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mana.

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それから

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ここの植物公園の桜の種類は他に比べてかなり多いんじゃないかと思う。
河津桜も好きだけど……この桜はなんて桜だろ?
ソメイヨシノよりピンクの色が濃くて……香りも強い。

「圭佑さん、写真撮る?」

「うん。」

人がいない場所を選んでレジャーシートを敷いたので好き勝手に写真を撮って今度は桜を背景に圭佑さんを撮る。
カッコイイ人は何でも画になるもんだなぁ……

「……なぁ……竜ちゃん……」

「……ん……何?」

「……大好き…」

「ん~…俺も好きですよ~。」

「…違う……その…じゃない。」

「……え?」


___ザアァァァァ___


「わっ!」

「……恋愛の………だよ。」

強い風に目を閉じて…再び開けると圭佑さんに抱き締められていた。

「何…て……?」

「聞こえなかった?」

「いや……聞こえてたけど……だけど……」

圭佑さんがゆっくりと離れて隣に座った。

「俺ね、中学の頃……同級生に裏切られたんだ。それからあんまり人と話さなくなってさ…拓海や瑞希とは話すようになったけど……それでも気を許せることは無かった。」

「裏切られたって……」

「ゴメン……それは…思い出したくない…」

「でもね、竜ちゃんが演劇部に入ってきて…屈託なく話す竜ちゃんに癒やされてさ。」

圭佑さんの手が俺の頬に触れた。

「俺は……竜ちゃんになら……キス…できるよ?」

「キス…っ…」

え……俺……圭佑さんと…キス…すんの?

「竜ちゃんは……俺とは嫌?」

「え…だって…圭佑さん…ノーマルじゃん…」

「うん、俺女の子と付き合ったことあるし…エッチもしたけど……何か……違ったんだよね…でも…じゃぁ男って訳でもないんだ……竜ちゃんなら…良いかなって思えた。」

「俺…は…えっと……」

「うん…キスもした事無かったよね?だからさ……」


___……俺と……試す………?___


「えぇっっ⁉」

いきなり?女の子すっ飛ばして同性と⁉
俺は混乱して頭が真っ白になった。

「冗談……にしたかったけど…本気だよ。考えといて。」

圭佑さんに「それじゃぁ…返事は入学式前にもう一度ここで。」と、言われ…俺は頭が真っ白なまま返事をして家に送り届けられた。


入学式まで……1週間半……


BL本は好きだ。
男同士でも女同士でも……好きなら俺は良いと思っている。
告白してきた人達へは純粋に俺が恋人としてと思えなかったからだ。
圭佑さんとは…一緒にいて楽しい。
沈黙も苦じゃないしスキンシップも嫌じゃない。


___先輩として好き___


___友達として…好き___


___として……好き?___


子供の頃、隣のお姉さんが結婚する時に「何で結婚するの?」と泣いて嫁に行かないでと騒いだことがある。
その時の返事が「ごめんね、ずっと一緒にいたいくらい好きなんだ。」と、返ってきた。

ずっと一緒にいたいくらい……好き…うん、圭佑さんとはずっと一緒にいたいよ……
でもさ……圭佑さんとの……その…エッチを考えると……俺……受け……なんだよね……俺…BLの本みたいに受けるの?
それくらい……好きなの……?
そもそも圭佑さんが真剣に言ってくれたのに…「じゃぁ付き合いますか☆」って軽く言って良いのかな?

悶々と考えに考えて俺の出した結論は……

期間限定の夜桜のライトアップで時間を延長した夜の植物公園は下からライトアップされた桜が綺麗で……少しの風が吹いただけでハラハラと花びらが散っていく。
入学式にはやっぱり完全に葉桜だね。
待ち合わせの場所は少し暗く、そんな中でも圭佑さんは格好良くて少し見惚れてしまった。

「……竜ちゃん……返事出来そう?」

「うん……」


俺は深呼吸をして言った。




___ゴメンナサイ___




___ザアァァァ……___


桜の花びらが、俺と圭佑さんの間を過ぎて空へと駆けていく。
圭佑さんを見ると笑ったような……泣きそうな……複雑な顔をしていた。

「やっぱりね……気持ち悪いよね。」

「違う。」

「漫画みたいに綺麗なもんじゃないしね。」

「…っ…違うって!」

何て言えば良い?何て言えば伝わる?
適当に返事したくない。
適当に付き合いたくないんだよっ!

「……竜ちゃん…俺ね……もう会えないかな。」

「……え…」

「竜ちゃんの気持ちがこっちに向くまで待ってよう……とか思ってたけどさ……ちょっと……やっぱり辛いや……」

そこからの記憶が全く無い。
入学式が終わってから学校生活が思いの外忙しく、落ち着いてから連絡をしようと連絡したらスマホの番号はもう使われていない番号になっていたのだけは覚えている。


その後、やはり俺は同性にやたらとモテて社会人になってからは百貨店や駅のトイレでナンパをされ……あれは本当に怖かった……
会社で個人的に呼び出されたかと思えば告白され……あまりに多くて俺は実は気付いてないだけでそっちなのかとゲイ友達にゲイバーに連れて行ってもらったら………


「アンタはノーマルよぉぉっ!みんな、そう思うわよねぇっっ♪」


……と、ママとその場のみんなに言われてよく分からないまま盛り上がった……

その後、女の子とも付き合い……男同士でも……キスは経験したけど……やっぱりというものをハッキリと理解したのかと言われると即答できない自分がいる。
今なら圭佑さんと「じゃぁ、付き合ってみる?」と言われたら「そうですね。」と言えるし、多分キスも出来ると思える自分がいるのは……高校卒業したばかりの自分は恋愛経験が全く無い状態で、恋愛のの一歩を踏み出すのが怖かったのかもしれない。
人間知らないものは怖い。嫌悪感さえ出ることがある。
俺は……あの時何て言えば良かったんだろう。
あの時「そうですね、付き合いましょう。」と、付き合っても結局駄目になってた気がする。



先輩……俺ね…来月結婚するんだ。
女の子っぽくない人なんだけどさ。
それが良かったのかなぁ…ちょっと圭佑さんに似てるかな。
普段は格好良くてコーヒー好きで……沈黙も好きで……一緒にいてね…楽なんだ。
たまに抜けてる所は圭佑さんとは違うけど。

圭佑さんが待っていてくれたら……俺は圭佑さんと付き合っていたんだろうか………


「ゴメ~ン、竜~っ!待たせたなぁっっ!!」


あっちから俺の今な人が全力疾走で走ってくる。
お~お~……女らしくねぇなぁ……


「フフッ……コケんなよぉ~……あ…コケた…」


桜の花があの夜を思い出す。
圭佑さん…俺は今でも貴方が好きだよ。

今でも…圭佑さんと同じ気持ちじゃないかもだけど……


END.

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