目が覚めたらBLゲームの悪役令息になったけど、山に引き籠もりたいので全力で主人公を応援しますっ!

mana.

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【18歳】

【18歳】6

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俺はママと姉さん、母と再びお茶をした。
その時に、精霊の樹の周りを囲む様にママと姉さんにある樹を作ってもらった。
力が戻った2人なら大丈夫そうかと思ったけど、あっという間に大木となった。

「まぁ……この樹に素敵な花が咲くのね。」

「うん。俺がシオンとして生まれる前にいた世界の花なんだ。咲いたらみんなでしよう。」

「おは…なみ?」

「うん。花を愛でながらみんなでピクニック…って、感じかな。」

『シオン、良いの?』

「うん。3年になる前には伝えておきたいんだ。」

ヒイラギから王宮の水面下でオークと俺の事を疑問視する者達を抑えられなくなっていると報告をうけた。
そうだよな。卒業まで…と言ったものの、ここまでローズウッド家が優遇されてたら流石に…

「もう…決めたよ。ねぇ、母上……」

「なぁに?」

「今……幸せ?」

「えぇ。とっても。……シオンの身体に生まれてくれて…ありがとう。」

母にゲームの話を省いて俺の前世の話をした。
俺の名前は「杉本スギモト 紫苑シオン」という名前だった事。
ハーフだったけどイケメンではない俺の名前は、会社で馬鹿にされることはなかったけど…大人になってからは名刺を出すのは少し気恥ずかしかったかな。
あまり行かなかったけど…営業先じゃ、みんな真っ赤になるんだもんなぁ。
あれきっと、笑いを堪えてたせいだ。

「普通の子なら……きっと心が寂しくて違う人生を歩んだと思うわ。貴方スギモトだからこそ、今の人生を、私達も歩めていると思うの。」

「……いや……そう言われると……この顔でオッサンな所やウッカリ感を出しすぎて申し訳ないんだけど……」

「ウフフ。私には…と、言う言葉がよく分からないけど、貴方には沢山の魅力があるわよ。」

『そうね、私も楽しいわ♪あのクロバイの色んな表情も見れるし。』

『えぇ、この子や精霊達から聞いたわ~。魔法が面白いんですってね♪今度披露して頂戴ね♡』

全く……この人達には本当に敵わない。
良い意味でも悪い意味でも……前世の会社でも女の人には敵わなかった。

『さぁ、そうと決まれば早く花を咲かせなきゃ。あれからクロバイとカイエには頑張ってもらってるのよね?』

『えぇ♡たっくさん魔法の訓練と剣術や武術で、オークなんて王宮で敵う物がいなくなってるわ☆』

「ただ…オーク様が強くなってしまってお城のお仕事が少し増えてしまったのよねぇ。」

『クロバイも、カヤに精霊の森の管理を引き継ぎ始めているしね。』

……それで閨がほとんどないのか……

最近俺に会いに来ては夜はキスだけして、城の仕事をしなくてはと、部屋へ戻るオーク。
そして給仕や世話をしてくれて、夜はオークと同じくキスをした後にクロバイに呼ばれるとかでいなくなるカヤ。
日に日に疲れた顔を見せないが、夜は2人共用事や仕事でほとんど閨がない。
ただ、朝起きると2人が横で寝ている事が増えた。
守りに関しては、魔力が上がった2人が俺の部屋を強化したので守りは必要ないとクロバイのお墨付きだ。

『さぁっ!そうと決まれば咲かせるわよ!!私の可愛い子ども達、この木々に可愛いお花を咲かせるのを手伝って頂戴♪』

___咲かせるよ 咲かせるよ♪ どんな花? どんな色?___

精霊達が徐々に集まってくる。

『薄いピンクのお花よ~。5つの花びらが1つになっているの。風に吹かれると綺麗なお花の旋風が出来るのよ♪シオンの記憶で見たの。とても月の夜に映えるのよ♡可愛い子ども達、沢山あるわ。頑張って咲かせましょう!』

___うん 咲かせよ! たくさん咲かせるよ~ みんなぁ~いっくよ~♪___

『ポゥ、昔みたいに一緒に花を咲かせましょ♪』

姉さんに愛称で声を掛けられて、母が嬉しそうに姉さんへと手を伸ばす。

「えぇ…姉様っ!」

きっと2人は幼い頃、こんな感じで遊んでいたのだろう。
はしたないと怒る人はここにはいない。2人でドレスを翻し、楽しそうに…踊る様にくるくると回って魔法を唱える。

「『樹の中から生まれる花の精。私はあなたを待っている。ここにいるよ ここにいるよ あなたの誕生を心待ちにしているよ。さぁ、可愛いお顔を見せてちょうだい。喜びの歌を聞かせてちょうだい。』」

『ウフフ、久し振りなのに上手よ!ポゥ!』

「姉様こそ!昔は魔法の音がズレる時があったのに♪」

『あ~!それは言っちゃダメ~!!』

キャッキャ♡ウフフ♪と……美女と超可愛いがくるくる回る……うわぁ……俺……腐男子だったけど…百合の扉も開きそう……

『シオン、あなたもよ。』

「ママ。」

『この樹はあなたの魔力も必要よ。さぁ、唱えましょ♪』

ママに手を引かれてふっくらとあちこち蕾になり始めた樹を眺めながら母達の元へと駆け寄って行く。
あぁ……あの公園の桜も……こんな感じだったよな。
カヤとオーク……喜んでくれるだろうか……

『さぁ!仕上げましょ‼』

母とママと姉さんと……そして俺が円になり、呪文を唱える。
植物を育てる呪文にはこの世界では歌が伴う。
この時俺は本当にこの世界で音痴でなくて良かったと思う。
四重奏…カルテットと、言えば良いのだろうか?
誰もどの担当と言わなくても綺麗な1つの歌となっていた。


『精霊王の母としてここに願う。どうか、私の可愛い愛する子ども達の憩いの場として、あなたの愛らしい喜びの歌を、華を魅せておくれ!』


___シャァァァァアンッ!!!___


光と共にガムランボールの音の様なキラキラとした音が辺りに響き渡る。
あまりの眩しさに目を閉じてしまい、再び目を開けた時には辺り一面、俺の知ってるあの懐かしい日本の桜が満開に咲いていた。
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