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第3話 俺にしねえ?
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「なあ……俺にしねえ? 」
翔は愛の瞳を見つめる。
「えっ! な、何言ってるの?」
その視線に耐えらなくなった愛は途端に逸らす。
「ん? 弱ってる所に漬け込んでるだけ。俺は愛のこと幼なじみなんて思ってねぇ。ずっと好きだよ」
小首を傾けながら言う翔は妙に色気があり、愛は戸惑うばかりだ。
「……え、ずっと? 今まで……付き合ってた子は?」
「今までのは、別に好きじゃねぇ。成り行きで……本当に好きなのは愛だけだから」
高校時代の翔は告白されても、全て断っていた。
それが、来る者拒まず付き合いだしたのは高校3年生になった頃からだ。
「そう言われても……」
「あー……返事すぐじゃなくていいから。まあ、俺の事必ず好きにさせるから愛は気楽に……な?」
そして、翔は再び頭を撫でた。
「(え、え……いつから。いつから翔はあたしのことを?)」
愛の体は全身からまるで熱を帯びたようだった。一度上がった体温は中々元に戻らない。
「帰るぞ」
翔は立ち上がり、振り返るとそう口にした。
「えっ?」
「いつまでここにいるんだよ。そろそろ家帰るぞ。送ってくから」
「ありが……とう」
愛は告白をされた手前、恥ずかしくてなかなか翔の顔を見れない上、立ち上がることが出来なかった。
「ほら? 話ならいつでも聞いてやるから、今日は帰って寝ろ」
翔は愛の前でしゃがみこむと、俯く顔を覗き込んだ。
「……っ!」
あまりの近さと翔の上目遣いに再び顔が赤くなるのが自分でも分かるほどだ。
「ほら、行くぞ」
「あ、うん……」
翔は愛の腕を掴み立たせると、そのまま歩きだした。
「まあ、送ってくって言っても隣だけどさ」
「……ふっ、そうだね」
翔の言葉に思わず笑みを零した愛。
「笑った。愛は笑ってた顔が一番可愛いな。また辛くなったらいつでも話くらい聞いてやるから」
「翔……ありがとう」
「おう! あ、ちゃんと俺のこと考えとけよ。そんで、俺のことで頭いっぱいにしろ」
「あ、えーっと……」
冷めたはずの体は再び熱を帯びる。
真っ赤な顔をした愛は、まるで金魚のように口をパクパクとさせた。
「可愛い。そんなに深く考えなくていいから」
「うん……」
「(やっぱり、さっき言ってたことは冗談とかじゃなくて本当なんだ。なんでこんなイケメンと幼なじみで……しかも、あたしのこと好きになってくれたのかな?)」
愛は隣を歩く翔の顔を盗み見る。
隣を歩く翔は、子犬のようなフワフワの茶色い髪の毛にぱっちり二重のイケメンだ。
高校ではその見た目から男女問わず人気だった。
「(あたしは他の子みたく可愛いくないのに……)」
愛は翔にバレないよう小さくため息をついた。
自分では可愛くないと思っているようだが、現在通う大学では、可愛い子がいると男子生徒から人気があるようだ。
ハーフアップに結われた茶色い髪の毛、ぱっちり二重の可愛い女の子だ。
「……じゃあ早く寝ろよ」
いつの間にか家の前に着いたようで、愛は翔の声にハッとした。
互いの両親が学生の時から友達で、あまりの仲の良さから家も隣同士に建てたようだ。
同じような設計の戸建住宅、唯一違うのは壁の色だけ。
翔の家は淡いクリーム色、淡いピンク色の壁が愛の家となっている。
「うん……今日はありがとう、ね」
「おう! おやすみ」
「おやすみ……」
翔は愛が家の中に入ったのを見届けると自身も中へ入った。
時刻は21時過ぎ、愛の心と同じく夜空はどんよりとしており、星が全く見えないでいた──
翔は愛の瞳を見つめる。
「えっ! な、何言ってるの?」
その視線に耐えらなくなった愛は途端に逸らす。
「ん? 弱ってる所に漬け込んでるだけ。俺は愛のこと幼なじみなんて思ってねぇ。ずっと好きだよ」
小首を傾けながら言う翔は妙に色気があり、愛は戸惑うばかりだ。
「……え、ずっと? 今まで……付き合ってた子は?」
「今までのは、別に好きじゃねぇ。成り行きで……本当に好きなのは愛だけだから」
高校時代の翔は告白されても、全て断っていた。
それが、来る者拒まず付き合いだしたのは高校3年生になった頃からだ。
「そう言われても……」
「あー……返事すぐじゃなくていいから。まあ、俺の事必ず好きにさせるから愛は気楽に……な?」
そして、翔は再び頭を撫でた。
「(え、え……いつから。いつから翔はあたしのことを?)」
愛の体は全身からまるで熱を帯びたようだった。一度上がった体温は中々元に戻らない。
「帰るぞ」
翔は立ち上がり、振り返るとそう口にした。
「えっ?」
「いつまでここにいるんだよ。そろそろ家帰るぞ。送ってくから」
「ありが……とう」
愛は告白をされた手前、恥ずかしくてなかなか翔の顔を見れない上、立ち上がることが出来なかった。
「ほら? 話ならいつでも聞いてやるから、今日は帰って寝ろ」
翔は愛の前でしゃがみこむと、俯く顔を覗き込んだ。
「……っ!」
あまりの近さと翔の上目遣いに再び顔が赤くなるのが自分でも分かるほどだ。
「ほら、行くぞ」
「あ、うん……」
翔は愛の腕を掴み立たせると、そのまま歩きだした。
「まあ、送ってくって言っても隣だけどさ」
「……ふっ、そうだね」
翔の言葉に思わず笑みを零した愛。
「笑った。愛は笑ってた顔が一番可愛いな。また辛くなったらいつでも話くらい聞いてやるから」
「翔……ありがとう」
「おう! あ、ちゃんと俺のこと考えとけよ。そんで、俺のことで頭いっぱいにしろ」
「あ、えーっと……」
冷めたはずの体は再び熱を帯びる。
真っ赤な顔をした愛は、まるで金魚のように口をパクパクとさせた。
「可愛い。そんなに深く考えなくていいから」
「うん……」
「(やっぱり、さっき言ってたことは冗談とかじゃなくて本当なんだ。なんでこんなイケメンと幼なじみで……しかも、あたしのこと好きになってくれたのかな?)」
愛は隣を歩く翔の顔を盗み見る。
隣を歩く翔は、子犬のようなフワフワの茶色い髪の毛にぱっちり二重のイケメンだ。
高校ではその見た目から男女問わず人気だった。
「(あたしは他の子みたく可愛いくないのに……)」
愛は翔にバレないよう小さくため息をついた。
自分では可愛くないと思っているようだが、現在通う大学では、可愛い子がいると男子生徒から人気があるようだ。
ハーフアップに結われた茶色い髪の毛、ぱっちり二重の可愛い女の子だ。
「……じゃあ早く寝ろよ」
いつの間にか家の前に着いたようで、愛は翔の声にハッとした。
互いの両親が学生の時から友達で、あまりの仲の良さから家も隣同士に建てたようだ。
同じような設計の戸建住宅、唯一違うのは壁の色だけ。
翔の家は淡いクリーム色、淡いピンク色の壁が愛の家となっている。
「うん……今日はありがとう、ね」
「おう! おやすみ」
「おやすみ……」
翔は愛が家の中に入ったのを見届けると自身も中へ入った。
時刻は21時過ぎ、愛の心と同じく夜空はどんよりとしており、星が全く見えないでいた──
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