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ふるっ…と、夜の風の涼しさが秋の訪れを感じる夏の終りと秋の始まりの間。
今日は天気が良かったから月の光も雲が無いので明るく照らしてくれる。
コンビニから出てきた俺は、あまりに月が綺麗だったのでスマホで写真を撮っていたら…フワッ…と、金木犀の香りがした。
俺はこの香りが小さな頃から大好きだ。
あっという間に散ってしまうこの香りが勿体なくて…少しでも長続きはしないだろうかと色々試したが、不器用な俺には難しくて結局大学生になった今もこうやって短い期間の香りを楽しむしかない。
…あれ…?
でもまだ金木犀の花の見頃には早いよな……
キョロキョロと辺りを見回すが、金木犀らしきものは見当たらない。
……少し先にあるんだろうか……?
そう思って足を前に出そうとしたら、急に足元から強烈な光が放たれた。
___見つ_け_た___
「?!」
ぐいっと、腕を捕まれて引き寄せられ甘い金木犀の香りが身体を包み始める。
俺は驚きと戸惑いと…甘い香りに目眩がした。
…今の声は…?
眩しい光が落ち着き、気が付くと金木犀の甘い香りはそのままで…自分より背の高い男に抱き締められていた。
「見付けた…っ!」
「○✕□%&*~っっ?!」
声にならない声にも驚くどころか…
「姿まで甘く……愛らしいなんて…」
そっちの方が甘いんじゃないかと思う程低く甘い声で語り掛けてきて、俺はその場を逃げようと身体を捻るがガッチリ腰に手を回されて逃げられない。
俺…っ、これでもスポーツやってたんだけどなぁっ!
コンビニにいたはずの俺は、何故かホテルのスイートルーム?(テレビでしか見たことないけど!)の様な場所にいた。
「こここ…ここはどこだっ!お前は誰だっっ?!…ってか、俺は男でお前も男だろ?!ナンパするなら女のとこ行けよぉっ!!」
突然の光に包まれて腕を引っ張られ、訳の分からない状況と言えば……最近流行りの「異世界」とかの類いだろうか?
いやいや、そりゃありえないよなぁ。
……ん?目の前の男を見ると何か…見覚えがある……
…えっ…と…落…ちっ…着けぇ…俺ぇぇ…
抱き着く男を引き剥がそうとしながら一生懸命考える。
ハッ!!
お前……っっ!
「お前…まさか…っ!花屋…敷っ…かぁぁっ!!」
名前を出した途端に強く抱き締められた。
「うわぁっ‼」
「そうだよ、アキラっ!いつも話し掛けてくれてただろ?」
「全く話し掛けた記憶もございませんがぁっっ?!」
花が綻ぶような笑顔を向ける男…いや、花屋敷……そっかぁ……
___お父さん、お母さん、インコのルル…俺はどうやら異世界に来てしまいました___
しかもBLだけどなっっ!
そして俺は花屋敷から目が離せなくなり、抵抗をするのを止めた。
落ち着いて見たら……花屋敷は170cmの俺よりも背が高い。
確か設定では190cmくらい…だったかなぁ…?
髪はどこにでもいそうな少し明るい茶色だが…目の色は光の加減で緑やオレンジ・茶色などに見えてとても珍しい色をしている。
「アキラ…?本当に……大丈夫?」
俺が花屋敷の顔を見つめて固まっているので逃げないと安心したのか、腰に回していた片方の手を離してそっと俺の頬に触れてきた。
心配そうに見つめてくる潤んだ瞳の色は、窓から入ってくる月の光に照らされて柔らかい緑の色が揺れる。
あ、これ…昨日のスチルで見たわ。
落ち込んだ主人公を夜の散歩に連れて行って「あまり協力出来なくてゴメン。」って、少し悲しげに目を潤ませて謝っていた。
攻略者とのラブ度が少し足りないからアドバイスも少なかったんだよなぁ。
それに……金木犀の香りが花屋敷からほんのり香っている。
「…大…丈夫…。」
うん…間違いない、本人だ。
「良かった。実は俺、1ヶ月くらい前からアキラの声がして…俺を気遣う事ばかり聞こえてさ。最初は俺しか聞こえないし1人の時は聞こえないから気のせいかと思ってたけど、ある人のそばにいたら必ず聞こえてきて…」
あぁ、主人公を使ってゲームしてたからなぁ。
___1ヶ月前、俺がこのゲームを始めた頃だ___
「花の香りがする君と。」通称「花君」は、主人公の櫻木 尚弥が花園学園に入学してからストーリーが始まる。
高校生活の3年間。
入学~卒業までのBL恋愛シュミレーションゲーム。
男子校で寮暮らしだからイベントも盛り沢山だ。
「クラスが一緒の友達なんだけど、性格的にも聞こえる声も違うんだよね。ただ一緒にいたら嬉しい事が沢山聞こえるから他の友達より一緒に行動してたかな。」
気遣う言葉は覚えてないけど、いつも花屋敷を「カッコいい。」やら「花屋敷ならアリかも~♪」って、モニターに向かって確かに思ってただけじゃなく言ってたかも…。
そんな色んな事を聞かれてたかと思うと、顔がみるみる赤く染まっていった。
「学園にアキラらしい子は在籍してないし、あちこち探したけど見つけられなくて。最終手段で昔祖父から聞いていた呪術の本を実家の書庫から持って帰って習得したんだ。」
………はい………?
そんなに早く呪術って習得出来るもんなんですかね?
聞き間違えたかな?
今日は天気が良かったから月の光も雲が無いので明るく照らしてくれる。
コンビニから出てきた俺は、あまりに月が綺麗だったのでスマホで写真を撮っていたら…フワッ…と、金木犀の香りがした。
俺はこの香りが小さな頃から大好きだ。
あっという間に散ってしまうこの香りが勿体なくて…少しでも長続きはしないだろうかと色々試したが、不器用な俺には難しくて結局大学生になった今もこうやって短い期間の香りを楽しむしかない。
…あれ…?
でもまだ金木犀の花の見頃には早いよな……
キョロキョロと辺りを見回すが、金木犀らしきものは見当たらない。
……少し先にあるんだろうか……?
そう思って足を前に出そうとしたら、急に足元から強烈な光が放たれた。
___見つ_け_た___
「?!」
ぐいっと、腕を捕まれて引き寄せられ甘い金木犀の香りが身体を包み始める。
俺は驚きと戸惑いと…甘い香りに目眩がした。
…今の声は…?
眩しい光が落ち着き、気が付くと金木犀の甘い香りはそのままで…自分より背の高い男に抱き締められていた。
「見付けた…っ!」
「○✕□%&*~っっ?!」
声にならない声にも驚くどころか…
「姿まで甘く……愛らしいなんて…」
そっちの方が甘いんじゃないかと思う程低く甘い声で語り掛けてきて、俺はその場を逃げようと身体を捻るがガッチリ腰に手を回されて逃げられない。
俺…っ、これでもスポーツやってたんだけどなぁっ!
コンビニにいたはずの俺は、何故かホテルのスイートルーム?(テレビでしか見たことないけど!)の様な場所にいた。
「こここ…ここはどこだっ!お前は誰だっっ?!…ってか、俺は男でお前も男だろ?!ナンパするなら女のとこ行けよぉっ!!」
突然の光に包まれて腕を引っ張られ、訳の分からない状況と言えば……最近流行りの「異世界」とかの類いだろうか?
いやいや、そりゃありえないよなぁ。
……ん?目の前の男を見ると何か…見覚えがある……
…えっ…と…落…ちっ…着けぇ…俺ぇぇ…
抱き着く男を引き剥がそうとしながら一生懸命考える。
ハッ!!
お前……っっ!
「お前…まさか…っ!花屋…敷っ…かぁぁっ!!」
名前を出した途端に強く抱き締められた。
「うわぁっ‼」
「そうだよ、アキラっ!いつも話し掛けてくれてただろ?」
「全く話し掛けた記憶もございませんがぁっっ?!」
花が綻ぶような笑顔を向ける男…いや、花屋敷……そっかぁ……
___お父さん、お母さん、インコのルル…俺はどうやら異世界に来てしまいました___
しかもBLだけどなっっ!
そして俺は花屋敷から目が離せなくなり、抵抗をするのを止めた。
落ち着いて見たら……花屋敷は170cmの俺よりも背が高い。
確か設定では190cmくらい…だったかなぁ…?
髪はどこにでもいそうな少し明るい茶色だが…目の色は光の加減で緑やオレンジ・茶色などに見えてとても珍しい色をしている。
「アキラ…?本当に……大丈夫?」
俺が花屋敷の顔を見つめて固まっているので逃げないと安心したのか、腰に回していた片方の手を離してそっと俺の頬に触れてきた。
心配そうに見つめてくる潤んだ瞳の色は、窓から入ってくる月の光に照らされて柔らかい緑の色が揺れる。
あ、これ…昨日のスチルで見たわ。
落ち込んだ主人公を夜の散歩に連れて行って「あまり協力出来なくてゴメン。」って、少し悲しげに目を潤ませて謝っていた。
攻略者とのラブ度が少し足りないからアドバイスも少なかったんだよなぁ。
それに……金木犀の香りが花屋敷からほんのり香っている。
「…大…丈夫…。」
うん…間違いない、本人だ。
「良かった。実は俺、1ヶ月くらい前からアキラの声がして…俺を気遣う事ばかり聞こえてさ。最初は俺しか聞こえないし1人の時は聞こえないから気のせいかと思ってたけど、ある人のそばにいたら必ず聞こえてきて…」
あぁ、主人公を使ってゲームしてたからなぁ。
___1ヶ月前、俺がこのゲームを始めた頃だ___
「花の香りがする君と。」通称「花君」は、主人公の櫻木 尚弥が花園学園に入学してからストーリーが始まる。
高校生活の3年間。
入学~卒業までのBL恋愛シュミレーションゲーム。
男子校で寮暮らしだからイベントも盛り沢山だ。
「クラスが一緒の友達なんだけど、性格的にも聞こえる声も違うんだよね。ただ一緒にいたら嬉しい事が沢山聞こえるから他の友達より一緒に行動してたかな。」
気遣う言葉は覚えてないけど、いつも花屋敷を「カッコいい。」やら「花屋敷ならアリかも~♪」って、モニターに向かって確かに思ってただけじゃなく言ってたかも…。
そんな色んな事を聞かれてたかと思うと、顔がみるみる赤く染まっていった。
「学園にアキラらしい子は在籍してないし、あちこち探したけど見つけられなくて。最終手段で昔祖父から聞いていた呪術の本を実家の書庫から持って帰って習得したんだ。」
………はい………?
そんなに早く呪術って習得出来るもんなんですかね?
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