目が覚めたらBLゲームの悪役令息になったけど、山に引き籠もりたいので全力で主人公を応援しますっ!

mana.

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【17歳】

【17歳】40 オークver.

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生徒会長の一件からシオンはよく眠るようになった。
カヤに聞くと食欲はある様だが、日に日に寝る時間は増えていく。
心配になってヒイラギに王宮の仕事の調整を頼んで仕事をセーブした頃、クロバイに話があるとシオンの屋敷の精霊の樹の下に呼ばれた。

「待たせたな。」

今日のクロバイの服は執事服ではなく、魔術講義の服装だ。
日々忙しいクロバイに「ちょっと世間話でも」なんて事ではないのは承知していたが……

「おはようございます。朝早くに申し訳ございません。実は……」

クロバイからシオンの転生前の詳しい話を聞いた。
シオンが7歳の魔力覚醒の暴走を封印するのにかなり力を消耗してしまい、それからカヤの魔力は徐々に戻っているが100%ではないという。

シオンの魔力はその時に後から部屋へやって来たクロバイが魔力を封じる宝石を作りカヤがその中に封じたが、カヤ自身は生まれたばかりで魔力が安定してなかったのもあって、シオンのそれまでの記憶もいくつか封印してしまったらしい。
前に魔力循環をした時のカヤとシオンだけでは不十分と感じた時に俺との相性を見て3人で…と、やってみたらクロバイの中で訓練次第と判断したようだ。

「……シオン様の覚醒はまもなくかと。ですので、大変申し訳無いのですが…今日から王宮の仕事を……」

「あぁ…元々シオンの体調も心配だったから仕事を少し控えるようにはしていた。明日以降の件はヒイラギとも話してあったから大丈夫だ。」

「ありがとうございます……あ…」

俺からの視線が外れ、クロバイの視線を追うとシオンとカヤの姿があった。
……あぁ…今日は元気そうだ…良かった…

「おはよう、シオン。」
「おはようございます、シオン様。」

クロバイがシオンに魔力の覚醒の話をする。
精霊の樹が夢の中で話した事と、本人も身体の異変もあるから薄々分かっていたようだ。
クロバイは今日から魔力循環の訓練をすると言った途端

「他に方法は無いの?」
「無いですね。」

あの時の感覚を思い出すと……フフ……訓練も悪くねぇな。

「……まぁ……しょうがないな………♪」

真剣な話だ……ここは真面目に返答しておかないとな。

「………お前ら……言葉と表情が全く噛み合ってねぇぞ……」

……あれ……王宮じゃぁ最近「大人の顔になって」とよく言われるんだがな?

「それでは、時間も無いことですし…取り敢えずは少量の魔力から行いましょう。……では…3人手を繋いで……そう…では…最初は両方への魔力循環ではなく右手は流して左手は受け止めましましょう…くれぐれもですよ?で、お願いします。」

俺達は手を握り目を瞑る。

「始めて下さい。」

言われて少しずつ流し始める。
あぁ……シオンの手……相変わらず細くて折れそうで……閨の最中に手にキスをしたり指を舐めると擽ったがるんだよなぁ……

「「「……くっ!」」」

………何だっ…寒っっ……身体の芯から冷えるこの感覚っ!

「熱い熱い熱いっ!」

……あれ?シオンは熱いのか?

「…熱いですか?俺はかなり擽ったいです。」

「……俺は凄く寒い…」

カヤはシオンから魔力を受け取ってんだよな?
アイツ……羨ましいっ。

「……前とは少し違いますね。それぞれが成長して少し状態が変わっているかもしれませんね。3人共、思うままに魔力を流してます。相手への思いで魔力を出していると思いますがカヤとオーク様は弱めて。そしてシオン様……真面目にやって下さい。」

今回の魔力循環は、俺→シオン→カヤからの俺になっているんだが……魔力属性から来ているのか?
じゃぁ…俺は…火か。
気持ちで左右されるのはまだまだなんだが……

「難しいな……シオンへの思いが強すぎて…」

「難しいですね……オーク様への(日頃の)思いが強すぎて……」

クロバイにもう一度と言われて流してみる。

「あぁんっ!」
「ブフゥッ!」
「あ゛ぁ゛んっ⁉」

___バチッ!!___

繋いだ手に電気の様な衝撃が走ってその場にしゃがみ込んでしまった。

「加減しろ!馬鹿者がっ!!」

クロバイからキツく注意されたけど…されたけどさぁ……

「オーク……お前……なんて魔力流すんだよ………」

いや…シオン本当にゴメン…でも、気持ちは抑えられない。
それより……

「……ん゛っ………はぁ……シオン様こそ……なんて魔力流すんです…俺笑い死ぬかと思いましたよ……」

「カヤ…お前……俺を消す気で来ただろ⁉なんて魔力流すんだよっ!!」

喧嘩売ってんだろ⁉さっきのクロバイの言葉で魔力強めやがったな!

「…そもそも…シオン様の事を考えたら、優しく温もりのある魔力を流せるんじゃないでしょうかねぇ?」

「お前こそ……さっきは俺への含みのあるだったと思うが……日頃の鬱憤でも晴らしてんのかよ?」

「フフフフ……まさか……そんなそんな……」
「フフフ……俺のシオンへの気持ちはお前みたいな生易しい気持ちじゃねぇしな。何ならお前が味わうか?」

「受けて立ちましょう。」

「「フフフフフ……」」

カヤと睨み合って手の平に魔力を込める。

「お前達……」

「……カヤッ、オークッ…後ろ…」

「「何だ?」ですか?」

___ゴンッ!___

「2人共……シオン様とはでちゃんとしなさい。しないなら…………シオン様抜きで2人で一緒のベッドで寝てもらいますよ。」

「「頑張りますっ!!」」

父にも拳で殴られたこと無いのにぃぃ!
頭に鈍い痛みが走る。
そこからは真面目に練習をして当日はシオンを守ると言いながら一緒のベッドに寝た時は、寝ている間に抱き締めたり出来たら……と、思っていたのに横になった途端に深い眠りについてしまった。


そして数日訓練を行い、ある程度形になってきたと思った矢先……シオンが目の前で倒れた……
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