく、見目ばかり気にしていた薄っぺらい私の事を。

「マイラは?結局どうなったのです?」

「分からない。今はティティトリティス家と話し合いを交わしている。結局公にはなっていないが、魅了の件で父上もお怒りなのだ」

王族を陥れる事は罪が重い。

「あなたはどうしたいのです?」

じっと見てくるアダム。

「…イヴリンには悪いが、魅了など使わなくともマイラには惹かれていた。一度。暴れ狂うマイラに引いてしまったが、一族の皆に責められ、憔悴しきった彼女を見たときは守ってやりたいと思った」

また、ぶれぶれだな私は。

「答えは出ているじゃないですか」

はっと、アダムの顔を見る。

「そう…だな。マイラと一度話し合うよ」

そうですね、と目元を和らげるアダム。ちらっと手元を見た時にはパティシエ顔負けのババロアが完成していた。
美しいガラスの器にミルク色のババロア。その上には先程の生クリームがデコレーションされていた。
そして仕上げにと、苺の飾り切りされたものを丁寧にのせる。それは薔薇だな。美しい。

アダム、お前は何を目指しているのだ?


「それでは私は行くよ」

「はい」

少し頭を下げた弟に背を向けたが、もう一度振り向く。

「おこがましいと思うが…イヴリンと幸せに」

「当たり前です」

とにこりと笑った。



私も、しっかりしないといけない。
この国の第一王子としても。
一人の男としても。

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