魅了魔力ほぼゼロなインキュバスの俺ですが、魔族公爵に溺愛されています。

mana.

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「ルイ~。」

「あ、ディーン。」

調理場の前を通ると調理中のディーンさんが俺を見つけて手招きした。
走って近寄ると横には大きなボウルにジャガイモが乗っていた。

「すまんが、少し手伝ってくれるかな?」

「ジャガイモの皮剥き?」

「あぁ、ティオ達が別件の仕事でな。」

料理人は他にもいるが、今日はメインのティオ・ウォーレン・レヴィの3人は諜報活動で森へ行っているらしい。

「すぐ帰る予定だったんだが、さっき連絡蝶が来て帰りが遅くなるらしい。」

連絡蝶…それは連絡手段の一種で、手紙を魔力封じて出来た蝶々が送り先まで飛んでくる。
大昔は生きている魔鳥を使っていたようだけど他の魔獣にウッカリ食べられてしまう事もあったらしく、魔法も色々と開発されて今ではここまで進歩した。
正直人間界のスマホ?…みたいな物があれば良いんだけど、俺達の世界は魔法に頼り過ぎていて科学はかなり発展途上だ。きっとこの先もそうだろう。

「じゃぁ、今度俺の大好物のやつ作ってよ。」

「ん~…あの人間界で食べたっていうアイスクリームか?」

「それっ!…で、生クリームと果物添えんのっ♪」

「…お前、あっまいの好きだよなぁ。」

「うん、人間界のイチゴってやつを前に食べたけど、あれもう一度食べたいっ!」

「あれな、今度人間界に調査で行くから持って帰ってきてやるよ。」

「やったぁ♪じゃぁ頑張って手伝う!」

「よしよし、頑張って手伝ってくれ。賄い分と合わせて結構あるからなぁ。」

リュー様以外の俺達は多かれ少なかれ、みんな食事を必要としている。
毎日美味しい料理を作ってくれているディーンは魔法の手を持ってると思う。
どうしたらあんなに美味しいものを作り出せるんだろう。

「お前は剣術が長けているせいか、本当に刃物使いが上手だよなぁ。」

「アハハ…インキュバスなのにね。」

「まぁ、それもアリじゃないか?人間界でも色々な才能を持ってる奴がいる。俺達魔族だってアンドリュー様みたいな人間臭い主人だっているんだ。インキュバスだからって剣術が強くて何が悪いんだって俺は思うね。」

「ディーン…」

「なりたい才能と出来る才能は誰しも同じとは限らない。俺だって家督を継いで魔族の騎士として一線で働きたかったけど才能がなかった。家を追い出された時にアンドリュー様が拾ってくれなかったら俺は今ここにいなかっただろう。」

そうだ、シャーリーやディーン…ここにいるほとんどの者はリュー様に救われている。

「魔界じゃ変わり者として言われているけど、俺はそんなアンドリュー様が大好きだね。」

「…うん…俺も…あっ。」

___ピッ___

「ルイッ!」

つい油断をして刃が滑って軽く指を切ってしまった。

「油断しちゃった、ごめんなさい。」

「大丈夫か…血が出てるじゃないか。」

ディーンが俺の手首を掴んで自分の唇へと持っていき指を含んだ。

「…んっ…」

___チュク…___

「…ぁ…」

「…大丈夫みたい……あ゛。」

___ゴゴゴ…___

「リュ…あ、アンドリュー様。」

固まったディーンの視線の先を見ると、怖い顔をしたリュー様が立っていた。
どうしたんだろう、お腹空いて機嫌が悪くなってるのかな?

「…ルイ……怪我をしたのか?」

「はい、ついウッカリ。」

「そうですぅっ、ついウッカリ咥えてしまいましたぁっっ‼︎」

ん、ディーンさん何言ってんだ?

「ほぅ……それはいけないな…手当をしに行かねば。ちょうど俺の部屋に傷を手当する箱がある。一緒に行こう。」

「え…でも俺…お手伝いが…」

「いぃいっ!大丈夫だからっ‼︎」

「そう?じゃぁ…」

俺はリュー様に連れられ、リュー様の寝室へとやってきた。
リュー様の寝室へはほとんど入った事がない。
側近のレナードさんがほとんどお世話をしているし、レナードさんが難しい時はシャーリーや他の側近がお世話をしているからだ。

「そこに座りなさい。」

「はい。」

リュー様に言われて俺はベッドへ腰掛けた。
リュー様のベッドはフワフワしていて、行った事はないけど天界の雲の上ってこんな感じなのではと思った。
…指の血が止まってて良かった…垂らしてしまったら掃除が大事だもんな。
リュー様が別室から小さな箱を持ってきて開けると、小さな小瓶がいくつか入っていた。

「手を出して…」

「はい……んっ…ぁっ…」

怪我をした手を差し出すと、リュー様はゆっくりと俺の指を口に含んだ。
リュー様の指がぬるりと俺の指に絡まる。

___ゾク…___

「…んっ…」

そのままゆっくりと俺の指を出し入れしていった。
これ…何か…エッチ過ぎる…本当に治療なのかな?

「…ん…ルイ…今日は…ここに…泊まれ…」

「ぁ…え…」

指が完全に口から離れ、小瓶から液体を布に掛けて手当をしながらリュー様が言った。

「ルイの魅了が強くなって………いや違うな。」

そう言ってリュー様は言葉を詰まらせた。

「リュー様?」

「…ルイ……私は…お前が好きだ…」

「え…」

「お前の指導と言いながら、私は日に日にお前の虜となってしまったんだ。」

「リュー様…」

どうしよう…

「他に好きな者が出来たら私が妨げになったはいけないと、お前の将来を考えて指導も公にはしなかったが…ディーンにされていたあの光景を見て目が覚めた。お前を誰にも渡したくはない。」

嬉しい。

「私のものになってくれるか?」

そっと、リュー様の手が俺の手に重なった。

「……はい…喜んで…」

俺はリュー様の手を握り、そして唇へ寄せてキスをした。
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