マサイな太宰さんと僕

いのうえです

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キミの名は

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「あけてよいぞ」
                     
数秒間の沈黙の後、目を開けた僕は目を見張った。そこにいたのは、僕だ。
                      
「は?え、は?」
                      
僕はマサイに、マサイは僕になっていた。あれ?僕たち、いれかわってる!?
                      
「ふむ。しばしこの体、かりていこう」
                      
ニヤリを笑った僕(マサイ)は、さっきの放送禁止ナイトのチケットと、3万円を握っていた。まさか…まさか…!
                      
「おい…やめろ…たのむ…たのむからあああああねええええええええ!」
                     
 それは僕の生きる希望なんだよ。そのために今日頑張ったんだよ。
                      
僕マサイはマサイ僕をリュックに突っ込み、そっとチャックをとじた。あんまりだ。あんまりだよそんなの。
 

闇の中でしばらくたった。視覚が使えない分、聴覚が冴え渡る。なにやら声がする。

え、まって?なんか変な音と声聞こえるよ?え、これなんて拷問?
 

2時間後、マサイ僕はリュックから解放された。ツヤッツヤの顔で僕マサイはこういった。
 
「ふむ!数十年ぶりに致したが素晴らしいものだった!」

「コロス…コロ、コロス。ふひ、ふひひ」
 
「ふむ。元より廃人のような男が本物の廃人になっているな?」
 
「オマエ、コロス。カラダモドッタラ、オボエテロ」
 
 この恨みは宇宙より大きい。       
                      
「よいのか?お礼にもっとすごいものを与えようと思ったのだが…?あと私はもう死人だぞ」
                 
「話を聞こう」
                      
「ふむ。戻ったか。先日、女の心身を掌握する方法を教えるといったが、やってみるか?」
                      

師匠!師匠!待ってました!いやーもー!そうならはやく言ってくださいよ師匠!放送禁止ナイトなんて安いもんですよ!
                      
体が戻った僕は、下半身に妙なスッキリ感を覚えつつ、街にでた。イルミネーションに装飾された大通りは、ちょっと幻想的な雰囲気を醸し出していた。
                      
「で、マサイ。こんなリア充の巣窟で僕になにをしろと?」
                      
そう、ここは地獄だ。リア充のきゃっきゃうふふが蔓延している地獄だ。
                      
「声をかけるのだ」
                     
「なんて?」
                      
「声をかけるのだ」
                      
「お前は、僕が童貞ということをお忘れかな?」
                      
「ふむ。それはさきほど卒業したが?」
                      
「え?」
                     

 え?ああいうのってそこまでしないもんじゃないの?
                      

「私だぞ?サービス外まで及ぶなど造作もない」
                      

え?え?
                      

「ふむ。しかしプロは私が、素人はキミがということで、キミの童貞は二度おいしい。そう考えれば幸せだろう?」
                      
それはみなさま一様にそうなんですが?二度おいしいどころか1回分損してるんですが?
                      

「とはいえ、先の事象をキミは観測していない。つまり、キミの世界ではキミの純潔はまだ守られているわけだ」
                      

聴覚ってご存知かなー?
                      

「まあ、とにかくキミには女性へ声かけしてもらう。現代でいうナンパというものだな」
                   
クリスマスのこの街でひとりナンパすることの意味をこいつはご存知だろうか?それは僕の孤独を公の場で披露するということですけど?
 
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